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【生野陽子の言葉に乗せて#6】最終回に思うコロナを経てとテレビ、そしてアナウンサーの存在意義

  • 2021.6.12
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まもなく産休 「連載は新鮮で貴重な時間」

2人目を授かり、まもなく産休に入ります。お腹も次第に大きくなってきました。そのため連載も、残念ながら今回が最終回。始めてからの半年間、社内外から多くの反響をいただきました。仕事への思いを知った「ぶらぶらサタデー有吉くんの正直さんぽ」のスタッフからは「連載に書いているように報道と同じくらい、『さんぽ』も頑張ってね」といじられたり(笑)、夫(中村光宏アナウンサー)を知っている人には「夫婦で協力しあっているんだね」と声をかけてもらい、気恥ずかしくなったことも。とにもかくにも読んで感想をいただき、やりがいを感じていました。

長女が産まれてから、娘の成長を記録するために日記を書き始めた私ですが、自分のための日記は書いたことがなく、今回の連載が継続的に自分のことを文章にする初めての経験となりました。この機会がなかったら、日常に追われ、慌ただしく過ごしていただけかもしれません。少し立ち止まり、内省することは新鮮であり、貴重な時間でした。

そして先月には、37歳の誕生日を迎え、自宅で家族とケーキを食べ、2歳になった娘に「ハッピーバースデー」を歌ってもらいました。ついに“アラフォー”ですが、学生の頃から幼く見られることにコンプレックスを感じていたので、年を取ることにあまり抵抗はありません。ただ、肌は正直で(苦笑)、目の周りのくすみやシミが目立ってきたので、なんとか時間を作ってお手入れをコツコツしなければ…!

朝日新聞telling,(テリング)

90代の祖母に「仕事も子育てもがんばりなさい」

続くコロナ禍。この1年で働き方に大きな変化がありました。以前は週に5日出勤をしていましたが、現在はテレワークが当たり前。これからの時代は、テレワークが完全に定着したり、副業が主流になったり、定年を延長する企業が増えたりするでしょうね。全ての人にとって、様々な選択肢がある社会になってほしいと願っています。
そして何より、コロナは一刻も早く収束してほしいです。私自身の事でいうと、現在、出産を控えていますし、娘は幼く、両親は高齢。お互い、少しでも体調が悪かったら会わない、もしくは離れて過ごさざるを得ません。

九州で暮らす90代の祖母とも時折、テレビ電話で話をするだけ。祖母はひ孫の顔を見られるだけでうれしそうな一方、孫の私に対しては子供のためにも「仕事も子育てもがんばりよぉ!(がんばりなさい)」。言われる度に背筋が伸びます。

朝日新聞telling,(テリング)

テレビのファンを増やしたい!

年を重ねることで「健康で長生き」が大事だと思うようになりました。そのためには、人と接して新しい知識を得ること、誰かと一緒に好きなことをしながら過ごす時間は欠かせません。テレビもその一端を担えると思うのです。

しかし気がかりなのは、若年層を中心としたテレビ離れの行方。

今も昔も、面白いドラマやバラエティー、興味深い番組が高視聴率を取ることは変わっていませんし、様々なツールを用いてテレビの魅力を伝え、ファンを増やしたいですね。しばらくお休みをいただきますが、復帰後は、またみんなと力を合わせて何らかのきっかけを作れたらいいなと考えています。

朝日新聞telling,(テリング)

AIアナウンサーの時代が到来しても…

テレビ離れの中で、アナウンサーの存在意義も問われていると思います。人工知能を搭載し、人のように原稿を読み上げる「AIアナウンサー」も登場していますしね。
人間であるアナウンサーとAIアナウンサーの「違い」は何なのでしょうか?私は「共感してもらえることなのでは」と感じています。

例えば私の発言には、これまでの経験や、共働きで子育てをしているといった背景が、滲み出ることがあると思います。ひとりの人間としての思いが原稿やコメントに載ることで、プラスアルファの価値が出せるはずです。

また、生放送中に速報ニュースが入ってきた際の対応力や、災害が起きた時の「命を守る行動を」などの呼びかけ、天気予報コーナーでの「きょうは暑いので、水分補給を忘れずに」など、その場に応じて一言添えるといった臨機応変な対応は、人間ならではのもの。共感してもらい、かつ、この人が言っているから少し考えてみようと視聴者の方が感じてくださる存在でありたいと思います。AIアナウンサーには負けないように頑張ります(笑)

朝日新聞telling,(テリング)

決断は「“消去法”でもいいのでは」

20代後半から30代半ばは、公私共に悩みながら、決断をした時期でした。今、振り返ると、「悩む時間」も必要だったと思います。あの時しっかり考えて決めたことだから後悔しないと感じることもたくさんあります。

決断は“消去法”でもいいのではと思います。「これは絶対にしたくない」という事が分かれば、それ以外から選択してみる。または、やりたいことだけではなく、自分に“できること”に目を向けてみる。そうすることで、新たな視点や気づきがあるかもしれません。

私自身、コラムを担当するうえで、そうした新たな考えが浮かぶことがありました。
様々な気づきを与えてくださったtelling,読者のみなさんには、心からお礼の気持ちでいっぱいです。

半年間ありがとうございました。
また、お会いしましょう!

■生野陽子のプロフィール
1984年5月、福岡市生まれ。2007年福岡大学卒業後、フジテレビにアナウンサーとして入社。「ショーパン」の愛称で人気を集める。19年4月に第一子を出産し、同年10月に復職。現在は「Live News イット!」の土日のメインキャスターを務める一方、「ぶらぶらサタデー有吉くんの正直さんぽ」にも出演。書道の師範免許を持っている。

■小野ヒデコのプロフィール
1984年東京生まれ横浜育ち。同志社大学文学部英文学科卒業。自動車メーカで生産管理、アパレルメーカーで店舗マネジメントを経験後、2015年にライターに転身。現在、週刊誌やウェブメディアなどで取材・執筆中。興味あるテーマはアスリートのセカンドキャリア。英語は日常会話に困らない程度できます。

■岡田晃奈のプロフィール
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。

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