1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 5W1Hやロジックは不要「伝える」ために必要な情報とは何か考えよう!

5W1Hやロジックは不要「伝える」ために必要な情報とは何か考えよう!

  • 2021.6.12
  • 361 views
「5W1H」や「ロジック」の落とし穴とは?
「5W1H」や「ロジック」の落とし穴とは?

ビジネスを円滑に進めるために、多くのビジネスパーソンが使用している「フレームワーク」があります。その中でも「5W1H」や「ロジック」は重要とされています。情報伝達、文章構成、アイデア出しにも使えて、仕事の効率をアップさせる万能の「フレームワーク」だと言われていますが本当でしょうか?

今回は、近著「『バズる文章』のつくり方」(WAVE出版)の中でも紹介した「5W1H」や「ロジック」の落とし穴について解説します。

「5W1H」はしみじみこない

文章を書くことが苦手な人は「考えすぎて筆が止まってしまう」人が多いように感じます。「考えすぎて筆が止まってしまう」ということは「何を書けばいいのかが分かっていない」のです。「自分が何を伝えたいか」がハッキリしていない人に起こる現象です。

今日、彼女とドライブをしたあなたは日記を書こうとしています。ドライブに付随する感情や風景を加味することで初めて、文章には奥行きが出てきます。

「文章を書くときには、5W1Hを押さえるように」と多くの文章術の本では言われています。When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を押さえて書くというものですが、5W1Hを意識しすぎると、かえって分かりにくくなります。

まったく役立たないというのではありません。ビジネスの商談用の文書や報告書を作成したり、共通認識を持つためには役立ちます。しかし、5W1Hを反映しすぎたら、具体的すぎて読みにくくなります。上司への報告は5W1Hでいいと思いますが、日常会話で5W1Hで話している人などいません。

(例)彼女と何をしていたの?朝7時に起床して、お昼の12時(When)に彼女の家に車で迎えに行って(Where)、山下公園まで2人(Who)でドライブ(What)デート(Why)をしました。公園でホットドッグを食べて散歩しました。夜9時には家まで送りました(How)。

5W1Hをすべて使用して文章を作成するとこのようになりますが、まったくしみじみきません。不明点やモレはなくなりますが、うっとうしい文章になります。

まずは「気持ち」を込めることを心がける

ほかのケースを考えてみます。次の文章も5W1Hを意識したものですが、どのように感じますか?

(例)京都への旅行東京午前10時発の新幹線に乗って、京都へ12時に着いた。昼食を食べて、金閣寺に行って、時間が余ったので銀閣寺まで足を延ばした。午後5時の新幹線で東京に向かった。

報告書に書くならいいと思いますが、フレンドリーな感じがまったくしません。5W1Hでは単なる事象の報告にしかならないのです。では、次の文を読んでみてください。

(例)京都への旅行午前10時出発の新幹線だったので早起きしなければならなかったけれど、久々の旅行で前日からワクワクして目がさえてしまい、なかなか眠れませんでした。京都は金閣寺に行って、青空と黄金の舎利殿を見ながら散歩しました。すごくきれいだったので、たくさん、写真を撮っちゃいました。お昼は精進料理食べたんですけど、野菜がおいしかったです。

いかがですか? この文章には感情が込められています。伝わる文章というのは感情が込められた文章のことです。感情に触れることで読者は共感し、一層の理解を深めていきます。

ロジックにだまされてはいけない

コンサルティング会社が提供しているセミナーや研修に参加すると、触発された人が急にロジカルになることがあります。「このロジックは」「ロジカルに」などと口に出すようになります。しかし、ロジックやロジカルは相手を説得するためのフレームワークにすぎません。そこからは何も生み出しません。

どの会社にも必ず、「ロジカル・バカ」みたいな人がいますが、そもそも、人の気持ちはロジカルでは動きません。そこに強い思いや情熱があったり、楽しいと思うから動くのです。

例えば、コロナ禍における五輪開催は「開催すべき」「中止すべき」の2択が存在します。「開催すべき」「中止すべき」のどちらであっても、その根拠をロジカルに述べることはできます。テーマが五輪だろうが、コロナだろうが、経営課題だろうが、「鬼滅の刃」だろうが、どんなことでも自説をロジックで証明することはできるのです。

ロジカルは万能に見えますが、それは報告書という体裁の場合のみです。5W1Hにも同じことがいえます。フレームワークは考えるべきポイントをパターンに落とし込み、活用しやすくしたものですが、だまされてはいけません。人に伝えたいと思うなら、このような要素は極力排除すべきなのです。

コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所客員研究員 尾藤克之

元記事で読む
の記事をもっとみる