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ジム・ジャームッシュ、初の大規模特集上映。タイムレスな名作をジャックする

  • 2021.6.17
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インディペンデント・シーンを牽引し、80年代後半から90年代のミニシアターブームを支えてきたジム・ジャームッシュ監督。そんな世界中の映画人たちからリスペクトされてきた鬼才の12作品が、この夏、都内のミニシアターにて特集上映される。色褪せない名作の数々をスクリーンで観られる貴重な機会を逃す手はない。

初期作から最新作まで厳選のラインナップ

ジム・ジャームッシュ監督の作品が初めて日本で劇場公開されたのは1986年。現在に至るまでの35年の歳月の間に、数々の名作が発表されてきた。自分のつくりたい作品をつくり続け、多くの映画ファン、クリエイターに影響をもたらしながらも、自分のやり方を曲げなければならないような大作とは距離を置いてきた稀有な存在だ。

今回は館ごとに異なる上映作品、全12作がラインナップ。初期作から最新作まで、厳選した名作たちが、新宿、有楽町、渋谷、吉祥寺のスクリーンで蘇る。

『パーマネント・バケーション』© 1980 JIM JARMUSCHHarumari Inc.
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』© 1984 CINESTHESIA PRODUCTIONS INC. New York All Rights ReservedHarumari Inc.
『ダウン・バイ・ロー』© COPYRIGHT 1986 BLACK SNAKE INCHarumari Inc.
『ミステリー・トレイン』© Mystery Train, INC. 1989Harumari Inc.

大学卒業制作にして、オフビートなスタイルで世界中の映画ファンを虜にした長編デビュー作『パーマネント・バケーション』(80)、カンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞した『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(84)、“酔いどれ詩人”の異名を持つカリスマシンガーのトム・ウェイツ映画初主演『ダウン・バイ・ロー』(86)は、ジム・ジャームッシュ監督の名を世に知らしめた初期三部作。加えて、工藤夕貴と永瀬正敏が出演し話題を呼んだ『ミステリー・トレイン』(89)といった、当時日本の映画ファンが大きな影響を受けたタイトルがラインナップする。

『ナイト・オン・ザ・プラネット』© 1991 Locus Solus Inc.Harumari Inc.
『デッドマン』© 1995 Twelve Gauge Productions Inc.Harumari Inc.
『ゴースト・ドッグ』©️ 1999 PLYWOOD PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVEDHarumari Inc.

90年代の人気作も色あせていない。ウィノナ・ライダーをキャスティングし5つの都市を舞台にタクシーの車内で起こる出来事を描いた『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)、ニール・ヤングの即興演奏に魂を揺さぶられるジョニー・デップ主演の西部劇『デッドマン』(95)、フォレスト・ウィテカーがサムライの殺し屋を演じた『ゴースト・ドッグ』(99)など、豪華出演者で実験的なスタイルに挑んでいる興味深い作品も登場する。

『コーヒー&シガレッツ』© Smokescreen Inc.2003 All Rights ReservedHarumari Inc.
『ギミー・デンジャー』© 2016 Low Mind Films IncHarumari Inc.
『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』©2013 Wrongway Inc., Recorded Picture Company Ltd., Pandora Film, Le Pacte & Faliro House Productions Ltd. All Rights Reserved.Harumari Inc.
『パターソン』©2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved.Harumari Inc.
『デッド・ドント・ダイ』© 2019 Image Eleven Productions Inc. All Rights Reserved.Harumari Inc.

2000年代に入っても、精力的に多くの作品を発表。個性豊かな俳優やミュージシャン、コメディアンが次々に登場する短編集 『コーヒー&シガレッツ』(03)、ティルダ・スウィントンとトム・ヒドルストンが“吸血鬼”に扮する異色のラブ・ストーリー『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(13)は当時映画ファン必見の話題作だった。もちろんクチコミが広がり日本でも大ヒットした、アダム・ドライバーがバスの運転手を演じ、何気なくもかけがえのない日常を綴った『パターソン』(16)も上映される。さらに、伝説のバンド「ザ・ストゥージズ」に迫るドキュメンタリー『ギミー・デンジャー』(16)、アダム・ドライバーやビル・マーレイからセレーナ・ゴメスまでジャームッシュ組のオールキャストが集結したゾンビ映画『デッド・ドント・ダイ』(19)など最新の作品まで再びスクリーンで観ることができる、ファン垂涎の内容となっている。

作品を鑑賞すること自体は、DVDやサブスクリプションで気軽に叶うこのご時世。でも、見逃した傑作を大きなスクリーンで観られる機会はそうそうない。迫力のある映像と音楽、何より映画館という空間に身を置けば、より深度のあるエンターテインメントとして作品ひとつひとつが染み込んでくるだろう。ジム・ジャームッシュ監督の作品に触れ、世界中の映画ファンを虜にしてきたタイムレスな魅力を掘り下げる絶好のチャンスをお見逃しなく。

アイキャッチ画像:
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』
© 1984 CINESTHESIA PRODUCTIONS INC. New York All Rights Reserved

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