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世田谷区の「タテ移動」はバスが便利? 区内で完結できる移動方法とは

  • 2021.5.11
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交通網の関係上、区内で移動しにくいと言われている世田谷区。フリーライターの小林拓矢さんが実際に街を巡って、移動の「完結方法」について解説します。

区内で移動しづらい世田谷区

東京都世田谷区は一部を除いて、鉄道が都心に向かっているため、区内での移動に適していません。そんなことから、

「世田谷の人が集まるなら、新宿に集まるのが便利」

という冗談さえあります。しかしエリアによっては、新宿より渋谷に集まった方がいいところもあり、冗談も正しいかどうか定かではありません。

世田谷区の人口は、政令指定都市並みの約94万人となっています。世田谷区より人口が少ない県は、多い順に和歌山県、佐賀県、山梨県、福井県、徳島県、高知県、島根県、鳥取県です。区の人口密度は1万6200人程度と、かなりのものになっています。

そんな世田谷区では、各方面から都心に向かう交通網が充実しています。しかしこれだけの人がいて人口密度も高いとなると、区内での移動はある程度必要になります。新宿や渋谷に出て折り返すというのはどうも……という気持ちになるからです。

ということで今回は、実際に世田谷区へ行ってみました。キーワードは「バスと世田谷線」です。

世田谷の「タテ移動」はバスが便利

まず、筆者(小林拓矢、フリーライター)の暮らす調布市からもっともアクセスが便利な千歳烏山駅に向かい、そこで降りてみることにします。

成城学園前へ向かう小田急バス(画像:小林拓矢)

商店街を歩きながら、駅から徒歩3分程度のところにある南口バス停へと向かいます。ここからは主に千歳船橋駅行きと、成城学園前駅行きのバスが運行されています。今回はさらに南下することを考え、成城学園前行きの小田急バスに乗ってみました。

平日の午後ですが、出発時点でかなり混雑しています。出発すると、バスは片道1車線の道をそろりそろりと走っていきます。住宅は密集していますが、それでも緑があふれています。きっと行政や地域住民が、地域の緑化に尽力しているのでしょう。環境としては素晴らしいものを感じます。

何度も交差点を右折、左折します。坂道もあります。かなり昔は農村部だったせいもありましょうか、その名残が各地に見られます。

バスが停車するごとに少しずつ乗り降りが行われます。一方で、ずっと座り続けている人もいます。人によりさまざま。ただ、乗客の多さからバスが地域に根差した交通機関になっていることがわかります。

街並みがおしゃれな成城

「成城」という言葉がバス停の名前に入るようになると、大きな一戸建てがやたらと目に入るようになります。街並みもおしゃれです。

世田谷区(画像:(C)Google)

出発してから20分もしないうちに、成城学園前駅の西口に着きました。降りてすぐのところに改札口があるため、小田急への乗車には便利です。

ただ、私はバスでさらに南下し、二子玉川駅へと向かうことを考えていました。案内を見るとその方面のバス停は南口にあったので、少し街中を歩きます。

成城学園前駅は地下にホームがあり、地上に改札がある形態になっています。南口と北口は自由通路になっており、改札は共用です。

二子玉川駅行きのバスに乗車

南口のバス停に到着。そこから二子玉川駅行きのバスに乗ります。小田急バスと東急バスが共同で運行している系統で、乗車したのは小田急の車両でした。

二子玉川駅への路線は小田急と東急が運行する(画像:小林拓矢)

東京都市大学付属中学・高校(世田谷区成城)の横を通り、しばらくすると野川に沿って走ります。この路線の本数は多く、かつ乗客も多い路線。バスはほぼ満員で、世田谷区民から信頼されている交通網であることがわかります。

25分程度で二子玉川駅に着きました。バスに乗り続けるのも疲れるので、東急田園都市線に乗り三軒茶屋駅へと向かいます。

常に混雑している世田谷線

東急田園都市線はすいていましたが、三軒茶屋駅で降りると駅はやはり多くの人です。ここからは東急世田谷線に乗ります。

三軒茶屋駅を発車した東急世田谷線の電車(画像:小林拓矢)

東急世田谷線は、三軒茶屋駅から下高井戸駅までの専用軌道を走る路面電車です。途中の山下駅で、小田急電鉄の豪徳寺駅と接続し、終点の下高井戸駅で京王電鉄に接続します。

この路線はいつ乗っても混雑しており、もっと本数を増やせないものかと思うこともありますが、それだけ頼られている路線ということなのでしょう。

乗車前にもすでに長い列ができています。途中駅からの乗車もあり、人がどんどん入れ替わっていきます。

駅から近い世田谷区役所

世田谷駅で降りてみましょう。

地図を見ると、世田谷区の中心施設である世田谷区役所(世田谷区世田谷)があります。5分ほど歩いて到着しました。

世田谷区民が役所に用事があるときは、世田谷・北沢・玉川・砧(きぬた)・烏山の総合支所に行けば十分ですので、よほどのことがないと本庁に行くことはないでしょう

現在の世田谷区役所は前川國男設計による1960年代の建物で、建て替えの検討が進められています。昭和の建物を見るなら今のうちです。

松陰神社前駅を発車した東急世田谷線の電車(画像:小林拓矢)

区役所のもうひとつの最寄り駅である松陰神社前駅まで歩きます。この駅を使用した方が、坂道が少ないように感じます。

やってきた電車はやはり混雑。乗客が少しずつ下車し、下高井戸駅に到着。多くの利用者は京王電鉄に乗り換えていきました。

世田谷区内で完結できる公共交通

というわけで、世田谷区内の移動は公共交通で完結できることがわかりました。東京都の特別区としてはある程度広く、しかも人口がかなり多い世田谷区は公共交通機関が充実しています。

鉄道だけでなく、バス網が細かく張りめぐらされているため、それらを乗り継ぐだけ、あるいは鉄道と組み合わせれば、区内は比較的簡単に移動できました。

さらに世田谷区には東急世田谷線という路面電車があり、多くの地域住民から支持されています。この東急世田谷線こそ、世田谷区の公共交通の重要なポイントです。

踏切と東急世田谷線(画像:小林拓矢)

区内で完結する本数の多い路面電車は、多くの区民の移動に役立っています。私鉄各路線に接続し、広い世田谷区の移動を便利にする交通機関として活躍しています。

鉄道が少し不便と感じる人もいると思いますが、それを補完するように、バスなどが充実しているのが世田谷区の公共交通の特徴です。この公共交通が、94万区民のふだんの移動を支えているのです。

※取材は緊急事態宣言前に行いました

小林拓矢(フリーライター)

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