1. トップ
  2. <大豆田とわ子と三人の元夫>佐野亜裕美Pが制作の経緯を明かす「最初は男女逆で、男性の弁護士が主人公で」【インタビュー前編】

<大豆田とわ子と三人の元夫>佐野亜裕美Pが制作の経緯を明かす「最初は男女逆で、男性の弁護士が主人公で」【インタビュー前編】

  • 2021.5.29
  • 475 views
「大豆田とわ子と三人の元夫」より (C)カンテレ
「大豆田とわ子と三人の元夫」より (C)カンテレ

【写真を見る】とわ子(松たか子)の家を訪れた八作(松田龍平)、鹿太郎(角田晃広)、慎森(岡田将生)

松たか子主演の連続ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(毎週火曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)は、脚本家・坂元裕二が手掛ける完全オリジナルストーリー。松演じる3回結婚して3回離婚したバツ3、子持ちの社長・大豆田とわ子が“三人の元夫”に振り回されながら日々奮闘する姿を描いたロマンティックコメディーだ。

離婚してもなお、とわ子のことを忘れられない男性陣として、一番目の元夫でレストランオーナー兼ギャルソンの・田中八作(はっさく)を松田龍平、二番目の元夫でファッションカメラマンの佐藤鹿太郎(かたろう)を角田晃広(東京03)、三番目の元夫で弁護士の中村慎森(しんしん)を岡田将生が演じる。

今回、同ドラマでプロデューサーを務める佐野亜裕美氏にインタビューを実施。「大豆田とわ子と三人の元夫」を制作することになった経緯や、3人の元夫たちのキャスティングがこの3人になった理由などを聞いた。前・後編の2回に分けて掲載する。

「大豆田とわ子と三人の元夫」より (C)カンテレ
「大豆田とわ子と三人の元夫」より (C)カンテレ

――「大豆田とわ子と三人の元夫」の企画の成り立ちを教えてください。

以前に坂元さんと一緒に「カルテット」(2017年、TBS系)というドラマを担当し、その後に「また一緒にやりたいです」とお願いしていくつか企画を立て、その中の一つにこの作品がありました。

コロナ禍ということもあり、どんどん社会に閉塞感が増していく中で、坂元さんのドラマに勇気づけられる人がたくさんいると思うし、何より私が一視聴者として坂元さんのドラマを見たいけど、当時坂元さんはテレビドラマをお休みしていました。だったら自分でお願いするしかないと思い、坂元さんに「また連ドラやりましょうよ」と働きかけました。

私の知人が2016年に突然亡くなってしまうということがありました。人が急に死んでしまったり、一人で生きていかなければならない状況を抱えたり、一人で生きていくことを肯定的に自分で選んだ人もいると思いますが、一人で生きていく人を応援するドラマにしたいね、というところから、坂元さんが作ってきたキャラクターが「大豆田とわ子」です。

最初は男女逆で、男性の弁護士が主人公で3回離婚していて、3人の元妻がいる設定でした。でも、男女逆の方が面白くなるのではないか、など意見交換を重ねて今の形に固まっていきました。

今回はキャストが先にあってということではなく、企画が先にあり「これをやるのは松たか子さんしかいないよね」ということで、松さんがやると言ってくれたら、(このドラマを)やろうと話してオファーをしました。

――坂元さんが脚本をやりますと承諾してくださったのはいつ頃ですか?

坂元さんは「やります」と最後まで言わないんです。「連ドラの企画出していいですか」と言ったのは2019年の年末で、最終的にやることが決まったのはコロナ禍になってからです。

【写真を見る】とわ子(松たか子)の家を訪れた八作(松田龍平)、鹿太郎(角田晃広)、慎森(岡田将生) (C)カンテレ
【写真を見る】とわ子(松たか子)の家を訪れた八作(松田龍平)、鹿太郎(角田晃広)、慎森(岡田将生) (C)カンテレ

――元夫役をこの3人のキャストに決めた理由を教えてください。

この3人は3人のバランスが大事なので、3人同時に当たって全員OKか全員だめかしかないと思いました。この3人のうち一人だけOKだったとしても、残りの二人のキャストバランスをどうしようとなるので。年代別に一人はアラサー、一人はアラフォー、一人はもう少し上の40代後半がいいなとまずは年齢だけ坂元さんと決めました。

それぞれの年齢に見える役者さんと坂元さんや私がこの人とやりたいなと思う人を書いて、その中でこの3人にオファーすることにしました。特に龍平さんは、松さんと共演となると「カルテット」と重なり過ぎてしまうかなと思いすごく悩みました。

でも、「カルテット」の後に、本当に個人的な思いですが、もっともっと艶やかで魅力的な龍平さんを見られるのではないかと思うところもあって、今回はある意味そのリベンジとしてお願いしました。

岡田さんは超がつく美形なんですけど、底知れない迫力があって、松さんと並ぶとなんだか不穏な雰囲気でソワソワする感じがあって、それが見たいなと思いお願いしました。角田さんは坂元さんが東京03さんのファンで、角田さんの名前を出してきてくれて。お話を回してくれる人が必要だし、その後に角田さんのコントをたくさん見て、本当に演技がうまいと感じ、役者として天才的だなと思いお願いしました。

――全体の映像の質感や、登場人物たちの衣装など、“おしゃれ”な雰囲気が漂う作品。このようにしていこうという方向は、どう決めていったのか教えてください。

初期段階で、坂元さんからスクリューボール・コメディー(1930年代~40年代のハリウッドで流行した都市部の上流階級たちが主人公のラブコメディー)をやりたいと言われました。最後まで悩んだのは、コロナの世界を扱うかどうかです。ただ、やっぱり自分たちがマスクをして生活をしなくてはいけない苦しい状況の中で、コロナ禍の人たちを見たいという人もいると思うし、見たくないという人もいると思います。

結果として私たちは、やっぱりパラレルワールドだけど、コロナのない楽しい世界の話をコメディーとしてやりたいと決めました。

今回は衣装にも音楽にも徹底的にこだわろうと、今の東京を生きる人たちがすてきだなと思えるようにしようと考えました。偶然知り合ったスタイリストの伊賀大介さんが参加してくださると言ってくださり、今回、とわ子のファッションを担当してくれている杉本学子さんも伊賀さんが引き入れてくれました。

面白そうと思うことを今回は全部やろうと決めたので、楽しそうな人をどんどん集めて作りました。最初に仕上がりイメージがあって作っていったわけではなく、スクリューボール・コメディーにすることを決めてから、そこに肉付けしていきました。

音楽の坂東祐大さんも友人からの紹介でご一緒することになりましたし、このような人と人とのつながりや、たまたま私が出会ったものを引き込んで制作しています。とにかく思いっきり楽しいすてきなドラマを作りたいと思って集まったチームです。

「大豆田とわ子と三人の元夫」より (C)カンテレ
「大豆田とわ子と三人の元夫」より (C)カンテレ

――洋服好きという設定だとファッション関係の仕事をしている場合が多いですが、とわ子を社長にした意図はありますか?

一社員ではなくて社長の方が金銭的にも時間的にも自由なのですてきな暮らしを描きやすいと思いました。社員だと何時から何時まで仕事をしなければいけないという制約があることも多いので、物語を展開していく中でいろいろなことを動かしにくい点もあります。

あとは、坂元さん自身が、会社での人間関係のトラブルや悩みよりも、社長の孤独であれば想像できる気がするということで社長になりました。物語としての動きやすさと坂元さん自身の共感の二つが社長にした理由です。

ファッションの仕事をしている人だけがファッションを楽しむものではなくて。40歳を超えている松たか子さんは、今までファッショナブルな役をあまりやっていないからこそ、誰でもおしゃれは楽しんでいいし、その人のスタイルがいいとか似合うかどうかよりも、洋服が好きで洋服を楽しんでいる人にしたかったので、ファッション関連の仕事という選択肢はありませんでした。

――ドラマの中で洋服の色がキーになっているのかなと思いましたが、キャラクターごとの色は意識されましたか?

伊賀さんが設計してくれた部分もありますし、チーフの中江和仁監督の美術センスに大変助けられました。すてきだと思うものが、坂元さんと私と中江さんが近くて、考えが一致していることはドラマを作る上で大事だなと感じました。

例えば、台本上におしゃれな何とかを買ってきて設置すると書いてあって、この“おしゃれ”って何をおしゃれとするかで違うものになってしまうと思います。家のセットも、もともと壁は白く塗られていたのですが、こっちの色を入れてくださいと美術さんにお願いしたり、中江さんの家の家具を持ってきたりしてくださって。とわ子の家のダイニングルームの椅子は中江さんの家から持ってきたものです。

また、キャラクターごとの色については、岡田さん演じる慎森は茶色とネイビーを基調としていて、八作はピンクやオフホワイトなど柔らかい色にしました。

鹿太郎さんはパキッとした明るい色にして、物持ちがいい人という設定なので、昔パパラッチだった頃に着ていた迷彩の服を合わせて着るなど、裏設定と合わせて監督と伊賀さんが色彩設計をしてくれました。

元記事で読む