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松本まりか、共演の松下洸平は「すごく穏やかな慈愛に満ちている」

  • 2021.5.15
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「WOWOWオリジナルドラマ 向こうの果て」で、主人公・池松律子を演じている松本まりか 撮影=大石隼土/スタイリスト=コギソマナ(io)/ヘア&メーク=千吉良恵子(cheek one)/衣装協力=ダイアナ
「WOWOWオリジナルドラマ 向こうの果て」で、主人公・池松律子を演じている松本まりか 撮影=大石隼土/スタイリスト=コギソマナ(io)/ヘア&メーク=千吉良恵子(cheek one)/衣装協力=ダイアナ

【写真を見る】普段のゆったり雰囲気とは一転、クールでセクシーな表情の松本まりか

映画「ミッドナイトスワン」(2020年)で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督最新作で、松本まりかが連ドラ初主演となることでも話題の「WOWOWオリジナルドラマ 向こうの果て」が5月14日よりスタートした。

同作は1985(昭和60)年の東京を舞台に、一人の女性が幼なじみを殺害した事件の謎に迫るストーリー。主人公・池松律子(松本)は、幼なじみで小説家の君塚公平(松下洸平)を殺し、放火した容疑で逮捕される。検事・津田口(柿澤勇人)は事件の真相を追い、これまでに律子と関わってきた人物たちと接触し始めるというもの。第1話では、回想シーンで律子が無抵抗の公平に殴る蹴るの暴力を振るう衝撃的な場面があり、話題になった。

今回、主人公・池松律子を演じた松本に、共演の松下や、「不思議な縁がある」という内田監督について聞いた。

律子の気持ちを引き出してくれた

――松下さんとの共演シーンはいかがでしたか? 律子が公平を殴るシーンもありますが…。

律子が公平のことを好きな感情が分からなかったんですよね。一番好きな人だからDVをするという感覚もすごく難しかったです。

洸平くんは初めての共演でしたが、すごく穏やかな慈愛に満ちた目で、そっとそばにいてくれるんですよ。それがうれしいはずなのに、なぜか私にとってはいやだったんです。でも、そういう拒絶反応が起こることが、愛してるっていうことなのかなと。自分の恥部をこの人にだけは見られたくないっていうのが、この人のことを愛してる証拠なのかなっていう初めての感情、感覚を洸平くんが想起させてくれました。公平は純粋にいてくれるのに、律子はこんがらがっているので、それをバイオレンスという手段で彼に自分の愛を爆発させているっていう、そういう関係なんだっていうのは洸平くんに気付かせてもらったんだと思います。

彼は彼で自分の仕事をしているだけだったと思いますが、彼が律子の気持ちを引き出してくれたので、相手役に恵まれたと思っていますし、そういうものを現場で感じてやっていけたというのはすごく貴重な現場だったなと思います。

――律子が三味線を弾くシーンもあります。練習はいかがでしたか?

私は楽器が全然できないので、すごく練習しました。稽古にも結構通いましたし、だんだんできるようになっていくのが面白かったんです。先生やプロデューサーさんたちからも「すごくいいよ!」って褒めてもらったので、私才能あるんだな!って思っていたんですね(笑)。

それで迎えた本番は洸平くんと一緒だったんですが、「稽古に3回しか行けなかった」って言うからそんなんでできるの?って思っていたら、全然私よりもうまくて。その瞬間は役が途切れましたよね(笑)。私、彼が歌手だって知らなかったんです。そのときはちょっとショックでしたし、恥ずかしかったですね。

楽器といえば、あるとき現場にあったピアノを洸平くんが弾き始めたこともありました。「何か尾崎豊みたいだね」って言ったら「I LOVE YOU」を弾いて歌ってくれて。すごくうまいんです! もう感動しっぱなしでした(笑)。

でも彼がピアノを弾く姿を遠くから眺めていたら、律子と公平にもこういう2人の瞬間があったんだなって思って。2人にはほぼDVと殺すシーンしかないから、初めて癒やされた瞬間ではありました。本当に全ての時間が、律子を演じる上での栄養になったと思います。

【写真を見る】普段のゆったり雰囲気とは一転、クールでセクシーな表情の松本まりか 撮影=大石隼土/スタイリスト=コギソマナ(io)/ヘア&メーク=千吉良恵子(cheek one)/衣装協力=ダイアナ
【写真を見る】普段のゆったり雰囲気とは一転、クールでセクシーな表情の松本まりか 撮影=大石隼土/スタイリスト=コギソマナ(io)/ヘア&メーク=千吉良恵子(cheek one)/衣装協力=ダイアナ

皆さんに引き出してもらったというか引き出された現場でした

――内田監督とは不思議なご縁があるとか?

17、8年前ですが、内田監督の初長編監督作品が、私の映画デビュー作でした。その後、内田監督が初ドラマを撮ったとき、恐らくですけど私がドラマで初ヒロイン。そして、今回私の初主演作。

撮影中に「ミッドナイトスワン」が日本アカデミー賞にノミネートされたんですが、監督だけじゃなく「ミッドナイトスワン」と同じスタッフさんが多かったので、現場の研ぎ澄まされた感がすごかったです。

私はずっと仕事がない時期があって、映画へのあこがれは10代のころからありましたけど、そんな口にも出せないぐらいかけ離れた存在でした。この作品は映画じゃないですけど、とても映画的な撮り方でやらせてもらえたドラマなんです。

すごく憧れていた連ドラの初主演もやらせてもらえるなんて夢のようで。そんな私の激変する環境と、内田監督の上がっていく運気が巡り合ったのは、ちょっと運命的なものをすごく感じます。

――律子の役作りは難しかったと思いますが、内田監督だったからできた、ということもありましたか?

そのときどきで内田監督が「もうちょっとこうして」ってぼそっと言いにくるんですよね。内田監督の見たい律子に近付くために、本当は台本を読んだ段階でする行為を、その場でやるのがすごく楽しくて。未知との遭遇なんですよね、今回の現場って。ゼロの状態でいたからこそ、目に見えるものが全て新鮮だったし、本当の感情でできる。

自分が考えるちっぽけな自分の中の感性じゃなくて、皆さんに引き出してもらったというか引き出された現場でした。それは律子の機微をちゃんととらえてくれるっていう信頼感があったからこそできたのだと思います。

見たことのない、感じたことのない感情になった瞬間を捉えた奇跡的なシーンが何度かあったので、それは最終話まで見ていただくと、皆さんにも感じていただけると思います。

取材・文=Rum

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