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背筋凍ったら岡山県民? 『でえれえ、やっちもねえ』が「ぼっけえ、きょうてえ」

  • 2021.6.19
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岩井志麻子さんの傑作ホラー小説『ぼっけえ、きょうてえ』(KADOKAWA)の恐怖が20年ぶりに蘇る。最新作『でえれえ、やっちもねえ』が6月15日に発売された。タイトルの言葉の響きと表紙の絵だけでも、おどろおどろしい雰囲気が伝わってくる。

刊行にあたり、著者の岩井志麻子さんからコメントが届いている。

ここに収めた小説は新作ばかりですが、私の中では様々なものが戻ってきた、原点に返った、再び世に出してもらえる、という気持ちでいます。私は苦しみがなければ書けないと改めて知ると同時に、今は喜びで一杯です。

前作の『ぼっけえ、きょうてえ』は「平成の傑作ホラー」とも謳われるほど、読者に恐怖を与え、ホラーファンの中で話題に。タイトルの『ぼっけえ、きょうてえ』とは、岡山弁で「とても、怖い」という意味で、明治期の岡山を舞台にした怪しくおぞましい4つの物語を描いている。表題作は、1999年に第6回日本ホラー小説大賞を受賞した。また、装画に甲斐庄楠音さんの作品「横櫛」を使用したことでも注目された。

異形の赤子の恐るべき「予言」

最新作の『でえれえ、やっちもねえ』は、岡山弁で「本当に、悪い」の意味。そんなタイトルに相応しく、江戸、明治、大正、昭和の岡山を舞台に、恐ろしい怪異と、人間の業によって巻き起こされる戦慄の物語を綴っている。今回も甲斐庄楠音さんの作品(「幻覚」)を使用しているので、手に取るだけで伝わってくる恐怖を体感してほしい。

『でえれえ、やっちもねえ』のあらすじは下記の通りだ。

時は明治。コレラの大流行で家族を喪った、岡山の貧しい少女ノリは、引き取られた施設で出会った少年・小平と結婚を約束する。だが、激動の時代の中、小平は徴兵され、日清戦争に出征することに。そんなある日、ノリは中国にいるはずの小平と再会し、契りを交わすが、それは小平の姿をした別の何かだった。そして生まれた異形の赤子は、その容貌を買われ、ニセの予言神に祭り上げられる。しかし、赤子はやがて恐るべき真の予言を語り始め......。

小平の姿をした「別の何か」とは一体なんだったのか。岡山県民でなくても、「ぼっけえ、きょうてえ」。この夏、暑さに耐えられなくなったら、岩井志麻子さんのレジェンドホラー2冊を一気読みしてみては。

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