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株や投資信託はNISAで買うべき? NISAを使った場合と使わない場合の違いを解説

  • 2021.6.18
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長引く低金利のなか、貯蓄だけではなく投資を始める人が増えています。
コロナ禍の影響もあっておうち時間にゆとりができたことで、投資についてじっくり考えることができたからかもしれません。
いつかは始めたいと思っていた投資が、身近に感じられるようになった人も多いのではないでしょうか。
しかし投資は、知れば知るほど迷ってしまうことも増えます。NISAで運用するべきかどうかもそのひとつです。

今回は、株や投資信託といった金融商品を、NISAで買うべきかどうか考えていきます。

株式投資と投資信託、どんな利益が得られる?

まず始めに、株に投資をする株式投資や投資信託をすると、どのような利益が得られるか、確認しましょう。

株式投資は、企業の株式を買って利益を得る投資方法です。
金融市場では、さまざまな企業の株が売買されています。株価は値上がりと値下がりを繰り返しますが、安い時に買った株を高くなった時に売れば、値上がりによる利益が得られます。これを、キャピタルゲインと言います。

また、買った株を売らずに保有していても、株主は企業から配当金を得ることができます。企業は株主から投資されたお金で事業を行いますが、その利益を株主に還元するからです。
配当金だけではなく、株主優待として自社製品の割引券や、施設の優待券を出している企業もあります。これらをインカムゲインと言います。

しかし、株式投資は一般的に難しいと言われています。
なぜなら、将来的に株価が値上がりするか、利益が出て配当金がたくさん出るか、このような予想を確実にするには、それなりのスキルと経験が必要だからです。
そのようなスキル・経験を身につけるのは初心者にとってはハードルが高いですが、投資信託なら専門スキル込みでの運用が可能。

投資信託は、投資家から集めた資金をまとめて、投資の専門家が運用する仕組みです。
投資先は、国内の株式だけではなく、外国の株式、国内外の債券・不動産など、多岐にわたります。複数の投資先を組み合わせることによってリスクが分散できるので、初心者にも比較的安心して投資ができます。

投資信託も金融市場で取引されていますので値動きがあります。株式投資と同様に、買った時よりも値上がりしたタイミングで売れば、値上がり益が得られます。
また、運用によって得られた収益を、決算ごとに投資家に分配する、分配金がある投資信託もあります。

株式投資と投資信託の、得られる利益を表にまとめました。

株式投資と投資信託
株式投資と投資信託
NISA(ニーサ)ってどんな制度?

株式投資も投資信託も、ある程度のリスクを取りつつ、リターンが期待できる金融商品です。せっかくの利益なら、できるだけ多く受け取りたいですよね。
そこで考えたいのが、NISAの活用です。

NISAとは、個人投資家のための税制優遇制度です。つまり、税金が安くなります。
株式投資や投資信託で投資をして利益が出ると、利益に対して通常は20.315%の税金がかかります。しかし、NISAを利用すると、税金がかかりません。

たとえば、株価が800円の株式を100株買ったとすると、8万円の投資になります。
株価が1000円になったところで売ると、10万円で売れますから、単純に考えて2万円の値上がり益が得られます。

通常なら2万円に20.315%の税金がかかり、4063円は差し引かれてしまいます。
2万円×20.315%=4063円
すると、せっかく2万円利益があっても、手元には1万5937円しか残りません。
2万円-4063円=1万5937円

しかし、NISAの制度を利用すれば税金がかかりませんので、2万円まるまる手元に残るというわけです。
こんなにおトクな制度ならどんどん利用したいところですが、1年間に投資できる金額には上限額があります。上限額は、NISAの種類によって異なります。

NISAには、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3種類あります。
このうち、20歳以上が活用できるのは一般NISAとつみたてNISAです。
一般NISAは、1年間の運用額が120万円以内であれば、運用益の非課税期間は最長5年間です。
証券会社や銀行などの金融機関でNISA口座を開設し、おもに株式や投資信託、ETF(上場投資信託)に投資します。NISAで購入できる金融商品は豊富で、国内の投資信託だけではなく、国内外の株式も含まれます。

つみたてNISAは、1年間の運用額が40万円以内であれば、運用益の非課税期間は最長20年間です。
購入可能な商品は、少額からの長期・積立・分散投資に適していると金融庁に認められた、一定の投資信託に限定されています。
毎月○円ずつ、というような、一定期間ごとに積み立てて投資ができる仕組みです。

ただし、一般NISAとつみたてNISAは、両方利用することはできません。どちらかを選んで、口座を開設することになります。
どちらも非課税期間に限りがありますが、2024年から制度が変更になり、期間が延長することが決まっています。

新NISA

変更後は、原則として1階を利用してからではないと、2階は利用できません。

つみたてNISAは、投資可能期間が2042年まで延長になります。そのため、2021年から始めれば、新規に投資できる年数は22年となりました。

NISAを使った場合と使わない場合でどう変わる?(課税口座との違いを解説)

制度の変更もあり、ますますおトクに利用できるNISAですね。
NISAを利用する場合と、利用しない場合とでは、どのような点が異なるのでしょうか。

NISAのメリット1:いくら値上がりしても値上がり益が非課税

NISAは1年間で投資できる金額に上限がありますが、非課税になる値上がり益に上限はありません。株式や投資信託がいくら値上がりしても、値上がり益は全額非課税になります。

非課税の場合、具体的にどのくらいの差があるか見てみましょう。

つみたてNISAと課税口座の利益の比較(20年間運用)
つみたてNISAと課税口座の利益の比較(20年間運用)

積立金額が少ないより多い方が、年利が小さいより大きい方が差額は大きくなります。
いずれにしても、つみたてNISAの利益は、課税口座の利益より、税金の約20%分多くなり、おトクなことがわかります。

NISAのメリット2:配当金や分配金も非課税

非課税のメリットは、売却の際の値上がり益だけではありません。売却せずに保有している間も、株式投資なら配当金、投資信託なら分配金を受け取れる場合がありますが、それらに対しても非課税です。
値上がり益同様に、NISAのほうが税金の約20%分おトクです。

NISAのメリット3:確定申告は不要

利益を出して収入があれば、通常は所得税の対象ですから確定申告が必要です。
しかし、NISAの利益は非課税ですから、確定申告は不要です。

NISAのデメリット1:購入商品が限られている

いいことばかりに思えるNISAですが、注意点もあります。NISAでは購入できる商品が限られていることもそのひとつ。つみたてNISAで購入できる投資信託は金融庁の基準を満たしていることが条件なので、どうしても商品数が少ないのです。
ただし、その分長期積立分散投資に適した商品を選びやすいので、必ずしもデメリットとばかりは言えません。

NISAのデメリット2:損益通算ができない
投資用口座を複数持っていると、全体として利益を出しても、あるひとつの口座では損失が出る、ということもあります。その場合、通常であれば利益と損失を相殺する損益通算ができ、全体の利益に対して税金がかかります。

しかし、NISAは他の口座と損益通算ができません。NISAで損失が出て、NISA以外の課税口座で相殺できそうな利益が出た場合でも、課税口座の利益に対して税金がかかります。
NISA以外の課税口座でも投資をするなら、損益通算ができないことを踏まえた投資先選びをすることがポイントです。

NISAのデメリット3:繰越控除ができない

株式や投資信託は、値上がりしてから売ることで利益を得ますが、値下がりをしてしまった時にも売却することがあります。大きな損失を避けるため、ある程度値下がりしたら売って損切するのです。
このような売却による損失は3年間繰り越して、その間の利益と相殺できます。これが、繰越控除という制度です。

しかしNISAでは、そもそも利益に対して税金がかかりませんから、繰越控除もできません。NISAは投資初心者でも始めやすいように、できるだけシンプルでわかりやすい仕組みになっています。
投資はNISAだけ、という場合には繰越控除ができないことはあまり気にならないでしょう。

NISAのデメリット4:非課税期間終了時に値下がりしていると元本切り下げに

NISA口座で購入した金融商品が、購入時よりも値下がりしたタイミングで非課税期間を終了し課税口座へ移行すると、元本は移行時の価格として扱われる、元本切り下げがあります。その後値上がりして価格を戻せる見込みがあっても、切り下げで損失が確定してしまいます。
値動きのタイミングによっては損をしてしまいますので、非課税期間の終了が近づいてきたら値動きには注意をしておく必要があります。

NISAは使うべきなのか

このように、NISAにはデメリットはあるものの、非課税効果は大きいので優先して利用することをおススメします。
特に投資初心者で、投資口座はひとつだけで管理していこうと考えているなら、デメリットを補うだけのメリットがあるでしょう。

ある程度投資経験があり、値動きなどを見て売買するスタイルや株式投資したいなら、一般NISAがおススメです。これから伸びそうな業界や企業の株式に投資をして、値上がりしたところで売却すれば、非課税のメリットをしっかり生かせます。
ただし年間の投資上限額は、売った金額に関わらず定められています。また、上限額まで使い切らなくても、翌年には繰り越せないので、しっかり活用できるよう計画的に投資をしていきたいですね。

一方、手間をかけずにほったらかし投資をしたいなら、つみたてNISAがおススメです。
定期的に投資をする金額を決めておけば、あとは自動的につみたて投資が続けられます。しかも、つみたてNISAで購入できる投資信託は、厳しい金融庁の基準をクリアしているので、どれを選んでも比較的安心して投資できます。

大変おトクなNISA、まずは始めてみてはいかがでしょうか。

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