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外出自粛で問われるあなたの思考法 「コロナが明けたら~」はNG、これからは「明ける前に~」だ

  • 2021.5.2
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ネガティブに捉えられがちなゴールデンウイークのステイホーム期間ですが、発想を変えれば、学びの時間とも言えます。フリーライターの金平奈津子さんが解説します。

ステイホームをポジティブに捉えよう

新型コロナウイルスの感染拡大で、2021年のゴールデンウイークは外出自粛ムードが漂っています。小池百合子・東京都知事も4月28日(水)、「ステイホームで」と都民に広く呼び掛けました。

自粛という言葉の響きはネガティブですが、心持ちひとつで、このゴールデンウイークを「これからの東京暮らし」について考える貴重な時間とポジティブさに受け取ることもできるのではないでしょうか。

2020年におけるステイホーム期間のメインテーマは「どうやって暇をつぶすか」でした。暇な時間は人間を不安にさせるのか、インターネット上はさまざまな暇つぶし方法で盛り上がりました。

そんなこともあり、豪華なお取り寄せグルメを楽しんだり、DIYをしたりして、外出しなくても楽しく暮らせるレベルに達した人は少なくないでしょう。

しかし、今回はまさかの3度目。2020年の暇つぶし思考だけでは、もったいないような気がします。ワクチン接種は現在進んでいるため、過去の感染症がそうであったように、新型コロナウイルスの流行もやがては沈静化します。そんなことからも、「これからの東京暮らし」を考えてみませんか。

「スペインかぜ」以降に爛熟期を迎えた日本

新型コロナウイルスとよく比較される「スペインかぜ」の流行が収束したのは、1920(大正9)年でした。

在宅で作業を行う人のイメージ(画像:写真AC)

当時の世界を見ると、第1次世界大戦の被害を受けなかったアメリカは「狂騒の20年代」と呼ばれる好景気に支えられ、文化の高揚期を向けます。

日本では1920年代初頭に戦後恐慌が、1923年に関東大震災が発生。慢性的な不況となりますが、同時に文化は大正ロマンから昭和モダンへと爛熟(らんじゅく)期を迎えています。

戦争被害の大きかったヨーロッパはどうでしょうか。このあたりの歴史は歴史の教科書で省略されがちですが、実は「戦間期」と呼ばれる重要な時代でした。その後の第2次大戦に向けてただ暗い時代だったかといえば、そうも言いきれず、経済は相対的に安定。大衆文化は発展し、優れた映画や文学、思想が生まれました。

内面を磨くか、技術習得か

こうして見ると、新型コロナウイルスの流行が収束した後には確かな希望があります。買い物や旅行などの消費活動は一段と活発になるでしょう。それにともない、労働意欲も増していくはずです。

小松左京のSF小説を原作にした映画『復活の日』(1980年発表)のように、ウイルスで人類が全滅するなんてブラックジョークはさておき、ステイホーム期間はいくばくかの時間を「これからの東京暮らし」のために使いましょう。

さて、これからを見据えたときに必要なのは

・内面磨き・何らかの技術習得

のどちらかです。

例えば、前者は文化的な活動です。筆者が調査して、よく耳にしたのは楽器。ギターや民族楽器などジャンルはさまざまですが、「いつかやろうと思っていたが、自宅にいる時間が増えたので思い切って買った」という声が多かったです。

普段なら三日坊主になりがちですが、ステイホーム期間ゆえに「目の前にあるから、やらなければならない気分になる」といいます。

自宅で楽器を練習するイメージ(画像:写真AC)

また、写経にいそしむ人もいます。インターネット通販が発達した時代ですから、写経グッズも通販で簡単に購入できます。購入した人に聞いてみたところ、

「意外に難しいです。筆ペンは毛筆より簡単だと思っていましたが、きれいな文字を書くには練習が必要なので何枚も書いています。少しは字が上手になったような気がします」

とのこと。字がきれいになるだけでも、達成感がとても大きいようです。

合言葉は「コロナが明ける前に」

資格や語学の勉強をしている人も増えています。

コロナ禍による雇用不安もあって、通信教育の需要は2020年に大きく伸びました。資格系では宅地建物取引士や社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーなどの講座が人気となっています。

資格勉強のイメージ(画像:写真AC)

また語学系では、英語や中国語を学ぶ人が増えています。

ある中国語のオンライン講座に話を聞いたところ、「2020年4月に知識ゼロでスタートした人が、年内にHSK5級に合格した」ともいます。HSKとは中国教育部が実施する中国語の語学検定で、最高級は6級(数字が大きいほうが上位)。

HSKのサイトによれば、5級は「中国語の新聞や雑誌を購読でき、映画を鑑賞することができる。中国語でスピーチをすることができる」レベルだと言います。1年かからずに、そこまで到達するのは至難の業。聞けば、テレワークの実施で自宅での時間が増えたので、勉強時間も確保しやすかったとのこと。

例え時間が取れてもそこまでできたのは、この期間を生かさなければならないという明確な意志があったからでしょう。

こんなに頑張っている人を知ってしまったら、「コロナが明けたら○○をしよう」とは言えないはず。これからは「コロナが明ける前に○○を成し遂げよう」と考えようではありませんか。

金平奈津子(フリーライター)

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