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レ・ジョリ・プランシュの魔法で、パリ的インテリアに変身!

  • 2021.6.10
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イザベル・ディアコノが「Les Jolies Planches(レ・ジョリ・プランシュ)」のブランド名で始めた図版ポスターの製造販売。「フィガロジャポン」5月号の中の彼女の転職物語では語りきれなかった商品について、紹介しよう。コンランショップとのコラボレーションも発売されたことだし……。

人気のインテリアデコレーターであるゾエ・ドゥ・ラス・カズがパリに持つレンタルスペースにて開催されたレ・ジョリ・プランシュの発表会より。photos:Mariko Omura

レ・ジョリ・プランシュを設立したイザベル・ディアコノ。photo:Mohamed Khalil

2017年に彼女が最初に販売を始めたのは、イラストで人物をちりばめたフランスの歴史年表のポスターだった。彼女の子ども時代、学校の教室には年表、地図といった大きな図版が壁にかかっていて、毎日目にすることで生徒たちの記憶に役立った。イザベルの頭にレ・ジョリ・プランシュのアイデアが浮かんだのは、それらを現代の子どもたちにも!ということがきっかけだ。

「歴史年表を懐かしむ大人も多く、すぐにヒット商品になりました。テーマを発展させようと、次に出したのは“勇気ある女性たちのギャラリー”。これは女の子たちに、自分の意思を貫いた女性たちが古代からいたことを見せたいと思って……。50名の女性たちの肖像画で構成されています。たとえば、その昔のギリシャで女性は医者になれなかったけれど、父から医学を学び女性であることを隠して試験に参加して受かった女性がいました。彼女が女性だと明かされたとき、性別は意味がないということがわかって、女性にも医の道が開けたんですね。女の子たちへの教育的な面もあるけれど、あまりガーリーにならないようにして大人にも気に入られるようなポスターにしました。男性にも見せたいし……。女性の中には会社での昇級祝いにと、これを自分に贈る人もいます」

新作から。壁に貼りやすいステッカータイプが登場した。場所を変えて貼り直すことも可能。どちらもフランス国立図書館(BNP)のアーカイブから。各90ユーロ

レ・ジョリ・プランシュを設立する時に彼女がこだわったのはメイド・イン・フランスのクオリティの高いポスターだった。すぐに破れる紙ではなく、長持ちする素材としてコットンのトワルを使用し、アート作品の印刷を専門とする印刷所を見つけ……。トワルなので印刷にも微妙な立体感が出る。

「フランス産にすることで、この国に職をクリエイトしたい、この国のサヴォワールフェールを守りたいと思ったのです。あいにくとトワルの素材のコットンだけはフランスで育たないけれど、たとえばポスターを収める筒はフランス産です。印刷所はわりとすぐに見つかりました。起業する私を信頼し、少量の注文でも引き受けてくれたんです。“この経験を一緒にしたい。価格も抑えましょう”って。その後、彼はレ・ジョリ・プランシュの仕事をこなすために、3人も雇用することになったんですよ!」

ポスターは黒い筒入りで販売される。ハードタイプなので、模様替え時のポスターの保存にも重宝だ。photo:Mariko Omura

ブランドが生まれて2年たったところで、大きな飛躍をブランドにもたらすことになる出来事があったのだ。それはフランス国立図書館(BNP)との提携である。これにより図書館が所蔵する図版をイザベルが自由に選び、自由に使用できるので商品の種類が豊富に。

「この提携を提案された時、とても感動しました。アーカイブには膨大な量の図版があって、そこから私はオリジナルなクリエイションをしています。ひとつのポスターに、複数の本から選んだ図版をレイアウトしなおして、というように……。古くは17〜18世紀のものです。このBNFとの提携がうまくいったことから、国立美術館連合(RMN)とも提携することになりました 」

RMNのアーカイブには絵画があるので、クリエイションの可能性がさらに広がったのだ。これらは二次元のポスタータイプではなく、フレームと一体化させて商品化することにした。最新作は、背中向きの女性が描かれたヴィルヘルム・ハマスホイの絵画『休息』。彼の静謐な世界をレ・ジョリ・プランシュのおかげで、寝室やキッチンなど自宅で味わえるのだ。なお、絵画シリーズは各50点の限定生産。すでにソールドアウトの品もある。

左:RMN所蔵品から選ばれる 絵画のシリーズは140ユーロ〜。右:ハマスホイの『休息』は210ユーロ。photo:(右)Mariko Omura

ポスターを発展させたアイデアとして、イザベルは“キャビネ・ドゥ・キュリオジテ”というシリーズもスタートした。これはサイズもイラストも異なる複数の図版のセットだ。自宅内、1カ所にまとめたり、ばらばらにと、自由に飾れるのである。彼女のこのアイデアを気に入ったのがコンランショップ。最近、両者のコラボレーションによって2種のキャビネ・ドゥ・キュリオジテの販売が始まった。どちらも、BNFが所蔵する18世紀の図版からのセレクションだ。

レ・ジョリ・プランシュ×コンランショップの8点セット「The natural history of Carolina, Florida and the Bahama Islands」は210ユーロ。探検家が記録に描いたイラストをベースにした版画をBNPの18世紀稀少本のストックからイザベルが選んだ。

左:レ・ジョリ・プランシュ×コンランショップの6点セット「Le grand jardin extraordinaire」は190ユーロ。右:2種とも、それぞれ黒いカルトンに収められて販売される。パリのコンランショップでも購入できる。photo:(右)Mariko Omura

ブランド誕生のきっかけとなったポスターにしても、裏がステッカータイプのバージョンも始めている。これなら額は不要なうえ、希望する場所に簡単に飾ることができるだけでなく、場所を変えて貼り替えることも可能。もちろん、これらは額に入れることも可能だ。BNPの所蔵作品からステッカータイプ用に選んだのはミシュランの1912年の広告のビベンダム、19世紀初期の松風・村雨の版画……と図柄のタイプもいろいろ 。この先、どんな素敵な作品を彼女がBNP、RMNから掘り出すのか楽しみになる。また彼女が現存のイラストレーターに依頼するオリジナルのクリエイションも続けているので、レ・ジョリ・プランシュの世界は広がるばかり。

BNPのコレクションは内容が豊富。左:パリで燃え続ける日本ブームに葛飾北斎はぴったり。70ユーロ右:ジュール・ヴェルヌの『月旅行』70ユーロ。どちらもステッカータイプだ。

Les Jolies Plancheswww.lesjoliesplanches.comInstagram:@lesjoliesplanches

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