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彫刻とは何かを追い求めた、イサム・ノグチの「発見の道」を辿る展覧会

  • 2021.6.11
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20世紀を代表する芸術家、イサム・ノグチ。彼の創作活動の主軸となる彫刻の世界を表現した展覧会「イサム・ノグチ 発見の道」が、8月29日(日)まで東京都美術館で開催中だ。「彫刻と空間とは一体である」というノグチの思考に基づいて3部構成となる同展では、光の彫刻「あかり」を含めて約90件の作品を紹介している。ノグチがどのように彫刻を追求してきたかを知ることができる貴重な機会だ。

ダイナミックな展示構成からノグチ芸術の精髄に触れる

イサム・ノグチ ©朝日新聞社Harumari Inc.

イサム・ノグチは、彫刻をはじめインテリア・デザインや舞台芸術など、幅広い分野で活躍した芸術家だ。そのなかでも、生涯を通して追い求めたのは彫刻だった。石や金属、和紙など素材を横断し新しい彫刻のスタイルを築いたノグチは、晩年、「石の声を聴いて、ちょっとだけ手助けをしてあげるんです」と語り、その集大成といえる石彫作品を制作。それらの作品群は今なお、人々の心を惹きつけ続けている。本展では、彼が晩年にその境地に達するまでの道のりを見ることができる。

「あかり」インスタレーション 撮影:齋藤さだむHarumari Inc.

3部から成る第1章、「彫刻の宇宙」の見どころは、150灯におよぶ「あかり」のインスタレーションだ。1950年代に岐阜提灯との出会いから誕生した「あかり」は、単なる照明器具ではなく「光の彫刻」として30年にわたって制作されたノグチのライフワークといえる作品だ。展示室の中央につるされた大小さまざまな「あかり」の間を通り抜けることで、その存在に包まれるような体験をすることができる。

イサム・ノグチ 《リス》 1988年、ブロンズ、香川県立ミュージアム蔵 ©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713Harumari Inc.
イサム・ノグチ 《プレイスカルプチュア》 1965-80年頃(製作2021年)、鋼鉄、茨城放送蔵 撮影:齋藤さだむ ©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713Harumari Inc.

続く第2章の「かろみの世界」からは、アメリカ人の母を持つノグチが日本文化に影響を受けた様子を感じ取ることができる。折り紙や切り紙など日本の素材が持つ「軽さ」という特性に着目し、折り紙を着想源として制作された《リス》や《座禅》、うねった真紅のフォルムが特徴的な《プレイスカルプチュア》など「かろみの世界」を体現する作品が並べられている。

イサム・ノグチ庭園美術館 石壁サークル 撮影:齋藤さだむ ©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713Harumari Inc.
イサム・ノグチ 《ねじれた柱》 1982-84年、玄武岩、イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与) 撮影:齋藤さだむ ©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713Harumari Inc.

第3章「石の庭」では、ノグチの集大成というべき石彫作品が展示されている。現在、「イサムノグチ 庭園博物館」がある香川県牟礼町にアトリエを構えたノグチは、自然に囲まれた自身のアトリエで石そのものの素材を活かした石彫作品にトライした。そんな大型石彫10点が東京に展示されるのは今回初めてのこと。それらの作品群に触れることで、東京にいながら「イサムノグチ 庭園博物館」の空気を味わうことができる。

いずれの章も仕切りの壁や決められた順路がほとんどなく、広々とした展示空間を自由に歩き回って鑑賞できる。ノグチが彫刻の可能性を発見した“道”を散策することで、彼の作品の魅力を発見できるだろう。

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