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アニメ『恋きも』は「火曜10時枠」好きこそ観てほしい 不器用な登場人物たちの“尊さ”

  • 2021.6.21
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(C)もぐす・一迅社/恋きも製作委員会

AT-Xほかにて放送中のもずく原作によるTVアニメ『恋と呼ぶには気持ち悪い』が6月21日に最終回を迎える。

通称『恋きも』の原作はイラスト投稿サイトpixivにて評判を呼び、一迅社から書籍化されたのち、pixivと一迅社のWebコミック配信サイト「comic POOL」で連載開始。累計発行部数は電子書籍を含め120万部を突破している人気作で、オタク気質の女子高生・有馬一花とハイスペックで女癖の悪いサラリーマン・天草亮が繰り広げる“年の差”ラブコメディだ。

物語は駅の階段から落ちかけた亮を一花が助けるところから始まる。少し会話をした程度で2人は別れるが、偶然にも亮は一花の親友・理緒の兄でありその日の内に再会。イケメン年上男性との運命的な出会い……女子なら誰もが憧れるシチュエーションだが、本作のヒロインは一味違う。お礼にデートでもキスでも何でもすると言う亮にときめくどころかドン引きし、「気持ち悪い」と拒絶するのだった。

しかし、その反応が却って新鮮で、一瞬にして心を奪われた亮はその日以来、一花に熱烈なアプローチをかけるように。毎日電話をかけたり、前触れもなく家にプレゼントを贈ったり、一花の罵倒に頬を染めたりと女子高生に狂信的な恋をする亮は正直“気持ち悪い”としか言いようがない。それでもやっぱり大人モードの亮はスマートでかっこいいし、初めての恋に一喜一憂する中学生男子のような姿とのギャップにも萌える。何よりそんな亮に一花が次第に心惹かれていき、中盤にはほぼ両思い状態なのに、なかなか縮まらない2人の距離がもどかしくてたまらないのだ。

このムズムズする感覚は、隠れ腐女子のOL・桃瀬成海と重度のゲームオタク・二藤宏嵩によるヲタク同士の恋を描いた『ヲタクに恋は難しい』(通称『ヲタ恋』)や、優等生女子・堀京子と根暗男子・宮村伊澄をはじめとした個性的な高校生たちの日常を映した『ホリミヤ』でも味わえる。特に『恋きも』と『ヲタ恋』はpixivで注目を浴び、comic POOLで連載が始まったのちにアニメ化されたという共通点があるのだが、どの作品にも言えるのは登場人物がみんな“不器用”だということだろう。

本来ならもっと上手くアプローチできるはずなのに、真っ直ぐすぎる愛情で一花を困らせてしまう亮と、そんな彼に惹かれつつも気持ちを上手く表現できない一花。もともとオタク仲間だったことから関係性の変化に戸惑い、なかなか恋人らしく振る舞えない成海と宏嵩。実は寂しがりやなのに素直に甘えられない掘と、いじめを受けていた過去から掘をはじめ周囲に心を開けない宮村。ちょっとぎこちない彼らの微妙な距離感がもどかしく、だからこそ想いが通じ合った瞬間がたまらなく愛おしい。サブキャラの心理描写も丁寧で、『恋きも』では一花に片想いするクラスメイト・多丸快や、亮の意外な一面を知り惹かれていくアリエッティこと松島有枝の奮闘も見どころだ。恋の喜びや苦しみを味わい、成長していく。そんな彼らの“尊い”瞬間が至るところに散りばめられているからこそ、ずっと見守りたくなるような中毒性がある。

ドラマ界でも一時期は減少傾向にあった恋愛ドラマが、『逃げるは恥だが役に立つ』を皮切りにTBS火曜10時枠に放送された『恋はつづくよどこまでも』や『この恋あたためますか』などのヒットにより、再び盛り上がりを見せている。今期は特に『着飾る恋には理由があって』(TBS系)や『恋はDeepに』(日本テレビ系)など、恋愛ドラマが豊作。その作品に登場する誰もが亮や一花のように不器用で、簡単にはくっついてくれない。けれど私たちは2人が思い合っていることを知っているから、安心して見守ることができるのだ。こうした作品が求められる背景には、ドラマを観ている時くらい、ある種“非日常的”な幸せに浸っていたいという視聴者の心理が見え隠れする。

くっつきそうでくっつかない2人の恋に“むずキュン”したい。そんな方にぜひ観てほしいのが、今回紹介した『恋と呼ぶには気持ち悪い』。亮を演じる豊永利行が本作の中山奈緒美監督から「“アニメ”ではなく“ドラマ”にしたい」という意向があったと語っているように(参照:コミックナタリー「TVアニメ「恋と呼ぶには気持ち悪い」特集 小坂井祐莉絵(有馬一花役)×豊永利行(天草亮役)対談」)、本作はかなりドラマに近い感覚でみることができ、特にドラマ好きな大人の女性や普段あまりアニメを観ない方、興味はあるけど何を観ていいかわからない方におすすめだ。(苫とり子)

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