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菅田将暉「添い遂げることに憧れがある」 恋愛映画に挑戦した理由と恋愛観に迫る ――2020 BEST5

  • 2021.5.3
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2020年度(2020年4月~2021年3月)にCREA WEBで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。インタビュー部門の第4位は、こちら!(初公開日 2021年1月30日)。


今、あえてラブストーリーに出演した理由とは?

「東京ラブストーリー」や「最高の離婚」、「カルテット」など、多くの名作連続ドラマを手がけてきた脚本家の坂元裕二さん。

彼が2020年の東京を舞台に、どこにでもいる大学生カップルの5年間におよぶラブストーリーを書き下ろしたのが、現在公開中の映画『花束みたいな恋をした』。

好きな映画や音楽が嘘みたいに一緒で、あっという間に恋に落ちた麦と絹が、同棲し、お気に入りのパン屋を見つけ、猫を飼い、花を買う……。

平凡だけどまばゆい、恋するふたりの日々がみずみずしく紡がれる。

主演を務めたのは、ほぼ同じ時期にデビューをし、関西出身という共通点もある菅田将暉さんと有村架純さん。特に菅田さんは、ボクサーから総理大臣まで振り幅の大きい役を多く演じてきた個性派。

そんな菅田さんが、今、あえてラブストーリーに出演した理由とは? 憧れるシチュエーションから理想のカップル像まで、人気者の恋愛観に迫った。


恋愛で心がくすぐられる感覚は、他でなかなか得られないと思う

©︎2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

――菅田将暉さんがここまでストレートなラブストーリーに挑戦することは、ある意味意外でした。

坂元裕二さんが描く物語がまず、純粋に好きだったんです。それと、これまで真っ直ぐなラブストーリーを全然やってきていなかったので、やっておきたいなーって(笑)。

役者業って年齢によってできる役とできない役があるんです。20代後半になった今しかできない物語はなんだろうって考えた時に、やっぱり淡くてみずみずしいラブストーリーだと思ったんです。

もちろん30代、40代になってもできるのかもしれないですけど、またちょっと違ってくるじゃないですか。恋愛の質が。

20代だと背負うものが多くはないから衝動的な感情だけで動くことができて、恋愛をしながら社会とも向き合っていくことになる。

『花束みたいな恋をした』はもちろん、過去に出演した『糸』も、そういう理由で出演を決めました。

――20代の独身同士の恋愛は、純粋に相手と向き合えると?

今はコロナ禍で人とのふれあいが少なくなっているから、よりみんなが実感していると思うんですけど、やっぱり奥深いんですよね。恋愛って。

もともとは知らない人同士がいろんなことを話して、いろんなことを知って、時には嘘があったり裏切りがあったり、勝手に想像したもので苦しんだり。なんていうのかな。この、心がくすぐられる感じっていうのは、なかなか他では得られない感情だと思いますし。

特にこの物語は、くっつく、くっつかないといった恋愛の結末ではなくて、過程を描く魅力がある。ふたりのやりとりの面白みみたいなことを表現できればいいなと思いました。

そういう恋愛や時代のあるあるを描くことに関しては、坂元裕二さんは天才ですから。なんでこんなにいろんなことを知っているんだろうって驚かされるんです。想定以上の作品ができたんじゃないかと思っています。

――ラブストーリーをこれまであまりやってこなかったのには、理由が?

単にタイミングの問題ですよね。この作品みたいな、自分の好きなラブストーリーと縁がなかっただけだと思います。

――菅田さんが普段、ラブストーリーを観ることは?

あります。でも、一観客として観る場合はハードな作品が多いんです(笑)。

ただ、ラブストーリーって、医療ものや刑事ものよりも実は身近な題材だと思っていて。そこに理想を重ねやすいし、過去の出来事を追体験できる。

だからこそ、僕はもちろん、多くの方がラブストーリーを求めるんだと思います。

彼女と一緒に漫画を読んで号泣する場面。あれは憧れました

©︎2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

――菅田さんが演じた麦と、有村架純さんが演じた絹のカップルぶりがとてもリアルで、見ているこちらが恥ずかしくなってしまう場面もありました。

うん。恥ずかしいですよね(笑)。

――恋人同士を演じる中で、絹が有村さんだったからこそ引き出された表情はありましたか?

ありました。実は、家でひとりで考えていてもどうしていいかわからない部分があったんです。でも現場に行って有村さんと向き合うと、自然と何も考えずにできる感覚がありました。さらに土井(裕泰)監督が「そこでちょっとこんな顔をしてみて」とエッセンスを足してくれるんです。

やっぱりドキドキするお芝居ってほんと難しいんです。あとは笑うとかね。すごく嘘がバレやすい気がするので、今回は有村さんに助けられました。

©︎2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

――菅田さんが憧れるシーンはありましたか?

この映画には結構、カップルのあるあるが詰まっているのですが、「うわ、こんなことやったことない。やってみたい!」って思ったのは、ベッドでお菓子を食べながら一緒に漫画を読んで号泣する場面。

僕なんて学生時代、友達とジャンプを読んだことがあるくらいですから。彼女と一緒に漫画を読むって、あれはいいですね。

――観る人の年代や経験値、価値観によっても映画の受け取り方は変わる気がします。もうすぐ28歳になる菅田将暉さんには、ふたりの恋愛がどう映りましたか?

すごく楽しそうだなって思いました。それが一番の感想ですね。

もちろん、冷静になってみるとふたりが少しずつすれ違っていくのは仕方ないなとも思います。

好きな映画やお笑い、音楽が一緒だったことで出会っているんですが、それってお互いの内面を知っているように見えて、実際はそんなに知らないんですよね。自分が体験したこととか、感じたことで共感を生んでいるわけじゃなく、誰かが作った作品というフィルターを通してるから。1対1でのやりとりではない。距離が遠いなって思いました。

でも、恋愛ってそういうものじゃないですか。お互いのことを知りすぎていない時のワクワクってやっぱりあるし、知らないからこそ気を遣うし、合わせられる。それが楽しいんじゃないかなあ。

好きな人とずっと一緒にいる方法がわかったら、ノーベル賞もんです

――麦はイラストレーターになる夢を諦めて就職をしたことで、夢に向かって突き進む絹とのすれ違いが生じます。もし菅田さんのラジオ番組に、麦から相談メールが来たら?

なんでしょうね。「ここにメールしてくる暇があったら彼女に連絡しろ!」ですかね。

ムカつくかもしれないし、喧嘩になるかもしれないけど、彼女と一緒にいる時間をより作るべきですよね。話したくないことも1回話してみるべき。どんなすれ違いも、結局は全部コミュニケーション不足で起こるような気がするから。

ラジオにメールしている場合じゃないですよ。

――では、絹から相談メールが来たら?

僕は絹ちゃんを演じていないから彼女の気持ちはよくわからないけど、「信じて待っていてあげてほしい」と答えるかなあ。

映画を観ると、絹ちゃんを突き放してるのは麦のほうなんですけど。自分の理想と現実の間で苦しみながら、それでもなんとか絹ちゃんと一緒にいるために頑張ろうとしているはず。

男ってどこか「働かなきゃ」、「食べさせなきゃ」っていう責任と勝手なプライドがあるんです。

女の人からしたら「そんなのいらないよ」って言う人も多いと思うし、「そういうことじゃないんだよ」って思うかもしれないけど。

でも、将来家庭を持ちたいと思った時に、きっとそこの自信がほしいんです。古い考えかもしれないけど、好きな人には自分が何かしてあげたいんでしょうね。

©︎2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

――信じて待っていれば、麦は変わったのでしょうか?

どうかなぁ。ただ、もう少し早くに一緒に泣けていたらよかったような気がします。

どちらかが取り乱したとしても、最後まで諦めずに向き合えていたらすれ違いも起こらなかった。

でも、あのふたりの恋愛はあのままでいい気もします。一緒の時間を過ごせたことに価値があるのだと思うから。

――出会った頃は驚くほど気が合った麦と絹も、次第にすれ違いが生まれてしまうのが残酷であり、リアルでした。菅田さんが今思う、好きな人とずっと一緒にいるための秘訣は?

僕が知りたいですよ(笑)。でもやっぱりバランスですよね。僕は好きな人とずっと一緒にいたいという気持ちよりも、自分を好きでいてもらい続けることのほうが大事な気がします。

だって、嫌じゃないですか。「一緒にいたい! 一緒にいたい!」って言ってばかりの男。

それは一方通行のものだから、お互いがそう思えるようにならないとね。で、結局どうすればいいんだろう……。発見したらノーベル賞もんですよ。

©︎2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

――では、その答えを見つけたいと思いますか?

そうですね。やっぱり“家庭を持って添い遂げる”ということは、自分の両親を見ていていいなって思うから。

今は結婚して離婚しようが別に珍しくないし、そもそも結婚すら必要ないという考え方の人もいるじゃないですか。ずっとシングルでいいって思っている人もいっぱいいる。

選択肢がたくさんある中でも、僕個人としては、家庭を持つことに対する憧れはあります。

菅田将暉(すだ・まさき)

1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年に「仮面ライダーW」でデビュー。その後は映画『共喰い』、『そこのみにて光輝く』、『ディストラクション・ベイビーズ』、『セトウツミ』、『溺れるナイフ』、『あゝ、荒野』、『アルキメデスの大戦』、『糸』など話題作に多数出演。ラジオ『菅田将暉のオールナイトニッポン』のパーソナリティーを務めるほか、2017年に歌手としてデビューをするなど幅広く活躍している。今後は映画『キャラクター』(6月11日公開)、『キネマの神様』(8月6日公開)が公開待機中。

映画『花束みたいな恋をした』

©︎2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)は、音楽や映画、小説やお笑いなどの好みが驚くほど同じで、あっという間に意気投合。付き合うことになったふたりは、大学を卒業後、フリーターをしながら同棲を始める。就職をし、仕事に忙殺されるようになった麦は、好きなことを仕事にしたいと語る絹とのすれ違いが増えていく……。

監督:土井裕泰
脚本:坂元裕二
出演:菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、オダギリジョー、戸田恵子、岩松了、小林薫
https://hana-koi.jp

文=松山 梢
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=古久保英人
スタイリスト=猪塚慶太

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