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最新テクノロジーで夜の動物を映すNetflix『ナイトアース』ドキュメンタリー『舞台裏』と合わせて楽しすぎる

  • 2021.6.3
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●熱烈鑑賞Netflix 70

初めて4Kテレビが欲しくなった。高感度カメラで撮影された暗闇のサバンナ、北極、海の中は、驚くほど美しく、生々しいのにフィクションみたいだ。癒されたい人にもオススメだし、動物の生態に興味がある人、映像機材マニアの人が見ても楽しいのではないだろうか。

『OUR PLANET 私たちの地球』『デヴィッド・アッテンボロー: 地球に暮らす生命』(共にNetflixオリジナル)など、美しい映像を収めた動物ドキュメンタリーは多いが、『ナイトアース』ほど夜を鮮明に捉えた作品は珍しい。

映像美としても一見の価値/Netflixオリジナルシリーズ『ナイトアース』独占配信中

オットセイとコウモリのコラボが驚くほどかわいい

最先端のテクノロジーで撮影する地球の各所は、昼なのか夜なのかわからなくなるほどよく見える。人類が確認することのできなかった夜の動物たちは、僕たち動物の素人が抱くイメージとは全く別の姿を見せていた。

いとも簡単に草食獣を捕食するイメージのライオンは、月に数日しかない満月前後のわずかな月明かりを利用して獲物を狙っていた。しかし、キリンやカバの大型の草食動物には簡単に逃げられてしまう。仕方なく自分の何分の一かの大きさのヤマアラシを狙うが、針の鋭さに手出しできない。痛たたたって感じの表情が愛らしい。

ノルウェーの熊と鮭、砂漠のサソリVSネズミ、生まれたばかりのウミガメを狙うカモメ。これらお馴染みの組み合わせだけでなく、珍しい動物たちのコラボがただただ興味深い。海の底では珊瑚と珊瑚が消化器官をぶち撒ける生張り争いを繰り広げていた。寝ている子オットセイのヒレからコウモリが自分の体重と同じ重さの血をチュパチュパ吸っていた。ペルーの南部でこんなにも可愛い光景があるなんて想像もしていなかった。

月明かりを吸収し、蛍光色の光を放つブチアマガエル/Netflixオリジナルシリーズ『ナイトアース』独占配信中

ジャングルのホタルはふわふわと漂っていて、『ハリーポッター』みたいに幻想的だ。発光と言えば、ホタルイカも面白い。数万匹の青い光はめちゃめちゃ綺麗なのに、眼があのスーパーの鮮魚コーナーで見るイカの眼だから不思議な気持ちになる。夜光虫と呼ばれる単細胞生物の群れの中、イルカが光を纏って泳ぐ姿は世界で初めて水中撮影されたらしい。

美しい闇夜に美しい動物。伊勢谷友介が務める日本語版ナレーションは、落ち着いていて状況の補足程度しかしない。動物たちの営みをドラマティックに煽ったり、BGMで変に演出したりしない。「地球を壊しているのは人間なのだ……」なんて説教もしてこない。

リアルだからこそドラマティックで、リアルだからこそ知識になる。いや、余計なことを考えなくても楽しめる。暗い部屋で彼氏や彼女とお酒を飲みながら観たらなんかオシャレだし、1人で観ていても癒される。イヤフォンをつけたままベッドに入って、睡眠ハックとしても利用できる。

肉食獣を警戒しながら水場を探す象/Netflixオリジナルシリーズ『ナイトアース』独占配信中

おじさんたちの青春ドキュメンタリー

当たり前のように自然に介入する『ナイトアース』。動物たちは警戒心ゼロで映像はあまりにも人っ気がない。衛生写真がカエルやサソリをアップで撮影できるほど精密になったのか、それとも繊細な動物たちにも気付かれないほど超小型のドローンが活躍しているのか。やりたい放題で気軽に撮影しているのかと錯覚してしまったが、そんなわけはなかった。『ナイトアース:夜間撮影の舞台裏』は、撮影隊の苦労を映し出している。

超高性能カメラなどの機材を扱うクルーたちの撮影方法は、超原始的だった。フラミンゴに近づくためにただっぴろくて何が潜んでいるのかもわからない川にジャブジャブ入っていくし、木の葉のカモフラージュをあしらったハリボテみたいな箱を担ぎながら近づいていく。ドローンを使っているとはいえ、2万1900個のフラミンゴの数を一週間かけて数えたというのだから途方もない。

オットセイとコウモリを追った撮影隊は、数十万羽の鳥の糞の山を歩いていた。時にペンギンに道を譲り、コウモリに襲われないよう警戒しながら暗闇の中を何日間もかけて撮影に挑む。チーター班は、満月の光でしか撮影できないため、チャンスは月に数日だけ。大変な準備をしているのに、なんて運任せな撮影なのだろう。

ボルネオ島のジャングルも過酷だった。30メートルの高さの木に足場を作るために、その辺で拾った木の枝を削って即席の弓をこしらえる。弓でロープを木の上に引っ掛けて、そのロープを登って撮影台をようやく取り付けることに成功する。そして命綱をつけながら眠気と戦い、巨大な蟻の群れと戦い、何日もかけて超高感度カメラで動物たちを撮影する。もはや最新なのか原始的なのかよくわからない。

サメやシャチの撮影は命懸け/Netflixオリジナル作品『ナイトアース: 夜間撮影の舞台裏』独占配信中

そんな過酷な撮影が成功したもんだから、学者を含めた撮影隊は子供のような笑顔を見せる。『ナイトアース』は動物たちの美しさと生態に迫っていたが、『ナイトアース:夜間撮影の舞台裏』は、ものすごく賢くてものすごく社会的に地位を持った中年たちの青春を垣間見ることができた。

■さわだのプロフィール
企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。

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