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若年性アルツハイマーと向き合った、ジュリアン・ムーアの繊細な演技。『アリスのままで』

  • 2015.6.25
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本作でジュリアン・ムーアはアカデミー主演女優賞のほか、ゴールデン・グローブ賞など数々の映画賞を総なめに。

もう4ヶ月前になるが、本年度アカデミー賞でマリオン・コティヤールやロザムンド・パイクらを抑えて主演女優賞を獲得したのは、ジュリアン・ムーアだった。彼女を念願のオスカーへ導いた作品『アリスのままで』が、いよいよ今週末から公開となる。試写会で鑑賞した女性たちからは「明日は我が身かもしれない。他人ごととは思えない」というコメントが多く寄せられているそう。どんなストーリーなのか?

アレック・ボールドウィンは、ジュリアン・ムーアからの電話で「こんな役やらない?」と言われ、二つ返事で引き受けたそう。そんなカジュアルなやり取りだったとは(笑)。


◆ストーリー

主人公のアリスは、NYのコロンビア大学で教鞭をとる言語学者。50歳という年齢を迎え、優しい夫と立派に育った子供たちに囲まれて、満たされた日々を過ごしていた。

しかし、ある日を境に講義中に言葉が思い出せなくなったり、毎日通っている大学構内で迷ってしまったりと、自身の異変に気づく。病院で診察を受けた結果は"若年性アルツハイマー症"。家族はアリスのために力を尽くすも、その症状は次第に悪化していく。日に日に記憶や知識が薄れていくのを感じながら、彼女はある決断を下す。

娘役を演じた『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワートの演技にも注目を。素晴らしいです。


◆自分のこと、家族のことを考えるきっかけに

"言語学者"として知性に溢れ、周りから尊敬を集めるアリスが、だんだんと"言葉"を忘れ、周りに頼らなければ生きられなくなる様を、ジュリアン・ムーアは繊細に演じきった。道に迷ったり、約束を忘れてしまうといった日常生活の異変だけでなく、何よりも自身を作り上げてきた"言語"が消えていくという、自分が自分でいられなくなることの恐ろしさや不安に襲われる彼女を見ていると、一体自分たらしめているモノって何なんだろう? という疑問もわいてくる。

彼女を支える夫には、アレック・ボールドウィン、娘にケイト・ボスワースとクリステン・スチュワート、息子にハンター・パリッシュらが出演。これまた、いい家族なんである。娘ふたりの仲が悪かったり、夫もときどき「妻の気持ち、わかってる?」と言いたくなる場面もあるのだが(笑)、でも皆アリスのことが好きで、だからこそ苦悩する一家の姿に「そうそう、家族の誰かが病気になったらひとりの問題じゃなくなるよね」と改めて思わざるをえない。もし私が娘だったら、もしこんな旦那が自分の夫だったら......と、思わず色々と想像してしまうのである。

アリスのエレガントな装いやセンスのいいインテリアは、参考になるところがいっぱい。


◆さいごに

本作を手がけたのは、自身もALS(筋委縮性側索硬化症)という難病を抱えるリチャード・グラッツァー監督。若年性アルツハイマーの場合は、体は元気だが記憶が失われていく。しかし、ALSの場合はその逆で、体の機能が失われていく。そのため、グラッツァー監督は撮影中、右足の親指でiPadを叩いてコミュニケーションを取っていたのだとか。そして彼はジュリアン・ムーアがアカデミー主演女優賞を獲得したことを非常に喜びながらも、その約3週間後、天国へ召されることとなった。63歳だったそう。本作では脚色も務め、難病と向き合い続けたその想いも随所に散りばめられている。是非、映画館でグラッツァー監督の想いを受け止めて。きっとこれからの私たちの未来を輝かせるためのヒントをくれるはず。


『アリスのままで』
監督・脚色:リチャード・グラッツァー&ウォッシュ・ウェストモアランド
原作:リサ・ジェノヴァ「アリスのままで」キノブックス刊
出演:ジュリアン・ムーア アレック・ボールドウィン
クリステン・スチュワート ケイト・ボスワース ハンター・パリッシュ
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6月27日(土) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
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