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『死霊館』最新作がアメリカで大ヒット 実は驚きの結果と、それが意味する映画館の希望

  • 2021.6.8
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『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(c)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

先週末の6月4日から全米公開された『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』が前週まで1位の座に光り輝いていた『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』を抑え、堂々のトップに躍り出た。

『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は公開直後の週末で4800万ドル(約52億円)を、その後の5日間を通して初週5800万ドル(約63億円)もの興収を記録した。前作に続きジョン・クラシンスキーが監督を、エミリー・ブラントが主演を務める同作はコロナ禍によって閉館していた映画館の再開と同時にリリースされ、まさに復活を象徴づける記念すべき作品となった。多くの関係者が今週も依然としてトップを『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』がキープすると予測していた中、2週目は公開館数3744館で1950万ドル(約21億円)という成績となり、同じホラージャンルである『死霊館』シリーズ最新作が1位となった。

『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』は北米3102スクリーンで公開され、初週末3日間の興行収入は約2400万ドル(約26億円)という、当初の予想を大幅に超えた売り上げを記録。実はこの結果は、少し驚くべきものがある。というのも、本作は劇場公開とともにHBO Maxで追加料金なく配信されているからなのだ。ワーナー・ブラザースは『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』のストリーミング視聴者数を公表していないが、HBO Maxがローンチしていない国では現段階で3300万ドル(約36億円)を記録。本作の製作費は4000万ドル(約43億円)で、現在の世界興収が5700万ドル(約62億円)というのだから大ヒットである。2013年公開の『死霊館』にはじまり、『アナベル』シリーズや『死霊館のシスター』、『ラ・ヨローナ~泣く女~』までのスピンオフを含め、これまで7作品が世に放たれてきた『死霊館』ユニバース。全世界で18億ドル超えの、興行収入的にみてホラージャンルで最も成功しているシリーズである。マーベル・シネマティック・ユニバースを除いて、ここまでヒットしているユニバース作品は他にないとも言われている。

現在、ワクチンの配布が進むアメリカは国内で75%の映画館が営業を再開。そしてこの『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』と、とくに配信も同時にしている『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』の興行収入の結果は、この1年で幾度にもわたる公開延期や閉館など、暗いムードに包まれていた映画業界の回復を思わせる、まさに“希望”のようなものだ。どちらの作品もホラー映画という点も、ストリーミングサービスで観る以上に映画館で観ることの体験価値をより際立たせているのではないだろうか。

ちなみに『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は現在劇場公開のみとなっている。本作は、全米では公開日の5月28日から45日後にパラマウント・ピクチャーズの親会社であるバイアコムCBSによる新たなストリーミングサービス「Paramount+」で配信予定だ。もともと、製作側、特にクラシンスキー監督は本来あった劇場公開作品の配信などの二次使用期間(約3カ月)を意味する「シアトリカル・ウィンドウ」を重要視していて、それ以前の配信にあたってパラマウント側に補填分の金銭交渉をしている。この「シアトリカル・ウィンドウ」もパンデミックとHBO Max問題で泣き寝入り状態となり、うやむやになってしまっていたが、再びルールに則った映画公開がされていくこと、それに重きを置かれること自体が、徐々に回復の兆しを見せる映画業界を象徴することかもしれない。

(文=アナイス/ANAIS)

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