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都内から消える「中堅コンビニ」 セブン、ファミマ、ローソン拡大の陰で……今後どうなる?

  • 2021.6.18
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コンビニ大手3社活躍の陰で現在、中堅社が次第に姿を消しつつあります。今回はコミュニティ・ストアとポプラを対象に、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。

コミュストの最盛期は全国約600店舗

エーエムピーエム、サークルK、サンクス、ココストア……かつてのコンビニ国内大手・中堅各社が大手3社(セブン―イレブン、ファミリーマート、ローソン)に経営統合して消えました。そして現在、ある中堅コンビニが姿を消しつつあります。

そのひとつが、首都圏や関西圏などに展開するコミュニティ・ストア(コミュスト、コミスト)です。

コミュニティ・ストアの親会社は国分グループ本社(中央区日本橋)です。その前身は、伊勢商人が1712(正徳2)年に創業した醸造業の大國屋。明治時代に主業を食品総合商社に変え、1915(大正4)年に「國分商店」へ改名しました。

コミュニティ・ストアは、この国分が1978(昭和53)年に子会社「国分グローサーズチェーン」を設立し、同社の取引先である酒店を系列化する形で展開したもの。

2000年代には北海道から九州まで約600店舗を展開していましたが、個人商店からの転換が多かったため、面積が狭かったり、立地が良くなかったりする店舗が少なくなく、大手コンビニの出店攻勢によって、北海道や九州の店舗が相次ぎ独立(その後、ほとんどが閉店)するなど近年は数を減らしつつありました。

2021年11月、43年の歴史に幕

一方、2011(平成23)年からは電鉄系スーパーマーケットの京王ストア(多摩市関戸)と提携して、生鮮コンビニの京王ストアエクスプレスwithコミュニティ・ストアの出店を開始。

さらにローソンと資本業務提携する中堅コンビニ・スリーエフ(神奈川県横浜市)の直営店舗「gooz」(2021年現在3店舗)の運営においても提携関係を結ぶなど、近年は首都圏近郊での事業を拡大する動きも見られました。

間もなく姿を消すことになるコミュニティ・ストア(画像:若杉優貴)

2021年現在の、東京都内など大都市圏を中心に約400店舗を展開。学校内・大規模オフィスや事業所内など限られた人のみが利用する店舗(一部は店舗一覧未掲載)も多いため、「大学の売店がコミュストだった」という人もいることでしょう。

しかし、国分グループ本社は2021年5月に突然、「11月末での営業活動の終了」を発表。同社は

「新型コロナウイルスの感染拡大などにより急速に経営環境が悪化し業績の回復が困難となったため事業終了に至った」

としており、2022年4月には運営会社も清算。コロナ禍のなか「大都市圏中心」「大企業や大学内店舗を得意とする」という同社の強みがあだになり、43年の歴史に幕を下ろすこととなりました。

急速に数を減らすポプラ

そして、もうひとつの「消えつつあるコンビニ」は、赤い看板でおなじみのポプラです。

ポプラの店舗(画像:若杉優貴)

ポプラは1974(昭和49)年に広島市で創業。他社と異なる特徴として、おかずだけが入った弁当に店舗で炊いた「炊き立てご飯」を詰める形式の「HOT弁当」(通称:ポプ弁)を販売しており、ほとんどの店舗では「大盛りサービス」や「ふりかけ無料サービス」も実施していました。

1998(平成10)年には首都圏などに展開する高島屋系コンビニ「生活彩家」を合併しており(屋号は存続)、こちらも東京都心に多くの店舗があるため「ポプラよりも生活彩家のほうが親しみある」という人も多いかも知れません。

2010年ごろには系列店を含め、全国に約700店舗を展開していたポプラでしたが、大手3社の出店攻勢を受けて、ここ数年で急速に店舗数が減少。2021年4月末時点の店舗数は、生活彩家などを合わせても全国255店舗となっています。

2014年にローソンと資本業務提携

さて、それではこのふたつの中堅コンビニは今後どうなるのでしょうか。

実は、ポプラは2014年にローソンと資本業務提携を締結。それ以降増えているのが、ローソン・ポプラへの転換です。

ローソンといえば、2016年に都内でもおなじみだった中堅コンビニ・スリーエフと資本業務提携を結び、2018年までにスリーエフ各店舗をスリーエフのプライベートブランド(オリジナル商品)を販売するローソン「ローソン・スリーエフ」に転換したことも記憶に新しいです。

このローソン・ポプラもそれと同様の形態で、店内では主にローソンの商品が販売される一方、ポプラの一番の特徴であった「ポプ弁」も販売されています。

ポプラの特徴である「ポプ弁」に、これもポプラの特徴である店内調理された「豚串」をトッピング(画像:若杉優貴)

2021年からは、都内でもローソン・ポプラへの転換が開始されており、純粋なポプラの店舗はさらに激減しつつあるものの、地方では近年「ローソンにポプ弁を導入してローソン・ポプラに転換する」という例も見られます。

なお、2021年6月時点は通常のローソンに転換される店舗やポプラのまま運営されている店舗も存在します。

しかし、前述のコミュニティ・ストアはポプラとは異なり、本部が完全に解散。会社も清算されるため、今後の対応は各店舗にゆだねられることになります。

これに合わせて、京王グループは運営する京王ストアエクスプレスwithコミュニティ・ストアを含めたコンビニ店舗の大半をセブン-イレブンのFC店に転換すると発表。

このように大手コンビニとフランチャイズ契約を結び、コミュストを大手3社の店舗に転換するという例も出てくると考えられます。

自主営業するコミュストも現れるか

コミュストは大手各社と異なり、売上高に関わらず本部に払うロイヤルティー(加盟料)が一定で、このほかには商品の仕入れ代金などを払うだけでよく、さらに24時間営業を行う必要もないため、大手コンビニと比べて加盟店の負担が軽いことが特徴でした。

それゆえ、コミュストに加盟する店舗が、ロイヤルティーが高額かつ、エキナカなどを除いて原則「24時間営業」を基本とする大手コンビニとフランチャイズ契約を結ぶ例はそれほど多くないと思われます。

そのため、当面は本部消滅後もコミュニティ・ストアの看板を掲げつつ、自社仕入れで営業を続けるという自主営業状態となる店舗も出てくるかも知れません。

京王ストアは同社が運営する「コミュニティ・ストア」以外の小規模コンビニ等も含め多くの店舗を「セブン-イレブン」に転換する予定。京王井の頭線渋谷駅(画像:若杉優貴)

コミュニティ・ストアの消滅まであと5か月ほど。「おなじみの店舗の今後がどうしても気になる」という人は、店舗に直接問い合わせてみることをお薦めします。

若杉優貴(都市商業研究所)

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