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砂糖を断つと、身体にどんな変化が?

  • 2021.6.15
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中毒であるか否かに関わらず、砂糖を食事から取り除くことを決めたとしよう。この新しい食生活が身体にどのような反応をもたらすか、専門家たちが解説する。

砂糖の摂取をストップすると、身体にどんな変化が?photo: Getty Images

砂糖はコカインよりも悪いドラッグのようなもの?タバコ、お酒に続くやめられないものといえば砂糖である。フランスのジャーナリスト、ダニエル・ゲルケンスによる 『砂糖ゼロ(1)』やオーストラリア人の サラ・ウィルソンによる『砂糖をやめると私は決めた(2)』などのノンフィクション本がフランスでヒットしているが、これには正当な理由がある。

砂糖という魅力的な粉は、太りすぎ、糖尿病、疲労、炎症性疾患、中毒などの多くの病気の原因であると考えられている。一夜にして禁煙するのはつらいが、砂糖も同じだろうか?私たちは、砂糖を絶って最初の数時間から、麻薬中毒者のように禁断症状が出るのだろうか?その後の結果は?醜いお腹周りの脂肪にサヨナラし、赤ちゃん肌を手に入れられる?専門家たちが私たちの疑問に答えてくれた。

断つのが難しい

食品に含まれる天然の糖は問題ない一方で、製造工場で添加される砂糖は、量が多く、危険で中毒性が懸念されることから、問題視されることが多い。

神経生物学者で CNRS(フランス国立科学研究センター)の研究責任者であるセルジュ・アハメドが2007年に実施したラットを使った研究では、ラットの 90% がコカインよりも砂糖水を好むことが示された。科学者は以下のように述べている。「別の研究では、グルコースとスクロース(砂糖の主成分)を3〜6週間の長期間与え続けると、ラットは依存状態に陥ることがわかりました。砂糖を断つと、多かれ少なかれ激しい離脱症状が見られます」。これは、砂糖がまるで麻薬のようにニューロンに作用し、報酬に関連する脳のメカニズムを活性化することによって起こる。

普段の消費レベルによっては、砂糖を断つことではじめの数時間から不快な感覚を引き起こす可能性がある。「男性の場合、最初の2週間はイライラ、不安、抑うつ状態に近い状態が見られます」とセルジュ・アハメドは説明する。

ジャーナリストのローラ・タルシシは、これを痛感している。彼女は自身のドキュメンタリー「砂糖のない私の人生:明日私は断つ!」のため、1カ月間砂糖を絶った。砂糖抜き最初の10日間が最も苦痛であったといい、この様子は2018年1月18日にフランスのテレビ局フランス 2で放送された。「鬱々として、視聴者の誰もが、私がこの生活を乗り切れないと思っていたでしょう。プロの仕事として砂糖抜き体験をする必要がなければ、絶対に心が折れていたと思います」と彼女は認めた。

管理栄養士で、『砂糖、脂肪、塩(4)』の著者であるローレンス・プルメイは次のように言及する。「デザートは喜びの源であり、それが取り去られてしまうと、どうしても落ち込んでしまいます。イライラなど強い感情を抱えると甘いものを欲する人がいますが、それを断とうとすると、自分自身を奪われるような感覚に陥ります」

体重を減らす

砂糖を抜くことで減量につながることも。 photo : iStock

多かれ少なかれ困難な移行期間を乗り越えると、砂糖抜きダイエットによって体重は減る。ローラ・タルシシは、チーズをたっぷりと使ったラクレットやタルティフレットをよく食べていたにも関わらず、1カ月で2キロ痩せた。

「砂糖は高カロリー食品です。砂糖を摂取すると、貯蔵ホルモンであるインスリンが分泌されます。シンプルに砂糖の摂取量を減らせば、カロリー摂取量を減り、簡単に減量が促されます」と、栄養士のヴァレリー・エスピナッセは著書『砂糖をやめる(5)』の中で要約している。

繰り返しになるが、もともと砂糖を過剰摂取していたタイプは、砂糖を抜くことによってより体重が減少しやすい。しかし、チョコレートムースが食べられないからといって、ケバブを食べれば良いというものではない。

より多くのエネルギーを要する

より良いエネルギー、より良い集中力、より良い睡眠......。砂糖を断つことは、10 時間寝てもなかなか朝起きられない人々の治療法となる。「糖質はエネルギー源ですが、頻繁に摂取すると疲れてしまいます。砂糖の過剰摂取は、消化器系を疲れさせる腸内酵母の発達を促します。砂糖を取りすぎると、インスリンを分泌する臓器である膵臓も疲弊します」とヴァレリー・エスピナスは説明する。

結果、砂糖を抜いた後、ジャーナリストのローラは清々しさを感じた。「しっかり眠って目が覚めても、いつも疲れていて、ランチの後には重いため息をついていました。でも、砂糖抜きの生活を始めてから10日目には、体調が良くなりました」と彼女は振り返る。

栄養士のローレンス・プルメイは、このエネルギーがみなぎる感覚は主に減量によるものであり、純粋に心理的なものであり、生理学的変化の結果ではないという。彼女は次のように説明する。「緑の野菜ジュースを飲むと、身体に良いとわかっているので、すぐに気分が良くなります。砂糖の摂取量を減らした場合、(特にもともと過剰摂取している人は)同じメカニズムを実感するでしょう」

ローラの場合、ランチの後の高糖質なデザートも疲労の原因の可能性がある。「糖質を摂取すると、膵臓からのインスリンの分泌が加速します。そしてインスリンの分泌量が減ると、最終的に低血糖になり、疲れてしまうのです」と栄養士は言う。

より美しい肌?

砂糖断ちは美肌にも効果的なの? photo : iStock

肌の質を高める上で、砂糖の摂取を控えることを推奨する人は多い。しかし、ローラ・タルシシはそれについて実感はない。「もともと肌に問題はなかったので、改善は見られませんでした」。ただし、ニキビができやすい場合は、砂糖を減らすと効果があるかもしれない。

「皮膚は肝臓とリレーをするように、毒素を排出する器官として機能しています」とヴァレリー・エスピナスは説明する。「肝臓の機能が低下している人は、過剰な糖分や脂肪やアルコールなどの物質がニキビという形で現れます。もしあなたが太りすぎでもなく、ニキビもなければ、砂糖抜きの生活をしても奇跡は起こらないかもしれません。また、睡眠にもともと問題がなければ、それ以上睡眠が良くなることもないでしょう」。

したがって、糖質抜きは、すべての問題 (睡眠、気分、体重、さらにはカップルの関係) の解決策にはならない。しかし、食事と砂糖の摂取量を意識することで、解決の糸口が見えてくるかもしれない。「極端になることには注意して、なんでもバランス良く食べましょう」とローレンス・プルミーは締めくくる。何事も節度を持ってほどほどに、が大切だ。

(1) Danièle Gerkens著『Zéro sucre』Les Arènes刊(2) Sarah Wilson著『C’est décidé, j’arrête le sucre』Larousse刊(3) Rola Tarsissi 「Ma vie sans sucre : demain j'arrête !」(4) Laurence Plumey『Sucre, gras et sel』Eyrolles刊(5) Valérie Espinasse 『J’arrête le sucre』First刊

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