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産後すぐ復帰もよくある話、アメリカの保育事情は?

  • 2021.5.6
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文/長谷川安曇(在ニューヨークライター)

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ニューヨークは物価が高い。世界的に悪名高い賃料に学費、保険、ヘアカット、コーヒー一杯だってバカにならない。もちろん託児所も例外ではない。アメリカ国内の託児所のネットワークサイトWinnieによると、マンハッタン内の託児所の月額平均は1300~2500ドル、これはアメリカ国内の平均値の2倍以上に相当する。またベビーシッターのシェアリングなどの保育サービスを提供するサイト、Nanny Laneによると、ニューヨークのベビーシッターの時給は17~25ドルだという。ニューヨークでは、出産後に本腰を入れて仕事をする女性が少なくない。家族が増えて、いままで以上に経済力が必要となるからだ。

IBMなどの大手企業では、子育て支援システムが確立していて、出産後の母親には産休として20週間補償、父親やパートナー、養父母は12週間の補償が得られる。そして社内外の複数のロケーションに出勤時に社員が子どもを預けられる保育施設があり、働きやすい企業として人気に拍車がかかっている。

しかしフリーランスでオフィスがない人、またパンデミックで保育園が休園している場合、自宅で子どもの世話をしながら働くのは至難の技だ。そんな時、フリーランサーの親の心強い味方になるのが、アメリカ全土に数多くある子育て支援付きのコワーキングスペースだ。親は子どもと一緒に通勤し、違う部屋つまり保育スペースに子どもを預けたら、自分は仕事に没頭できるという仕組み。ワシントンD.CにあるTwo Birdsは、生後6週間の乳児から5歳までの子どもを月額2365ドルで預けられる。授乳室も完備、週末はサッカーのプログラムやワークショップも開催。簡易キッチンやラウンジなどはオープンスペースになっているので、親同士、子育てに関する悩みや相談をしやすく、働く親にとっては心強い環境だ。

または、近所に住む数人でグループを組んで「コープ」を結成し、自宅を託児所に順番で子どもを預かる手もある。仕事の日時が読みにくいフリーランサーにとっても融通が効くので好都合だ。また保育料を支払う必要もないので経済的。子どもの年齢や親同士の教育方針が似ていると、よりスムースのようだ。

アメリカでも子育てをしながら働くことは、決して珍しくない時代。現代の働き方に合わせて、子育てをしやすいシステムが進化していくことを期待したい。

長谷川安曇Azumi Hasegawa東京出身、2004年からニューヨーク在住。フリーのライターとして活動しながら、映像制作にも携わり、キャンペーンやミュージックビデオのプロデュースとフィルムメーカーとしても活動する。www.azumihasegawa.com

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