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夏になると脳のサイズが大きくなるって本当?

  • 2021.7.11
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『PLos ONE』に掲載された新たな研究では、暑い時期に脳は最大の大きさまで膨れ上がることが示されている。

ハートフォード病院のオーリン神経精神リサーチセンターの科学者たちは、15年間にわたって健康な3,000人以上の脳スキャンを検証。その結果、さまざまな脳の部位が北半球が暑い夏の間に大きくなり、寒い冬の間は小さくなることがわかった。詳しく見ていこう。

コネチカット州ハートフォードの平均最高気温は7月で約29℃、1月で約2℃で、「海面が近く、四季があり、さまざまな気候条件があるので、気候や季節による影響を分析するのに理想のロケーション」だと科学者たちは話す。

「日光の変化は季節要因の研究で重要な要素ですが、気象の条件が考慮されている研究はほとんどなく、脳のボリュームに及ぼす気候の効果を分析した研究はありません。気候とは、しばしば気温や降水量、風速を表しますが、気候を左右するもっとも重要なものは気圧です。MRIのスキャン環境下においてきちんと管理される気温や湿度とは異なり、気圧はどこにでも存在するため、研究する上で適した気象変数となります」

でも気圧だけが脳のサイズに影響しているわけではない。季節もまた重要な役割を担っている。研究では、被験者の皮質下の灰白質の容積が1月~8月の間は減少し、8月~12月の間は増加することが脳スキャンによって判明した。それと同時に、被験者の左小脳と右小脳の皮質のサイズは、1月~6月に増加、7月~12月においては減少した。

一体何が起きているのだろう? 科学者たちは確実とは言えないが、いくつか理論づけられることがあるという。

1つは、血流が気圧または周りの空気温度と共に変化し、脳のボリュームに影響を及ぼしているということ。さらに、血液中の酸素も関係している可能性もある。別の実験では、酸素を遮断したマウスでは、脳の「ミクロ」の血管では血流が多かったが、「マクロ」の大きな血管では血流が少なかったという。

統計的な研究結果を得た上で次に分析されるのは、文字通り頭痛の元である。慢性頭痛の患者は、脳に影響を及ぼすものの、季節的あるいは日常的な変動に多くを投資してきた。これだけのサンプル数を調査することで、今後の研究に役立つツールが得られたと研究者たちは語っている。

気候や季節が人体に与える影響を検証した過去の研究では、それらの要素と病の発生率や重症化との間に繋がりが発見されている。調査員いわく、気圧が下がると、頭痛薬の売り上げや自然回復率が上昇することもわかっているそう。

気象病や原因不明の頭痛の原因が、こうした気象と脳の研究によって明らかになる日も遠くないのかもしれない。

※この記事は、『Prevention』から翻訳されました。

Text: Caroline Delbert Translation: Asami Akiyama

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