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「いやだぁぁぁ~」 都内ショッピングモールで泣きわめく男の子、困り果てた父親がとった予想外の行動とは

  • 2021.6.28
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夫婦共働きで、両親は地方の地元在住。そんな東京での子育ては、なかなか容易ではありません。イヤイヤとごねる子どもにはどう接するのがよいのか? 漫画家のさく兵衛さんが、江東区のショッピングモールで見かけた父子のエピソードを紹介します。

東京での子育てが大変な理由とは

子育てが大変であることは言うまでもありません。しかし、時代や場所によってその要因は少しずつ変わっていきます。

例えば東京在住の子育ての大変さの要因はどこにあるのでしょうか。国や都の統計データから、その一端が垣間見えます。 まず内閣府の男女共同参画局によると、共働き世帯数は1980(昭和55)年から年々増加し、1997(平成9)年以降は共働き世帯数が男性雇用者と専業主婦の妻から成る世帯数を上回っているそうです。

それに対して、東京都産業労働局によると、2019年4月から2020年3月末までの育児休業取得者の有無の割合は女性が94.8%に対し男性は14.5%。

前年度の調査では11.8%でしたので、2.7ポイントの増加が見られますが、割合はまだまだ低い状況です。

両親は地方在住、なかなか頼れず

また、夫婦どちらかの実家の近くに住んでいる家庭ならば両親に応援を頼むということもできますが、もしふたりとも地方出身で上京してきたとすると、簡単に頼ることもできません。

つまり地元から離れて住む夫婦は、地元に住む夫婦に比べていわゆる「ワンオペ育児」という状況になりやすく、保育園やベビーシッターなどのサポートを活用しない限り、どちらかに(現状では主に女性に)負担がかかり続けます。

共働きの夫婦は増えているにも関わらず、子育てに関わるのは親のどちらかひとり、加えて頼りになる両親や親族も近くにはいない。そうした状況の中、子どもの突発的な体調不良や「イヤイヤ」が起こってしまったら……。

そういったことを考えると、一体、世の親御さんたちはどうやって日々を生き抜いているのか、あらためてその大変さに頭が下がります。

江東区有明で目撃した親子のこと

そんな中、筆者はとある親子に出会いました。2020年にオープンしたばかりの有明ガーデン(江東区有明)にある無印良品で買い物をしていたときのことでした。

そこにはベビーカーを押しながら、あるいは子どもの手をひきながら仲良く歩いていく親子連れが多く見られました。

その様子を、無印内にあるパン屋のイートインスペースで買ったカレーパンを食べながらのんびりと眺めていると突如、穏やかな景色に不釣り合いな耳をつんざく子どもの泣き声がこだましたのです。

有明のショッピングモールで、突然泣きわめく子どもの声が(画像:さく兵衛さん制作)

泣き声のする方に目をやると、その父親と思しき男性は困った顔で子どもに「もうおうちに帰らないと」と伝えており、当の子どもは道に寝そべり断固拒否の姿勢のまま「イヤだ!」と泣き叫びながら訴えていました。

その様子から、おそらくもう帰る時間になったものの、まだ子どもは遊び足りず駄々をこねているのだろうと予想し、あまりじろじろ見ては失礼になるかと思いつつも、目の前で繰り広げられるやり取りに目を奪われてしまいました。

この父親はどのようにして子どもをなだめるのだろう? もしくは叱りつけて無理にでも帰宅するのだろうか――?

そのようなことを考えながら親子を見守っていると、父親はゆっくりと子どもの前にしゃがみ込み「お父さんも帰りたくないよ……」と今にも泣きそうな顔で言うではありませんか。

父親の意外な行動に男の子は……

それは、いわゆる子どもをなだめすかすために使うような泣き真似ではなく、本当に悲しそうな声色でした。

その父親のあまりにも悲痛な様子に、さっきまで大声で泣いていた子どもはキョトンとした顔になりました。そしておずおずと「お父さんも帰りたくないの?」と聞きます。

父親は大きくうなずくと「明日からお父さんまた仕事だからね。もっと○○くんと遊びたかったよ」と悲しそうに言うのでした。

すると子どもは神妙な顔つきになり、そっと父親の肩に触れると「大丈夫だよ、またきっと来られるよ」と慰めるように言いました。

父親はそんな子どもに「そうだね、また来ようね」とほほ笑むと、ゆっくりと陽の傾いた通りを子どもと手をつないで歩いて行きました。

その一部始終を見ていた筆者は、最初は「悲しむ子ども」と「さとす父親」だった関係性が「悲しむ父親」と「さとす子ども」に変わっていく様子におかしさを感じていました。

しかし、もしかするとあの父親は本気で子どもと一緒になって悲しんで見せることで、子どもの訴えをきちんと受け止めていると伝えていたのかもしれないと思いました。

確かに自分の幼少期を振り返ってみても、大人の取り繕った振る舞いや方便でつくウソは敏感に感じ取っていて、子どもながらにそうした大人はどこか信頼できなかった記憶があります。

子どもとの向き合い方の正解とは

そうした意味でも子どもに本音をこぼすということは、信頼関係を築く上で必要な要素のひとつなのではと思います。

仲良く手をつないで帰っていった父親と子ども(画像:さく兵衛さん制作)

もちろん「子育て」には親として大人として子どもを導くという責任がありますから、常に友達のように接していればいいというわけではありません。

模範となる振る舞いを心掛ける必要もあるでしょうし、時には厳しい言葉を使ってでも危険な行為を止め、注意をしなければいけない場面は出てくることと思います。

ただ今回の親子のエピソードから、子どもと純粋にコミュニケーションを取るとき「子どもだから言っても無駄」「『子どもには』こうするべき」と大人と子どもを切り離して考えるよりも、お互いひとりの人間として向き合っていくことが案外うまくいくコツなのかもしれないと感じさせられたのでした。

さく兵衛(漫画家)

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