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「なぜ管理職になれたんですか?」部下に軽視されがちな女性の特徴

  • 2021.6.14
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「男性部下が頼みごとを聞いてくれない」「男性上司より下に見られている気がする」……。社内で軽んじられていると感じる管理職の女性は多いようです。そもそも部下に軽視されがちな人とは、どんなタイプなのでしょうか。女性特有の「インポスター症候群」とは――。

あごに手をやりこちらを振り向くビジネスウーマン
※写真はイメージです
軽視されがちな人3タイプ

部下に軽視されていて、指示や頼みごとを聞いてくれないという女性の悩みはよく聞きます。まずは一般的に軽視されがちな人とは、どんな人でしょうか。次の3タイプが挙げられます。

① 最低限の仕事をこなせていない人

仕事面について、最低限与えられた仕事をこなせない人は、周りから軽視されます。

② 自己主張できない人

対人関係において、自分に自信がない、誰からも嫌われたくない、といったところが根底にあり、自己主張できない人は、周囲からは「何でもいい人」と思われます。

③ 規律を守らない人

社会人として規律やTPOを守る、相手を思いやる、といった意識のない人は軽視されます。

ただし規律を守りすぎて柔軟性がなくなったり、相手を思いやりすぎて自己犠牲になったりしている人は、トラブルを招きかねません。

日常的に自己主張していくことが大切

自分の頼みごとを部下に聞いてもらうには、まず信頼関係が必要です。ふだんから信頼関係のない人から、ここぞというときときに頼まれても、頼まれたほうは受け入れがたいですよね。そのためには「最低限の仕事をこなす」「自己主張をする」「規律を守る」という、この3つの行動を、ふだんから積み重ねていくことが大切です。

なかでも「自己主張をする」ことは特に意識してほしいこと。それが通る、通らないは関係なく、自分はそれについてどう思うか、しっかり発言する。仕事の会議はもちろんプライベートの会食でも、何を食べたいとか、どこの店で食べるとか、自分の意見を少しずつでも出していくこと。どうジャッジされるかは気にせず、どんどん主張しましょう。「自分の意見を言う人なんだな」と周りが認めれば軽視されることはなくなります。

自分の能力で昇進したと思う男性、誰かのおかげと思う女性

ただし女性の場合、この3つがしっかりできているのに、なお軽視されていると感じることがあります。その原因は「インポスター症候群」です。

インポスター症候群とは、能力や実力があるにもかかわらず、自分を過小評価してしまう心理傾向のこと。男性なら昇進について、「俺に能力があったからだ」で終わるところが、女性の場合は「運がよかったから」「周りのサポートがあったから」と考えてしまう。自分に能力があるように周囲をあざむいているという感覚があることから、インポスター=詐欺師という名前がついています。

運がよかったから管理職になったと思っているので、いつか自分のダメなところが露呈するんじゃないかとビクビクしている。いつも不安を抱えて男性部下からなめられるんじゃないかと思っている。その自信の無さが伝わると、言うことを聞いてくれない、軽視されるというところにつながっていきます。またそんな心理状態でいるときに、たとえば部下から「なんで管理職になれたんですか?」と問われると、「僕は上司として認めていません」と皮肉を言われているような、軽視されているような気がしてしまうという側面もあります。

誉め言葉はそのまま受け取るべし

でも、これは皮肉でも何でもなくて単純な疑問かもしれませんし、どうやってなれたのかアドバイスを求めているのかもしれません。それを皮肉に受け取ってしまうことが、インポスター症候群の症状といえます。

ではインポスター症候群を解消するには、どうしたらよいでしょうか。その第一歩は褒め言葉は素直に受け取ること。「すごいですね」「さすがですね」と褒められたら、「運がよかったから」「みんなのおかげで」と言わずに「ありがとう」と受けとめましょう。

矢印の方向へ走るビジネスパーソンたち
※写真はイメージです

そのうえで、女性は普段通りにやっていれば、今求められているマネジメントが自然にできます。今求められているマネジメントとは、苦しんでいる部下に共感して「大丈夫?」と声をかけたり、「何か手伝えることはある?」と寄り添ったりすること。今までの男性上司は「俺についてこい」「俺の背中を見て育て」といったスタイルが一般的でしたが、女性上司はそうではありません。こういったスタイルのマネジメントをきれいにできるのは、女性ならではですから、管理職の女性は、自信をもって堂々とやってほしいですね。

管理職としての交渉力が必要

管理職になると、社内の他部署との調整や交渉が重要な仕事の1つになります。このときに、冒頭で触れたような基本の3点ができていないと聞く耳を持ってもらえません。常日頃から「最低限の仕事をこなす」「自己主張をする」「規律を守る」をクリアしておくこと。そして交渉の中では、いかにwin-winにするか、つまり相手にどんなメリットを与えることができるかを示すことが重要な落としどころになります。このとき、相手がどんな価値観を持っているか、何を大切にしているかを知っておくことは、非常に意義があります。交渉相手の価値観を知っておくことは、win-winにつなげる武器になるのです。

たとえば交渉相手が上昇意欲の強い人であれば、「プロジェクトの成功の先にあなたの昇進がありますよ」と示していくということですね。

これに加えて、管理職として誰かと交渉する際には「個人のため」ではなく「会社のため」という、プレーヤーとはまた違う考え方が必要になります。個人の思惑ではなく、それが会社の理念やビジョンにどれだけ合っているかということを説明材料に入れなくてはならない。さらに会社を飛び越えて、社会に対してどれぐらいインパクトのある仕事をするかといった目線の高さと気持ちの強さが大切になってきます。

自分の意見を通す根回しのコツ

日本の組織では「会議の前にすべてが決まっていた」ということも少なくありません。煙草部屋や飲み会で根回しが行われていたということです。こういった男性社会の見えない力学に疲弊している女性も多いことでしょう。

管理職になると、こうした社内政治を避けることはできません。まずそういった力学はあるものとして、そこにどのように入り込んでいくか作戦を練りましょう。

ステップ1としては「社内の勢力図を把握すること」です。誰が人事権を持っているか、予算はどれぐらいあるのか、社内の勢力図を調べると、影響力のある人がわかってきます。

そのうえで「自分の味方をつくること」。これがステップ2です。そういう存在は、いつ生きてくるかわかりません。たとえば先輩の管理職女性がいたら積極的に慕って、女性のキャリアプランなどのアドバイスをもらいながら親密度を高めておく。

自分を上にあげてくれた男性社員の存在も貴重です。自分の今の姿が期待に応えられているかどうか、フィードバックをもらいつつ、仲間として大切にしていく。相談されるほうも承認欲求が満たされるので、双方にメリットがありますよ。

味方をつくったうえで、勢力図のうち、最初は誰にアプローチすればいいかわかるようにしておくといいでしょうね。

女性の中には根回しを嫌う人も多いですが、社内で意見を通すには、やはり必須です。実は、こうした根回しは、コロナ禍でオンラインが増えて、しやすくなりました。たとえば、会議本番前に、力のある上司に自分の方向性を伝えてフィードバックをもらっておく。煙草部屋や飲み会でなくても根回しができるのは女性にとっては、かなり有利な状況。オンラインを活用して、どんどんやっていくことをおすすめします。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務

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