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自由時間が増える? 資産形成も有利に? コロナ禍2年目、リモートワークの可能性

  • 2021.5.29
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テレワーク実施は全就業者の約40%に

2020年は新型コロナウイルスがきっかけとなり、テレワークが一気に広まりました。

野村総合研究所(NRI)のアンケート調査によると、テレワークの対象者は2019年9月では全就業者の8.4%でしたが、2020年5月には全就業者の39.3%まで対象が広がりました(図表1)。これは2600万人に相当します。第1回の緊急事態宣言が全国に発令されたのが2020年4月ですから、これを機に一気に働き方が変わったことが分かります。

緊急事態宣言が終わると次第にテレワーク実施者の数は少しずつ減少し、2020年12月時点には29.4%となっていますが、それでも2000万人近くがテレワークをしていたことになります。


図表1.日本におけるテレワークの実施者(対象者)の推移

出所:NRI「2020年のテレワークを総括する」

テレワーク実施者に対して、その利用頻度を聞いた設問では、1年間を通じて120日以上テレワークを実施した人が全体の21.3%いました。

テレワークで自由に使える時間が、年間90時間増える!?

図表2は通勤時間(片道)と1年間のテレワーク延べ日数の相関関係をグラフ化したものです。通勤時間が15分未満という人を除いては、通勤時間が長い人ほどテレワークを行ったことになります。通勤時間が長い人ほど、テレワークによる時間の節約効果が高まり1日を有効的に使えるのですから、これは納得の結果です。

NRIの同調査は、テレワークの活用によって生まれた可処分時間(テレワークによって短縮できた通勤時間のこと)を計算し、一人当たり年間90時間と発表しています。テレワークによって90時間も自由に使える時間が増えたら、人生が変わりそうですね。

図表2.通勤時間(片道)別にみた2020年1年間のテレワーク延べ日数

出所:NRI「2020年のテレワークを総括する」

テレワークによって「働き方改革」が進んだ

2019年4月1日から順次施行された「働き方改革関連法案」を覚えていますか。

より柔軟で生産性の高い働き方を求めたこの法律の背景には、少子高齢化による労働力不足や環境への配慮などがあります。柔軟に働きやすい環境や勤務形態を提供することで、従業員が一人一人のライフスタイルや事情にあわせた働き方を選択しやすくし、老若男女問わずより多くの人で社会を支えあう世の中にすることを目指しています。

そんな働き方改革の一環として、かねてから「テレワーク」も準備が進められていました。一部の企業ではサテライトオフィスの用意や在宅ワーク制度の導入が始まっていましたが、まだ一部の先進的な企業に限られ、全国的な動きにまでは至りませんでした。

それが、緊急事態宣言という非常事態によって、一気に全国へと広がったことになります。

新型コロナウイルスの流行は、今も私たちに大変な苦難をもたらしていますが、テレワークの普及に限ってみれば、私たちが働き方改革を加速して、ワークライフバランスを実現するきっかけとなったと考えられます。

共働き継続により、可処分所得が維持できる

小さなお子さんを抱えるご夫婦からのご相談では、「あと何年頑張れば、仕事を辞められますか?」「子どもが小学生になったら、正社員を辞めてパートになりたい」といった声を聞くことがあります。育児休業を取得して出産後も共働きを続けているけれど、仕事と子育ての両立に日々苦労している人の心の叫びと言えます。

もし、新型コロナウイルスが落ち着いた後も、夫婦それぞれが在宅ワークを選択できたら、こうした悩みを抱える人はずいぶんと減るのではないでしょうか。

例えば、男女問わずその日在宅で働いている人が保育園の送迎を担当できたら、子どもとゆったりした時間を取りやすくなります。パートナーが送迎をしているあいだにもう一人が家事を済ませることもできるでしょう。ワンオペから解放されて、家事や子育てを夫婦で分担し合うことは対等な夫婦関係につながります。また、共働きを継続することで世帯の可処分所得も維持できます。老後は夫婦それぞれが厚生年金を受け取れるので、老後不安も解消しやすくなるでしょう。

テレワークでマイホームの取得コストが下がる人も!

テレワークが定着すれば、マイホーム選びの基準も変わってきます。それまでは、都心のオフィスに通うことを第一に、交通アクセスの良さや通勤時間の短さでマイホームを選んでいた人も、通勤という前提がなくなれば、住まいの選択肢がぐんと広がります。

海辺の近くや自然豊かな森の近くに住むことも、郊外で畑を耕しながら会社員をすることも、実家の両親と同居しながらテレワークで働くこともしやすくなります。

実際、コロナ禍でのご相談では、「このままテレワークが定着したら、都内ではなく、神奈川県の海の近くに家を持とうと思っています。その場合、都心に家を持つよりも、1000万円くらい予算を下げても、もっと広い家に住めると思うんです」というご夫婦がいらっしゃいました。

3世代が同居、もしくは近くに住む近居ができれば、子育ての手伝いや介護の支え手として助け合うことができるでしょう。新たに家を取得する場合も、好立地の都心にこだわらなければ、広い家を安価に取得しやすくなります。

残念ながら、新型コロナウイルスの終息はまだ見えていませんし、コロナ後にテレワークがどの程度定着するのかもわかりません。それでも、家に居ながら会議に参加し、商談を行い、問題なく仕事ができる経験を多くの人が経験できたことは、大きなチャンスとなりました。

今後もテレワークの定着に期待したいところです。

参照データ
野村総合研究所(NRI) 2020年のテレワークを総括する
~日本の就業者のうち2,000万人近くがテレワークの対象者に~
https://www.nri.com/jp/knowledge/report/lst/2021/cc/0205_1

氏家 祥美/ファイナンシャルプランナー

お茶の水女子大学大学院修了。2005年に女性4名でFP会社を設立して実績を積んだのち、2010年にFP事務所ハートマネー代表に。共働き家族やリタイアメント層に向けたマネー&キャリアプランニングを得意とする。webメディアや雑誌、書籍での執筆のほか、家庭科教科書の経済パートを執筆するなど、金融リテラシーの普及をライフワークとしている。

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