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『おちょやん』千代を支えた女優たちを振り返る 篠原涼子、宮澤エマらが生んだ感動

  • 2021.5.14
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NHK連続テレビ小説『おちょやん』(写真提供=NHK)

ついに最終週を迎えた、NHK連続テレビ小説『おちょやん』。日本全国のお茶の間に笑いと感動を与えてきた本作では、杉咲花演じる主人公の竹井千代をはじめ、強く、そして優しい女性たちが数多く登場してきた。そんな『おちょやん』の愛すべき女性キャタクターを振り返ってみたい。

岡田シズ(篠原涼子)
千代が奉公に出された、芝居茶屋「岡安」の二代目女将・岡田シズ(篠原涼子)。常に凛として仕事に対しストイックかつ一度家族と認めたからには、千代を借金取りからも毅然と守る姿が実に勇ましく、何があろうとこの場所を守るという覚悟が、まさに一家の大黒柱を体現していた。

親に捨てられた同然の千代にとって、育ての母親であり、唯一帰れる実家ができたというのは大きな心の支えとなった。シズを演じる篠原涼子は、『ハケンの品格』(日本テレビ系)や『アンフェア』(フジテレビ系)など、相手が誰であろうとズバッと言う芯が通った姉御肌を演じることが多いが、そのキャラが暖簾と家族を守る女将という形に見事にハマっていた。また千代が女優として活躍し始めると、涼しい顔をして一番熱く応援している姿を見せるなど、本当の親のように千代を見守る姿が微笑ましく、感動を誘った。最終週でも、道頓堀に戻ってきた千代に対し、最初は不義理を叱るも大粒の涙を流した姿が実にシズらしかった。篠原が演じてきた強さの向こう側の優しさの演技が見れた瞬間だったのではないだろうか。

富川みつえ(東野絢香)
シズの娘、みつえ(東野絢香)も千代の生涯を支えた1人。当初は家のお嬢様と奉仕人という主従関係だが、借金取りから逃げる千代を体を張って守ろうとするなど、一緒に暮らしていく上で姉妹や親友のような関係になっていく。みつえの恋愛や、夫が戦死した後のフォロー、千代の離婚など、何でも相談しあえる良き理解者として千代をサポートした。最終週では、笑顔で「お帰り」と声をかけ、みつえに抱きついた千代が「ただいま」と声を震わせ涙を見せるシーンは2人の関係を物語る。東野絢香は、女優としてのキャリアはまだ3年ほどでこれまで知らない人も多かったように思うが、大阪府出身のネイティブな関西弁で大きなインパクトを残し、千代との身長差凸凹コンビがいい味を出していた。

高峰ルリ子(明日海りお)
千代が女優として切磋琢磨した良きライバルと言えるのが「鶴亀家庭劇」座員の高峰ルリ子(明日海りお)。東京新派劇の名門「花菱団」のトップ女優という肩書きで参加しただけに、最初は喜劇を見下し、かつて婚約者を奪った女優の顔が千代に似ていたことから千代を嫌う。しかし、過去のトラブルが明らかになり、女優を辞めようとしたとき、千代の必死の説得によって思いとどまり、以降は心を許す間柄となる。ルリ子はいかにもプライドの高い女優という役柄で、カメラ目線が多いことも話題となったが、明日海りお自身も元宝塚歌劇団花組トップスターなだけに、そうした喜劇役者とは違う所作であったり、プライドの高さをユーモアに変える巧みさで印象深い演技を見せた。

上田栗子(宮澤エマ)
そして、物語の終盤で感動の嵐を巻き起こした、千代の継母である栗子(宮澤エマ)。千代が奉仕に出されるきっかけとなった一番憎むべき継母としての登場だったが、千代が一平(成田凌)の不倫で離婚し、劇団を辞め、路頭に迷っている時に再登場。千代の人生を狂わせた負い目でずっと苦しみ、それを謝罪したことで、千代と律子のこれまでの過去が清算されたようで、千代だけでなく、視聴者も救われた気分となった。また物語の謎とされてきた、千代に花を贈り続けてきた人物が栗子と分かるなど、常に千代を応援していた一番のファンだということも判明し、人生の最後に、引退を決意した千代を復帰へと導き感動を呼んだ。宮澤エマはわずか32歳にして、様々な経験を重ねた実年齢以上の貫禄ある芝居を見せ、演技力の高さを世に知らしめた。

他にも、千代が女優を目指すきっかけとなる大女優・高城百合子(井川遥)であったり、シズが唯一心を乱すライバルであり、お互いの子が結婚することになる芝居茶屋の富川菊(いしのようこ)など、魅力的な女性キャラクターが数多く登場した『おちょやん』。どんな状況でも女優として生きてきた人、店を守る人、家族を守る人など、職業に関わらず様々な大変なことを抱えながらも、弱みを見せず凛として生きる登場人物たちの姿は、必死に日々を生きるみんながスターだということを教えてくれたようにも感じる。

これだけ自分をを見守ってくれる存在が多い千代の人生は幸せだ。ラジオドラマで「大阪のお母さん」として人気を博す竹井千代だが、その姿はこれまで会って来た人々の積み重ねが創り上げたものだということは言うまでもない。 (文=本 手)

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