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毎月の給料からどんなお金が引かれているの? 2年目から引かれるお金って何?

  • 2021.6.3
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社会人になってすぐの頃は仕事を覚えるのに忙しく、お金の管理は二の次になっている人も多いのではないでしょうか。
確かに、家計管理はプライベートなことなので、つい後回しにしてしまうかもしれませんね。
しかし、お金のことは早いうちからしっかり管理しておくことが肝心。貯蓄体質になるには、お金の管理を生活習慣にするのが近道です。
新社会人も2年目の人も、まずは毎月の給料について、理解を深めましょう。

受け取れるお金は「差引支給額」

給料の金額は、入社の時にしっかり確認していると思いますが、振り込まれている金額=給料の金額とは一致していませんよね。
その理由は、給与明細を見れば一目瞭然。
給料について考えるには、給与明細の確認は必要不可欠なのです。

手取り金額は、給料から税金や社会保険料が差し引かれたものです。
実際、いくら差し引かれているのでしょうか。

最近では、給与明細はオンラインで確認、ダウンロードできるようにしている企業も多くなっています。エコで便利な点はいいのですが、忙しさにかまけて確認しないままではいけません。
銀行口座に給与が振り込まれていることだけではなく、給与明細で詳しく内訳を見てみましょう。

給与明細を見てみよう

給与明細は、大きく「勤怠」「支給」「控除」の3つの欄に分かれます。
それぞれどのような内容なのでしょうか。

勤怠

勤怠の欄には、出勤や休暇などの勤務状況が書かれています。
勤務日数、有給休暇を取った日数、欠勤日数、勤務時間が含まれます。勤務先によっては、有給休暇の残日数が載っている場合もあるでしょう。
それから、残業時間、休日出勤をした日数・時間、深夜残業の時間、遅刻・早退の欄もあります。

これらは、給与計算のもととなる勤務実績になります。
確認して、もしも実態と異なっていたら、速やかに申し出ましょう。有給休暇の日数が違っていたり、残業したはずなのにゼロになっていたりしたら大変です。

ただし、いきなり総務課などに「間違っています」、といった内容のメールを送るのはビジネスマナーとして不適切。まずは直属の上司に相談して、どのように確認をしたらいいかアドバイスをもらうといいでしょう。

支給

支給の欄には、勤務先から支払われた金額の詳細が書かれています。
基本給のほか、さまざまな手当があります。役職についていたら役職手当、家賃補助として住宅手当がある企業もあるでしょう。扶養家族がいると、家族手当がつく企業もあります。
また、残業をすれば残業手当、休日出勤をすれば休日出勤手当があります。

通勤費は、課税と非課税があります。
1カ月15万円までの交通費は非課税通勤費として税金がかかりません。超えた分については税金がかかる課税交通費になりますが、そもそも「1カ月の交通費は○万円まで」と定められている企業が少なくありません。

いくらまでの交通費が認められるのかは、就業規則などで確認できます。
1カ月10万円まで交通費がもらえるなら、小田原や宇都宮などから東京までの通勤も可能。通勤時間はかかりますが、家賃が安くて広い部屋に住むことも難しくないでしょう。

最近ではリモートワークが普及してきています。家にいると電気ガス水道代などが余計にかかりますが、その負担を在宅勤務手当として支給する企業もあります。
1日あたり300円とか、1カ月あたり1万円、などのように定められていることが多いようです。

これらの支給を合計したのが、「総支給額」で、いわゆる額面金額です。
月収や年収は、この額面金額のことです。手取り金額ではないので、クレジットカードや賃貸住宅の入居、住宅ローンの借り入れ申込みの際には間違えないようにしましょう。

控除

控除の欄は、総支給額から差し引くお金の詳細が書かれています。
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険といった、社会保険の保険料、所得税と住民税の税金などです。
その他には、労働組合費や社員会費のように、勤務先独自の控除もあります。

控除合計額を総支給額から引いたものが、差し引き支給額、つまり手取り金額です。
しかし、控除は手取りを少なくする悪者とばかりは言えません。
なぜなら、控除されるお金には理由があるからです。

引かれるお金はこんなにある

控除されたお金は、それぞれ役に立てられています。
では、どのように使われているのでしょうか。

まず、社会保険料から見ていきましょう。

社会保険料
健康保険

健康保険は、加入者が病気やケガによる治療をした時に、給付を受けられる制度。
日本は国民皆保険制度ですから、すべての国民が何らかの健康保険に加入しています。

病院に行く時に持って行く保険証は、正式名称を「健康保険被保険者証」といって、健康保険に加入している証明になっています。加入すると保険料を払う必要がありますが、いざ病院にかかったら、総医療費の3割だけ自己負担すればよいことになります。

さらに、1カ月間に支払った医療費が一定金額を超えた場合に払い戻しを受けられる、高額療養費制度があります。70歳未満約370万~770万円の年収であれば、医療費の自己負担が8万100円を超えたら該当します。
もし、病気やケガの療養のために仕事を3日以上休んで、その間の給与が支払われない場合は、傷病手当金が受け取れます。金額は、給料の約3分の2です。

また、出産した時には、出産育児一時金・出産手当金があります。
これらの制度によって、安心して暮らすことができますね。

保険料は収入金額に応じて変わります。控除額はおよそ、総支給額の5%程度です。
ただし、この金額は個人の負担分。保険料は労使折半なので、同じ金額を勤務先も払ってくれています。

ちなみに、健康保険の対象は業務外の病気やケガです。業務内の場合は労災保険の対象になります。労災保険の保険料は全額事業主が負担しますので、給与明細には書かれていないことが一般的です。

・厚生年金保険

公的年金制度には、20歳以上60歳未満の人が加入する国民年金保険と、会社員や公務員が加入する厚生年金があります。該当する人は、必ず加入です。
給付には、老齢給付、障害給付、遺族給付があり、あてはまる場合にはお金が受け取れます。ただし、自分から請求をしないともらえないことに注意が必要です。

老齢給付は、基本的に65歳から受け取れます。
金額は、国民年金の場合は78万900円(2021年4月以降)が満額ですが、厚生年金に加入していると上乗せがあります。
保険料をたくさん払っていると、受け取りも多くなりますが、保険料の控除は給与の約9%程度です。

厚生年金の保険料も、健康保険と同様に労使折半です。勤務先も控除額と同額を負担しています。決して少なくない保険料ですよね。しかし、そのぶん国民年金のみよりも手厚い給付が受けられることは大きなメリットです。

老齢給付は、65歳以降に受け取りを繰下げることができます。繰下げると受け取り金額が増額されて、70歳まで繰下げると42.0%増額。75歳まで繰下げると84.0%も増額。逆に繰り上げることもできますが、こちらは減額されます。

障害給付は、障害状態になった時に受取れます。国民年金の場合は1、2級が対象ですが、厚生年金は1、2級に加えて3級も対象です。
障害の主なものとしては、眼、聴覚、手足などの外部障害、統合失調症やうつ病などの精神障害、呼吸器や心臓などの内部障害が挙げられます。

遺族給付は、加入者が亡くなった時に、その方に生計を維持されていた遺族が受け取ることができます。
たとえば、専業主婦の妻と幼い子どもをのこして夫が亡くなった場合、妻に対して給付が受けられます。結婚や出産をきっかけに、生命保険への加入を考える人が多くなりますが、このような公的な保障をふまえて、適切な保障額の設定をすることが大切です。

少子高齢化にともなって批判もされる年金制度ですが、老齢給付だけではなく、障害給付、遺族給付もあります。
保険料をしっかり支払って、給付を受け取るべき時には手続きをして暮らしに役立てられることを、覚えておいてください。

・雇用保険

保険料は、総支給額の0.3%(建設業など一部の業種を除く)です。
雇用保険は、失業した場合に給付、いわゆる失業保険が受け取れます。
失業の理由が勤務先の倒産など、会社都合の場合は申込から7日間は待期期間となり、その期間は受け取れません。自己都合の場合は、待期期間の後さらに3カ月間受け取れませんので気を付けてください。

受給できるのは、離職の日以前の2年間に、賃金支払いの基礎となった日数が11以上ある月が通算1年以上ある人(倒産、解雇などの場合は離職前1年間に、6カ月以上)です。
つまり、新社会人になって2、3カ月で退職しても、失業保険受け取りの対象ではないということ。退職をするなら、貯蓄など経済的な準備ができてからのほうが安心です。

失業とは、労働の意思、能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態のことです。そのため、ハローワークでの求職活動が必要です。
また、病気やケガで仕事ができない場合は対象外です。その際は、申出をすることで受給期間を延長することができます。

・介護保険

介護保険は、加齢に伴う病気などが原因で、介護が必要になった時に給付が受けられる制度です。
加入の対象は40歳以上なので、20代、30代の給与明細で差し引かれることはありません。

税金
・所得税

所得税は、支給額のうち非課税通勤費など、非課税分を差し引いた、課税分に対してかかります。税額は概算で出していますので、年末調整で計算しなおします。
払い過ぎていたら戻ってきますし、逆に足りなければ12月の給料から差し引かれます。

所得税は、扶養家族が増えたり、生命保険の保険料を払ったりすることでも減らすことができます。iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の掛金の支払いでも、同様に節税することが可能です。

所得税が少なくなれば、給料から差し引かれる金額が減りますので、手取りが増えますね。
税金は納めなければなりませんが、納め過ぎは避けたいものです。上手に節税できるよう、情報収集をしていくといいでしょう。

・住民税

住民税は、前年の収入に対してかかります。
そのため、新社会人1年目では差し引かれません。しかし、2年目は前年の収入がありますので住民税がかかります。住民税を納めるのは6月からですから、4、5月の給与明細には載っていなくても6月から差し引かれて、手取り額が少なくなる可能性があります。

さらに、退職をした場合も注意が必要です。住民税は前年の収入があれば請求されますので、仮に無収入になったとしても払うことになります。

その他

給与明細の控除欄には、勤務先や状況に応じてその他の控除が記載されていることがあります。

・社内預金

社内預金は、貯蓄分が給与から差し引かれるので強制的に貯蓄ができるようになります。
確実な貯蓄方法なので、勤務先に制度があれば積極的に利用しましょう。

・社員会費

懇親会や社員旅行の積立が控除されている場合もあります。コロナ禍で中止や延期になっていることが多いと思いますが、参加しなかった場合の取り扱いについて確認しておきたいですね。

1年目から習慣づけておきたいお金のこと

このように、給与明細からは多くのことが分かります。
自分の手元にお金が届くまでに、どんなお金が引かれているか、しっかり把握しておきたいですね。そのうえで、納得した支払いをしつつ、節約していきましょう。

そして、早いうちから貯蓄の習慣をつけたいですね。
節約は、より有意義なお金の使い方をするためです。本当に欲しいものや、やりたいことに十分なお金を使えるといいですよね。メリハリのあるお金の使い方をすると、貯蓄も無理なくできます。

成功する貯蓄の王道は「先取り貯蓄」です。
支出を節約して、給料日前にお金が余ったら貯蓄しよう、と思ってもなかなか難しいものです。お金は手元にあれば、つい使ってしまいがち。そのため、収入があったらまずは貯蓄分を分けておき、残りでやりくりするとうまくいきます。

先取り貯蓄をするには、社内預金や財形貯蓄はいい方法です。給与から差し引かれるので、はじめから無かったものとして考えられます。そのため無理なく貯蓄ができて、気が付いたら貯まっているでしょう。

社内預金がなければ、自動入金サービスの利用もおススメ。
自動入金サービスとは、毎月決まった日に、本人名義の別の金融機関の口座から、自動で入金できるサービス。インターネット銀行などで扱っていて、手数料は無料です。
入金日を給料日の直後に設定しておくと、いいですね。

まとまった貯蓄があれば、さまざまな可能性が拡がります。
将来の夢、希望の実現のため、まずは給与明細の確認からはじめてみてはいかがでしょうか。

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