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フードロスペーパー「kome-kami」で目指す、未来のための新しい取り組み。

  • 2021.6.1
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奈良の紙卸問屋として明治23年の創業以来、近畿エリアを中心に展開している株式会社ペーパル。紙文化を支えて130年の歴史を持つこちらでは「ロスチェンジプロジェクト」を社内で立ち上げ、フードロス問題の解決を目指すための企画を始めています。今回はその第一弾となる商品「kome-kami」の誕生秘話、そして今後の取り組みについて追いかけました。

「kome-kami」から見えた、フードロス問題の現状。

規格外野菜の廃棄や家庭食品からのロスなど、様々な場面で引き起こされているフードロス問題。近年では自然災害に備えた災害用食品も増えており、その多くは利用されず賞味期限が切れて廃棄されているのが現状です。〈ペーパル〉ではこのような廃棄食材のなかで多くの割合を占める、お米に着目。「ロスチェンジプロジェクト」として、これまで廃棄されてきた賞味期限切れのお米から「kome-kami」を作ることで、食品ロスについて多くの人に伝える切り口を開きました。

「kome-kami」の加工・印刷を担う機械。

お米を使って紙にするという初めての試みへの開発秘話を語ったのは、このプロジェクトの中心でもある矢田和也さん。「まずは米をうまく粉砕してくれる会社を探すところから始めました。実際の製造工程では硬い米で機械を傷つけてしまい、粉砕した米の粒子サイズも大きければ混ざりにくく、さらに粒子が紙の表面にシミのようになってしまうなど色々な懸念があったからです。それなら米を炊いて混ぜてみようとも思いましたが、今度は粘度が高くなって機械にくっついてしまうなど様々な課題に直面しました。合わせて加工・印刷をできる製造機械を探して全国の工場を見て回り、ようやく関西の製紙メーカーさんの既設機で製造をお願いすることになりました。」

ラフなのにしっとりとした質感の紙素材!

現在はノートや名刺、封筒、紙バッグなどノベルティーグッズを中心に製作。

こうして2020年4月から約1年の開発期間を経て完成した「Kome-kami」。しっかりとした厚さでありながらも、ずっと表面を触っていたくなるような質感に。「パルプに米を配合することで表面が独特な風合いで、しっとりとしています。紙の色も米が白いのでそれほど影響はありませんが、クリーム色っぽい仕上がりで色を付けることもできますよ」(矢田さん)。
採れたての艷やかなお米を思わせる自然で温かみのある白さの紙は、強い筆圧で書いても滲みにくく裏移りもなし。ボールペンや万年筆での書き心地は抜群で、普段使いにも重宝したくなる仕上がりになっています。

廃棄されるものを、価値あるものに。「ロスチェンジプロジェクト」のこれから。

「kome-kami」を使った後は古紙として循環されるため、再生紙として再び生まれ変わるシステムに。
株式会社kitafukuとともに開発した「クラフトビールペーパー」。

〈ペーパル〉では更に「kome-kami」の売上げ1%をフードバンクに寄付することで支援を行い、フードロス問題解決のため積極的に活動を行なっています。企業とも協力し、5月にはビールの製造工程で廃棄されるモルト粕を使用した「クラフトビールペーパー」を開発しました。「お米以外でもアップサイクルを一緒に行えるところが増えたらとても嬉しいです。まずはもっと多くの人に『Kome-kami』を知ってもらい、一緒になって輪を広げていきたいですね」と語った矢田さん。フードロスペーパーの今後の活動にも注目です。

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