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コタローのツンデレも発動! 『コタローは1人暮らし』はすべての大人必見のドラマだ

  • 2021.5.16
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『コタローは1人暮らし』(c)津村マミ/小学館(『ビッグコミックスペリオール』連載中) (c)テレビ朝日

「だってよ、自分の子どもがかわいくないはずがねえんだ」ーー涙ながらにこぼした田丸(生瀬勝久)の言葉に、多くの人がこの作品を観てくれればいいのにと思った。「親」だけではなく、すべての大人と、いつか大人になる人たち、みんなに『コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)を観てほしい。そうすれば、この世界はほんの少し、優しくなるような気がする。

優しさとは、想像力でもある。お風呂に入っていないことを理由に狩野(横山裕)を避けるコタロー(川原瑛都)から「誰かに嫌われたくないという思い」をくみ取る綾乃(百田夏菜子)しかり、コタローが抱えているであろうさまざまに深入りせず、ただただ愛情を注ぎ、そばにいる美月(山本舞香)しかり。本作のキャラクターたちには、あたたかい想像力がある。

最愛の息子と、その未来のために心を鬼にした田丸も同じくだ。息子のためを思ってとった、辛い態度。そして「コタローきゅんの両親もそうだったんじゃねえのかな」「愛情はあったはずだと俺は思う」と、息子の写真を飾った部屋で、優しい涙をこぼす。

そんな田丸に、カーペットの上を滑らせてさりげなくティッシュをパスするのも、少し生意気を言うのも、狩野らしい優しさだ。たまらず涙をこぼしたとき、ティッシュをくれる人がいる。引っ越しの挨拶にとコタローが贈ったティッシュが今宵、田丸の涙を拭う。『アパートの清水』の住民たちはみんなひとりじゃない。誰かと生きているのだ。

「こどもまつり」当日。「アパートの清水」の住民たちと綾乃が駆け付け、まつりを盛り上げる。その様子を見回すコタローの顔は、どこか嬉しそうで誇らしげだ。狩野は裏方として奔走し、花輪先生(西畑大吾)に後悔の念をこぼしつつも「あいつ(コタロー)嬉しそうなんで別にいいんですけど」と、コタローを見つめる。まだまだぶっきらぼうで、ときに分かりにくいけれど、狩野はいつでもコタローを第一に考えているのだと伝わる言葉だった。

それでも「本当の親がそばにいればもっとよかったんじゃないですかね」とつぶやくシーン。園児たちがそれぞれ親のもとへと走っていき、楽しそうにはしゃぐ姿と、園庭にひとり佇むコタローの姿とのコントラストが印象的だった。コタローは嬉しいとき、誰のもとに走り、誰と手を繋ぎたいだろう。今日のこの楽しい1日を、誰に伝えたいだろう。綾乃に渡す1週間分の届かぬ日記に、コタローは今日のことを書くのだろうか。そう考えると、ふと切なくなった。

しかし今回、センチメンタルは不要だった。たくさんの園児から慕われ、囲まれる狩野の姿をじーっと見つめるコタロー。帰宅後、なんだかふてくされた様子だ。

「わらわの友達と、ずいぶんワイワイしていたであるな」
「おぬしはわらわの保護者ではないのか」

三角座りで小さくなり、ごにょごにょとつぶやくコタロー。初めて見せたかわいいやきもちに、狩野はまんざらでもない様子だ。並んで座る、2人のやりとりが愛おしい。今日の楽しい1日も、子どもっぽくいじけるコタローの姿も、いつだって『アパートの清水』の住民たちと綾乃が見ている。「楽しいか?」「幸せか?」と、コタローには気付かれぬようそっと確かめながら。

気がかりは、冒頭から何度もコタローの姿を捉えていたカメラ。そして、1カ月という期限付きで「アパートの清水」に越してきた青田(間宮祥太朗)の登場だ。物腰が柔らかいようでいて、その笑顔にはどこか怪しさを感じる。次回は波乱の予感だ。それでもコタローと関わった以上、青田もまた最後には、優しい大人であってほしいと願う。 (文=新 亜希子)

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