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名建築を、新宿で。完全再現模型を愛でるミュージアムカフェ「棲家」

  • 2021.6.18
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隈研吾、伊東豊雄、ル・コルビュジエ……。名だたる建築家たちがこの世に生み出してきた建造物は、いわば巨大な芸術作品だ。独創的なデザイン、複雑な構造はもちろん、時代背景や自然との調和に至るまで、そこには計り知れないほどの熱いストーリーと緻密な設計がつまっている。「アーキテクチャカフェ 棲家(すみか)」は、そんな建築家たちの世界観に想いを馳せ、存分に建築美に浸ることができるミュージアム型のカフェだ。

「見て、聞いて、楽しむ。建築好きのためのミュージアム型カフェ」をコンセプトに、4月にグランドオープンするやいなや大きな話題を集めている“建築カフェ”「棲家」。店があるのは、一見ミュージアムとも建築とも無縁に思える新宿三丁目の雑居ビルの中だ。本当にこんなところに……? と思うほどあたりは混沌とした雰囲気だが、エレベーターで4階まで上がるとそこにはまさに異空間が待っている。

一切仕切りのない広大なフロア一面に広がるのは、緑に溢れたカフェスペース。陽の光が大きく入ってくる明るい窓際のカウンター席には草花のシャワーが降り注ぎ、店の中央には大きな木も。先ほどまでの雑多な街並みを一瞬にして忘れさせてくれる、居心地いい空間が広がっている。

そんな大都会の一室に造られた自然の中で、カフェテーブルをステージのようにして堂々たる存在感を放っているのが、世界的な有名建築を完全再現した模型の数々だ。棲家は世界建築の再現模型を愛でることができる、まったく新しいカフェなのだ。

「落水荘」(フランク・ロイド・ライト氏)。帝国ホテルの設計も手がけた建築家。Harumari Inc.

全部で12体ある模型を手がけたのは、テレビチャンピオンの模型優勝者である林洋平氏。近代建築の代表作と称される「サヴォア邸」(ル・コルビュジエ氏)、葛飾北斎の作品から着想を得たといわれる滝の上の名建築「落水荘」(フランク・ロイド・ライト氏)のほか、日本を代表する建築家であり、熱狂的な鉄道好きとしても知られる隈研吾氏による、鉄道ファンのため「鉄の家」など、細部まで忠実に再現された国内外の名建築が一堂に会している。休日ともなれば連日、建築好きや建築家を目指す学生たちがこぞって集まってくるという。

新・国立競技場を手がけたことでも知られる隈研吾氏の「鉄の家」。Harumari Inc.

そうはいっても、特別建築好きでない人にとっては、馴染みがない建築家の名前や作品もあるだろう。しかし不思議なもので、驚くほどに繊細な模型製作の技術や、独創的な発想から生まれた建築美に触れれば、その巧妙さに思わず見入ってしまう。単なるイメージとして作られる一般的な模型とは異なり、色が塗られていたり周辺の景観まで作り込まれていたり。本来は巨大な建築物をさまざまな角度から眺める景色は、まるでドローンで上空を飛び回っているかのよう。テーブルに置かれたQRコードを読み取れば、建造物の歴史背景を知ることも可能だ。

建築は、いつの時代も多くの人が憧れてきたロマンある分野のひとつだろう。しかし確かにこれまで、建築というアートに身近に触れることができる機会はごく限られていた。ましてや本物を観るとなると、巨大で不動でなおかつ世界各国に点在しているという特性上、全体像を立体的に観ることは非常に難しく、世界中を飛び回るためには費用もかかる。それが新宿の駅前のカフェで心置きなく楽しめ、知識も雰囲気も堪能できるとなれば、建築好きにとどまらず、旅好きやお出かけ好きが目を輝かせるのも当然だろう。

「棲家フルーツサンド」は幡ヶ谷の人気フルーツパフェ専門店「果実店canvas」が監修。Harumari Inc.

また、カフェとしてしっかりと優秀なのも嬉しい。Wi-Fi、電源を完備し、商談などにも活用できる落ち着いたソファ席もある上、コーヒーからランチセット、デザート、一品料理、各種アルコールまでメニューも充実。朝は10:00から、夜は翌4:00まで営業しているのも心強い。そこに来て、この居心地のよさだ。どこも混雑していてカフェ難民になりがちな新宿エリアでは、まずおさえておきたい穴場カフェといえる。

本格的な美術館のように入場料があるわけでも会話を制限されるわけでもない。じっくり模型も鑑賞するもよし、“棲家”のようにくつろぐもよし。コーヒー1杯から気軽に楽しめる新宿のミュージアム型カフェで、建築というカルチャーに触れるひと時を過ごしたい。

取材・文:RIN

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