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家にいるから楽?「それなら、ちょっと主夫やってみてくれない?」

  • 2021.6.4
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「言われたことしかやらんな本当に!!!」――。「洗濯物をたたんで」と言えばたたんでくれる(しまうまではしない)。「子どもを見てて」と言えば見ていてくれる(本当に見ているだけ)。

何もしてくれないわけではない。しかし、どうしても妻の「サポート役」にとどまる夫。家事・育児に対する夫婦の「温度差」にモヤモヤする!

弓家(ゆげ)キョウコさんの著書『主夫をお願いしたらダメですか?』(祥伝社)は、そんな世の妻たちの声を代弁する1冊。夫婦が互いに「たくさんの"ありがとう"に気づく共感型コミックエッセイ!」となっている。

弓家さんは月間PV数459万の人気ブロガー、イラストレーター。本書は、育児マンガアプリ「ninaruポッケ」で人気No.1の連載に描きおろしを加えて書籍化したもの。

夫はいつも客席

主な登場人物は「私(キョン)」、「夫(夫さん)」、「息子(とっくん)」。夫さんは元ダイニングバー店長。料理はプロだが、片付けは苦手。温厚でめったに怒らない。とっくんはもうすぐ4歳(執筆当時2歳)。

馴れ初めは、ダイニングバー店長の夫さんにキョンが人生初の一目惚れをしたこと。1度破局するなどすったもんだの末、夫婦に。2017年とっくん誕生。現在は家族3人と猫4匹で暮らしている。

以前、キョンは在宅で仕事をしながらほぼワンオペで自宅保育をしていた。「子どもおうちで見ながらお仕事できるなんて最高じゃん!」と言われることもあったが、実際は全然仕事にならなかった。

毎朝、起きた瞬間から「爆裂テンションMAX」なとっくんのお世話開始。それと並行して、とっくんが昼寝した時、夜に寝かしつけた後、早朝に仕事をしていた。そんな毎日を送っていたため、当時のキョンは精神的にけっこうきていた。「...つかれた」。

「本来ならば夫婦として 同じ土俵に立っているはず なのに育児も家事も私が指示していて 夫はいつも客席に座っている感じ これじゃサポート役でしかない」

「ちょっと主夫やってみてくれない?」

「とっくんを出産してから もうずっとそうだよ」......。夫さんへの不満がどんどん溜まっていくキョン。うちの中にどれだけ家事があふれているか。育児がどれだけ大変か。「大好きな人にわかってもらえないのがさみしい」と、1人泣く日もあった。

それから3ヵ月後、弓家家に転機が訪れる。

夫さんが「今のお店 一時的に閉めます」と切り出したのである。「何かバイトするよ」と言う夫さんに、キョンは思い切って「それなら ちょっと主夫やってみてくれない?」と提案。

「夫さん悩んでる~~~ やっぱ抵抗あるのかな そうだよね 主夫ってまだめずらしいし...... "女に食わせてもらうなんて"的な... 男のプライド傷つけちゃったかな」

夫さんは長考した末に「わかった いいよ」と承諾。しかし、この時のことを夫さんはこう振り返っている。

「俺 ちょっと 主夫なめてたわ」

本書は以下の構成。「仕事とワンオペ育児」「食費って知ってる!?」「夫、キレる」「温度差の正体」など、全19話を収録。「コラム 夫さんの今日の#主夫メシ」では、料理上手な夫さんのオリジナルレシピを紹介している。

■目次
はじめに 私の夫は主夫である
第1章 どうしてわかってくれないの?
第2章 ちょっと主夫、なめてたわ
第3章 今までで一番うれしいありがとう
第4章 夫婦の温度差は成長の証
おわりに

夫婦関係を見つめなおす

夫さんが主夫をやっていることについて、キョンの両親は「お前ばかり働かされてかわいそうだ」と言い、夫さんの昔の仕事仲間は「ぶっちゃけ 男がそれやるってキツくないすか...?」と言う。周囲の理解はなかなかすんなり得られないようだ。

実際、こうした夫婦のかたちはまだまだ少数派であり、世間の「温度差」はすぐにはなくならないかもしれないが......。

「なんてことはない 僕らが成長すれば時代も成長する きっとそういうことなんだ」

ただ辛いわけでも、ただ楽しいわけでもない。シリアスとコミカルの描き分けがよかった。1つ1つの場面から、その時々の感情がじんじん伝わってくる。なんとも愛くるしいイラストも魅力だ。

本書は、夫が主夫になった夫婦の1つの見本になるとともに、原点に立ち返って夫婦が寄り添うことの大切さに改めて気づかせてくれる。「このままだと私つぶれる!」と思ったら、そうなる前にぜひ読んでみてほしい。

「夫に家事と育児を任せるようになったら、夫婦関係を見つめなおすことができた。今、お互いの大変さを共有できて嬉しい」

■弓家キョウコさんプロフィール

ブロガー、イラストレーター。過去病んでいたが一周回って明るい性格。夫には「キョン」と呼ばれている。突然の思いつきにより夫をよく振り回してしまう。晩酌と読書が日課。本書が初めての著書となる。

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