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アイデアが生まれる田舎家に、家族で根をおろして。

  • 2021.5.22
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ロックダウンがきっかけとなり、パリから田舎に移る人たちが急増中。廃墟同然の家を購入し、カントリーライフを満喫しているインテリアデコレーターのゾエの場合は?

クッションがランダムに置かれたベンチ、押し花の額がパズルのように並ぶ壁。廊下のフックに掛かるカゴやバッグさえ、絶妙な装飾になっている。パリから1時間あまりの村にあるインテリアデコレーターのゾエの家は、あちこちに彼女らしいリサイクルと手作りアイテムがちりばめられている。

5年前、パリ市内で引越しをした。「オスマン様式やモダンは私らしくない」というゾエが気に入ったのは、バルコニーのあるアパルトマン。「でも希望より狭くて。だったら余った予算で田舎に家を買おう」と、毎週末に家族で訪れていた両親の家から15分の村に、廃墟同然だった建物を購入。週末のたびに工事を進め、居心地のいいセカンドハウスを作り上げた。

キッチンは家の中心。料理好きのバンジャマン、小学生のオリアとサシャ、そしてゾエ。ガレージセールが家族全員の楽しみで、子どもたちはお小遣いを握ってバービーや兵隊の人形を探すとか。パパはヴィンテージのまな板を、ゾエはインテリア用のオブジェをコレクション。

暖炉のあるサロンから、一段だけ高いプラットフォームに仕立てたダイニングコーナー。棚に飾られた数々のオブジェには、それぞれ思い出やストーリーがある。

昨春のロックダウンでパリを離れ、家族4人で田舎暮らしを満喫。子どもたちの学校が再開してパリに戻ったのも束の間、夏休みも田舎で過ごした一家は生活の拠点を移すことを決意した。

「小学校の転校手続きは、新学期直前の8月29日だったのよ!」

パリのアパルトマンをオフィスにして、いまは週に2日ほど上京する日々。パリ生まれのゾエは、ヴァカンスや週末の田舎暮らしは体験してきた。「田舎も街も好きだけど、都会は情報が多すぎて苦しくなってしまう」と言う。この家では落ち着いて考える時間がある。

薪の収納さえデザインにしてしまうのは、さすが。自然光が差し込む心地よい空間に、鳥や植物の絵があちこちに飾られて。

頭に浮かぶアイデアをすぐ形にできる場所もある。なにしろ、完成している1、2階のほかに手つかずの3階もあり、隣の家も手に入れたばかりなのだ。

「そっちはミニマルな内装で、ワークショップのアトリエにするつもり。パリから日帰りや週末に、ヨガや料理、手作り体験を提案する場所にしたい」

この春は庭を充実させ、菜園で野菜を作り、鶏も育てたいと、夢は広がる。ゾエが田舎で手に入れたのは、アイデアを形にする時間と空間だけではない。

「パリのアパルトマンは、子どもの成長や暮らしに合わせて引越しを重ねる。でも、この家は決して手放さない。家族が根をおろす場所になるはず」

どのコーナーも真似したくなるアイデアが。2階の廊下はさまざまなキッズチェアが並ぶ。壁には布バッグやカゴでアクセント。

客用寝室のバスルーム。バスタブの上に、工事で取り外した古い窓をはめ込んだ。壁にヴィンテージの鏡をパズルのように配置。

Zoé de las Casesゾエ・ドゥ・ラス・カーズインテリアデコレーターイラストレーターとしての著書も多数。お気に入りアドレスを紹介するガイドブック『パリ』『ロンドン』に続き、4月には『フランス』を刊行予定。@zoedelascases

*「フィガロジャポン」2021年5月号より抜粋

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