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「疾風怒濤」とはどんな意味の言葉?その由来にはドイツが関係しているとはどういうこと?

  • 2021.6.17
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「疾風怒濤」という言葉をは、激しい風や荒れ狂う波を表現する言葉です。 時代が激しく変化することを表現する際に多く用いられます。

こういった四字熟語の多くは、中国の故事に由来するものが多いですが、「疾風怒濤」はその限りではありません。 ドイツ語の和訳として生まれたとされれいます。

そこでここでは、勇ましい響きのある「疾風怒濤」の意味や由来、類義語などを解説します!

「疾風怒濤」とは

まずは、「疾風怒濤」の意味について見ていきましょう。

「疾風怒濤」の意味

「疾風怒濤」は、激しい風や荒れ狂う波をあらわした言葉です。

「疾風」が突然激しく吹きすさぶ風を、「怒濤」は荒れ狂う波や激しく打ち寄せる波を指しています。 この2つを重ねることで、風や波のように激しい勢いのある様や、時代が激しく変化する様子を言いあらわしています。

「怒涛」と表記してもOK

「疾風怒濤」は、「疾風怒」と表記しても間違いではありません。 微妙に漢字が違うようにも見えますが、「涛」は「濤」の略字なので「怒涛」と「怒濤」では意味は全く変わりません。

ただし、1983年にJIS(日本工業規格)が基本漢字を改訂した「JIS83制定」によって、略字の「怒涛」ではなくて旧字(繁体字)の「怒濤」を使用することが推奨されています。

「疾風怒濤」の成り立ちの背景にはドイツの影が!

「疾風怒濤」という言葉の成り立ちには、実はドイツの文学界で起こった運動が関係しています。

「シュトゥルム・ウント・ドラング」の訳語として生まれた

「疾風怒濤」の由来となるのは、「シュトゥルム・ウント・ドラング(Sturm und Drang)」と呼ばれる18世紀後半にドイツで起こった文学運動です。 この運動の名前は、ドイツの劇作家であるフリードリヒ・マクシミリアン・クリンガーが1776年に書いた戯曲のタイトルに由来しています。

当時、ドイツの文学界では、人間の理性的な部分を極端に重視しており、感情や人間性などを軽視する風潮がありました。 この風潮に対して、多くの作家が異議を唱え、理性に対する感情の優越を主張したのが「シュトゥルム・ウント・ドラング」です。 この文学運動は、当時のドイツ文学界では革命的に大きな変化でした。

文学運動の大きな動きから意味合いに変化が

「シュトゥルム・ウント・ドラング」は、ドイツ語で「嵐と衝動」という意味があります。 これをドイツ文学者・高橋健二が「疾風怒濤」と訳したのが始まりとされます。

そして、大きなうねりを見せた文学運動である「シュトゥルム・ウント・ドラング」から、「疾風怒濤」は荒れ狂う嵐と波という文字通りの意味だけでなく、時代が激しく変化するとこも指すようになりました。

「疾風怒濤」の類義語

「疾風怒濤」には、似たような意味の類義語もいくつかあります。

獅子奮迅

「獅子奮迅(ししふんじん)」は、獅子が奮い立って猛進してくるような激しい勢いを意味する言葉です。 「獅子奮迅の活躍」などというふうに使用します。

「獅子」はライオンを、「奮迅」は激しく奮い立つさまをあらわす言葉です。

光芒一閃

「光芒一閃(こうぼういっせん)」は、雷光がピカッと一瞬だけ光るように、物事が一瞬で変化する様子あらわしています。

「光芒」は、キラめく光を、「一閃」は一瞬ピカッと光ることを意味します。

疾風迅雷

「疾風迅雷」は、素早く激しい様子を意味する言葉です。 「疾風」は突然激しく吹きすさぶ風を、「迅雷」が激しい雷を指しています。

まとめ

「疾風怒濤」は、激しい風や荒れ狂う波を表現する言葉です。 時代が激しく変化することを表現する際にも用いられます。

この言葉は「シュトゥルム・ウント・ドラング」という18世紀後半にドイツで起こった革新的な文学運動が由来とされています。 「シュトゥルム・ウント・ドラング」は、同名の文学作品から来ており、この作品を和訳した際に「疾風迅雷」と付けられたのが言葉の由来となっています。

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