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日米の医師が回答「新型コロナワクチン接種後、かぜ薬を飲んでも大丈夫か」

  • 2021.6.27
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子どもは受けられる? 接種したあと薬を飲んでもいいの? 注射を打ったところが腫れたらどうする……? 新型コロナワクチンを接種するときの疑問や不安に、日本とアメリカで診療にあたる医師らのチーム「コロワくんサポーターズ」が答える――。

※本稿は、コロワくんサポーターズ『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A100』(日経メディカル開発)の一部を再編集したものです。

ワクチンボトルから溶液を採取し、注射器に充填する医師の手元
※写真はイメージです
Q. どういった人が新型コロナワクチンの優先接種の対象になりますか?

A. 新型コロナワクチンの優先接種対象者と順番は、①感染症患者などに頻繁に接する医療従事者など、②高齢者(2021年度中に65歳以上になる人)、③基礎疾患がある人や、高齢者施設などで利用者に直接接する職員──となっています。医療従事者は職業上の感染リスクが高いこと、高齢者と基礎疾患を持つ人は感染した場合の重症化リスクが高いこと、高齢者施設などの職員は自身が感染すると高齢者に感染を広げてしまうリスクが高いことなどが、接種優先の理由です。これらに該当しない人は一般枠での接種となりますが、ワクチンの供給量次第では③に60~64歳の人も加えることが検討されています。

妊婦については、ワクチン接種の安全性・有効性がまだ明らかでないため、接種順位の上位には位置づけられませんでした(2021年3月現在)。しかし妊婦であることが新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子であることが徐々に明らかになってきており、今後、最新の情報とともにリスクとベネフィットを考えて慎重に対応する方針です。

Q. 高齢者や基礎疾患がある人でも、新型コロナワクチンを打たない方がよい場合がありますか?

A. 高齢者や基礎疾患がある人は新型コロナウイルスに感染した際、重症化や死亡のリスクが高いため、新型コロナワクチンの接種が推奨されています。しかし、次のような場合には、ワクチンを打たない方がよいと考えられます。厚生労働省によると、①明らかに発熱(37.5℃以上)している人、②重い急性疾患にかかっている人、③ワクチンの成分に対し、アナフィラキシーなど重度の過敏症の既往歴のある人、④上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人──はワクチン接種を受けられません。mRNAワクチンは、mRNAのほか、脂質、糖、塩、ポリエチレングリコールなどの成分で構成されていますが、1回目のワクチン接種でアナフィラキシーのような重い副反応が見られた人は、2回目以降の接種は推奨されません。発熱や急性疾患のある人は回復してからのワクチン接種が推奨されていますので、接種の時期に関しては医師と相談してください。

ファイザーのワクチンの「接種不適当者」
● 明らかな発熱を呈している人
● 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな人
● ワクチンの成分に対して重度の過敏症の既往がある人など

「コミナティ筋注」の添付文書を基に作成

Q. 子どもは新型コロナワクチン接種の対象になりますか?
縄跳びで遊ぶ子供を心配そうに見つめる母親
『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A100』より イラスト=串子

A. 米ファイザーのワクチンは16歳以上を接種対象年齢として日本で承認されました。英アストラゼネカのワクチン、米モデルナ(※)のワクチンは日本ではまだ承認されていませんが、欧米では18歳以上を対象に承認されています。16歳未満の子どもが接種対象になっていないのは、「子どもへの接種は特に危険だから」というわけではありません。これまでの臨床試験には16歳未満の子どもが参加しておらず、まだ効果と安全性のデータが得られていないからです。現在、さらに低い年齢の子どもを対象とした臨床試験が実施中で、安全性と有効性が確認されれば、子どもへの接種が開始される可能性があります(2021年3月現在)。

※編集部注:米モデルナの新型コロナワクチンは、2021年5月に日本でも承認されています。

Q. 子どもに基礎疾患がある場合、新型コロナワクチン接種を受けさせるべきですか?

A. 2021年3月の時点で、16歳未満の子どもに接種できる新型コロナワクチンはありません。子どもは感染しても軽症あるいは無症状のことが多く、接種の優先順位は高くないと考えられています。しかし、子どもにもワクチン接種を広げることで、合併症や後遺症のリスクを軽減したり、人から人への感染リスクを軽減して社会を守ることにつながる可能性が考えられています。

子どもへのワクチンについて
『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A100』より
Q.新型コロナワクチン接種時のアレルギーを抑えるために、抗アレルギー薬を前もって飲んでおいた方がよいですか?

A. 新型コロナワクチン接種時のアレルギー予防目的で、抗アレルギー薬を事前に内服することは、現在のところ推奨されていません(2021年3月現在)。抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)でアナフィラキシーを予防することはできないからです。ただし、スギ花粉症の症状緩和など、その他の理由で抗アレルギー薬を内服中の人はワクチン接種前日、当日も内服を継続してかまいません。心配な場合はかかりつけ医に相談してください。

Q. 新型コロナワクチン接種後、かぜをひいてしまいました。かぜ薬を飲んでも大丈夫ですか?

A. 解熱鎮痛薬を含め、ワクチン接種後にかぜ薬を飲んでも問題はないと考えられます。なお、ワクチン接種の副反応として倦怠感、頭痛、発熱、悪寒などの症状が現れることがあり、かぜとの見分けがつきにくい場合があります。副反応による症状のほとんどは1~2日で改善するため、その後も症状が続く場合には医療機関に相談してください。

コロナワクチンと風邪薬
『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A100』より
Q. 新型コロナワクチンを打った部分が赤く腫れてきました。どうすればよいですか?

A. 米ファイザーや米モデルナの新型コロナワクチンの臨床試験では、接種した箇所の痛み、腫れ、紅斑(赤くなること)、接種した腕と同じ側の脇のリンパ節が腫れるなど、少なくとも1つの局所症状を80~89%の人が経験したとされています。ただし、ほとんどが軽症から中等症で、数日以内に改善しています。これらの症状は、1回目よりも2回目の接種後、そして高齢者よりも若い人に多いようです。症状を軽くするために、抗アレルギー薬や解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)を服用することができます。

コロワくんサポーターズ『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A100』(日経メディカル開発)
コロワくんサポーターズ『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A100』(日経メディカル開発)

ただし、ワクチン接種後の症状を予防する目的で、これらの薬剤を事前に内服することは現在のところ推奨されていません(2021年3月現在)。ワクチン接種後にこれらの症状が出て、痛みがとても強い場合や、3日たっても症状が改善しない場合には、接種した医師やかかりつけ医に相談しましょう。

なお、タイミングが遅れて出る(遅発性の)局所の反応は、接種数日から2週間後に出始め、時に強い反応になることがあるとされています。しかし、1回目の接種後にこのような副反応が起こった人で、2回目の投与後にも同様の副反応が必ずしも起こるわけではありません。基本的には、1回目の接種でこのような局所の反応が起きたからといって、2回目でアナフィラキシーのリスクが高くなるとは考えられていません。

米国疾病予防管理センター(CDC)は、新型コロナワクチンとして1回目のmRNAワクチンを接種した後にこのような局所反応が出た場合、2回目には同じワクチンを規定通りの接種間隔で、できれば1回目とは反対側の腕に接種を受けるよう推奨しています。

コロワくんサポーターズ
日米で新型コロナ感染症の治療やワクチン接種に当たっている日本人医師ら10人。新型コロナワクチンに関する一般市民の不安や疑問を解決するため、SNSを通じて情報提供を行うプロジェクト「コロワくんの相談室」を手がける。代表を務める米国内科専門医の山田悠史氏は、慶應義塾大学医学部を卒業後、日本各地の病院の総合診療科に勤務。2015年からは米国ニューヨークのマウントサイナイ大学関連病院の内科に勤務しつつ、国内では全国の総合内科医の教育団体JHospitalist Network世話人やニュースメディアNewsPicksの公式コメンテーター(プロピッカー)等として活躍中。

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