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早期リタイア「FIRE」を目指すミレ二アル世代が増えている理由

  • 2021.6.9
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近年、早期リタイアを目指す「FIRE(ファイア)」が若者を中心に広がりをみせています。しかし、言葉は知っていても具体的な内容は分からないという声も少なくありません。

そこで今回は、FIREの概要や注目される理由、実現したときの生活の変化などについて紹介していきます。FIREについて知りたい方は、ぜひご一読ください。

早期リタイアを目指す「FIRE」とは?

「FIRE(Financial Independence,Retire Early)」とは、経済的な安定を確立して早期リタイアを実現する取り組みのことです。
これまで一般的には、60歳前後に定年してセカンドライフを送ることがモデルとされてきましたが、FIREの概念では40歳代~50歳代前半を目安にリタイア生活を送ることが提唱されています。

もちろんこれまでも、ビジネスで成功したり遺産を相続したりと、お金のために働く生活から若くしてリタイアする動きはありました。しかしFIREは、特定の富裕層だけでなく誰にでも始められる可能性があるところに、従来の概念との違いがあります。

また、FIREを実現した後は、投資などの資産運用を主な収入源としながら、豊かな人生を送ることを目的としているのもポイントです。お金持ちになることを目指したり、お金をたくさん貯めてから仕事を辞める、という概念ではないことを覚えておくとよいでしょう。

なぜ今「FIRE」が注目されているの?

では、今なぜFIREがこれだけ注目されているのでしょうか。その理由には、次のような変化が関係していると考えられています。

人生設計の考え方が変わったため

FIREが注目されている背景には、人生設計の考え方が変わったことが関係しています。人生100年時代といわれるように、日本人の平均寿命は年々長くなっており、年金だけに頼るような老後の人生設計は成り立たなくなりつつあります。加えて、定年が70歳に引き上げられるなど、年金受給時期もどんどんと後ろ倒しになっているのも現状です。

リタイア後のまとまった資金である退職金も1997年の平均2,871万円をピークに右肩下がりで減少しており、2018年には平均1,788万円と20年間で1,000万円以上減っています(厚生労働省「就労条件総合調査」)。また、フリーランスや転職を繰り返している場合は退職金そのものを受け取らない可能性もあるでしょう。こうした時代の流れは自分の力だけでは変えられないため、FIREのような人生設計に注目が集まっているといえます。

価値観が変化しているため

FIREは元々アメリカで起こったムーブメントで、主な支持者となっているのがミレニアル世代(2021年時点で20代前半~30代後半)の人たちです。この世代はマイカーやマイホームなどに強い憧れがないなど、これまでの成功概念に縛られない価値観をもっているといわれています。

とくにFIREを目指す若者の多くは、たくさんのものを持つことよりも人生の時間の使い方に敏感であり、より豊かな人生設計を作り上げていきたいという共通認識があるようです。そのため、世代間での認識の違いが顕著に見られることもあり、FIREに批判的な意見を持つ年長者もいますが、多くは価値観の違いであると認識しておくとよいでしょう。

資産運用が始めやすくなっているため

かつては、ある程度まとまった金額がなければ行えないイメージがあった資産運用ですが、近年では1万円以下で始められる少額投資も登場するなど、そのハードルはぐっと低くなりました。

中には数百円から始められるものもあるなど、若者でも資産運用がしやすい仕組みが出来上がっており、FIREを後押しする一因となっています。また、低金利の影響で銀行に預けておくだけでは資産が増えないことから、資産運用に目を向ける人が増えていることもFIREを身近にしている要因でしょう。

では、FIREを実現すると生活はどう変わっていくのでしょうか。ここからは、FIRE実現後の生活の変化について紹介していきます。

「FIRE」を実現すると生活はどう変わる?
生活するために働く必要がなくなる

FIREを実現すると、生活のために働く必要がなくなります。そうなると、会社の場所によって住む場所を制限されることもなくなり、自分のやりたいことにチャレンジすることもできるでしょう。

一方で、FIREを目指す人の目的は、お金持ちになることではなく豊かな人生を楽しむことである場合がほとんど。そのため、自分の好きな仕事からも収入を得ていく「サイドFIRE」や、気の合う仲間と週1~2日だけ働く「バリスタFIRE」など、さまざまな形で仕事を続ける人もいます。

しかし、経済的基盤がすでに確立されているため、いつでも辞められる状態が整っていることはFIRE以前との大きな違いでしょう。

投資による収益を得ながら生活できる

FIREを実現すると、日々の労働ではなく投資などの資産運用が主な経済基盤となります。この経済基盤を構築するために、FIREを目指す多くの人がそれぞれリタイア後に必要な生活費を計算した上で資産運用を活用しているのです。

ここで簡単に、FIREを実現する目安となる金額を見ていきましょう。
FIREでは年間支出総額の25倍の金額を投資元本として確保するのが1つの形といわれています。
たとえば、月25万円、年間300万円の支出がある場合は7,500万円を投資元本として確保することができれば、それ以降は投資の収益で暮らすことが可能だといわれています。

また、「生活費を投資元本の4%に抑えることができれば資産を減らすことなく暮らせる」という「4パーセントルール」を用いると、年間支出の17~20倍でFIREが可能という見立てもあります。この場合、前述の例だと5,100万円~6,000万円を投資元本にできればFIREが可能となるでしょう。

自由な時間が増える

FIREを実現すると、自由な時間が増えます。株式会社マイナビが、マイナビニュース会員317名にFIREをしたいかを尋ねたアンケートによると、55.7%の人が「はい」と答えたといいます。
その中からさらに、FIRE後の生活はどのように送りたいかを尋ねると、次のような答えが並びました。

・趣味を生かしてYouTuberとして暮らしたい
・海外移住をして語学力を活かした仕事をしたい
・のんびりと自分の時間を過ごしながら、好きなことをしたい
・自然に囲まれた場所で仕事をしたい
・自宅を決めずに、日本中を旅しながら生活したい
・田舎で自給自足の生活を送りたい
・農業を始めたい

FIREを実現することができれば、こうした夢を叶える自由な時間を手にすることができるでしょう。

「FIRE」を目指すと経済的に自由で豊かになる

FIREを目指すと経済的に自立することができ、自由で豊かな人生を手にできる可能性が高まります。今すぐに始めなかったとしても、自分自身のFIREの目安となる金額を計算してみると、よりイメージがわきやすいでしょう。

この機会に自身のFIREについて、考えてみてはいかがでしょうか。

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