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部下の"本気"を引き出せるリーダーが放つ「不意打ちの質問」3つ

  • 2021.4.29
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チームの実力以上の目標が降りてきて、マネジメントに苦労した経験はないでしょうか? リクルートでプレイヤーとマネージャー両部門で全国トップを4回も経験し、現在は数々のリーディングカンパニーにマネジメント研修を行う伊庭正康さんが語る、一人ひとりが主体的になれるチームマネジメントのノウハウとは――。

※本稿は、伊庭正康『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

ナイスアイデア
※写真はイメージです
どんなときでもメンバー全員が「目標数字」を言えるか?

リーダーが目標達成への情熱を持ち続けてこそ、部下は本気になります。

部下を主体的に行動させたいのであれば、リーダー自身が目標にこだわり続けなくてはなりません。リーダーが、目標について言わなくなったら終わりです。そしてそのうえで、部下にも目標へのこだわりを求めるのです。

部下の目標へのこだわりを知るための、おすすめの方法を紹介しましょう。“不意打ち”で、常に次の3つのことを尋ねるのです。

質問① 部下自身の目標数字……「ところで、目標はいくらだっけ?」
質問② 最終着地の見立て……「最終的には、どこまでいける?」
質問③ 不足があるなら、対策の仕立て……「どんな対策を打つ?」

これらを、「しつこい」と思われるくらいに、ことあるごとに聞くのです。

リーダーはそのくらいの熱量で、各メンバーの目標にコミットしないといけない、ということです。部下は、リーダーの一貫性に触れてこそ、本気になります。

実際にやってみると、意外や意外、目標設定時はボルテージが高くても、不意打ちで尋ねると、自分の目標を忘れてしまっている部下は少なくないものです。

対話で、部下の意識を高めていく

何度尋ねても、きちんと意識させても、どうしても答えられない部下はいます。

このとき、責められるべきは部下ではなく、リーダー自身です。まだその部下には、目標に対するリーダーの熱量が伝わっていないのです。

そんな状況であればこそ、リーダーは、各メンバーの目標数字を、どんなときでも言えるようにしておきましょう。記憶力に自信がなくても大丈夫。記憶力の無い私が実践しているやり方を紹介します。

リーダーが部下に声をかける前に確認する2つのこと

部下に声をかける前に、手帳を広げ、2つの数字を確認します。メンバー全員の「目標数字」と、「見えない残額」です。

【上司】目標はいくらでしたっけ?

【部下】えっと、いくらだったかな……。

【上司】たしか、2500万円のはず。今、自分で確認してみませんか。

【部下】あっ、はい。2500万円です。

【上司】そうですよね。ところで、今日の段階で、読めない数字はいくらですか? 先週は、あと350万円と言っていたけど……。

【部下】はい……えっと、50万円の契約がとれたので、あと300万円です。

【上司】おー! かなり縮まりましたね! やりましたね。

ミーティングに参加する女性
※写真はイメージです

このように、対話の中で、部下の意識を変えていくのです。あなたの一貫した言動によって、チーム全体の目標への意識を高めていきましょう。

NG 「説教」で意識を高めようとする
部下が自分の目標に対して自覚を持っていないとき、責められるべきは、部下ではなくリーダーであるあなた自身です。
OK 「質問」で意識を高めようとする
リーダー自身がそれぞれの各メンバーの目標と現状を理解したうえで、適宜質問をして、部下にその数字を意識させるようにします。

メンバーを「平等」ではなく「公平」に扱う

アメリカのフランクリン・コヴィー社が行った調査によると、「毎週、チームの目標に沿って自分のするべきことを列挙し、予定に組んでいると答えた人」は、わずか32%ということです。2004年のアメリカでの調査なので、今の日本とは前提が異なりますが、十分にうなずけるデータでしょう。

もちろん、誰もが個人目標を達成する努力はしますが、あくまで自分の目標のためです。チームの目標が達成できていなくても、自分の目標が達成していたら、そこで終わり。それ以上に頑張る人は、3割程度しかいない、というわけです。

また、個人目標の達成が厳しいときでも、人は努力しようとしなくなります。

「今回は目標の90%で終わりそうだ。無理するより、次に温存しておこう」

こういった心理が各メンバーに働くことは少なくありません。チームがギリギリ目標達成するかどうかというときに、こういう人がいては、足を引っ張ってしまいます。

徹底的に「えこひいき」をする

では、どうすれば、このような「個人最適の壁」を取り除き、よりチーム全体のパフォーマンスを引き出せるのでしょうか。

伊庭正康『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方』(日本実業出版社)
伊庭正康『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方』(日本実業出版社)

答えは簡単。特定のメンバーに「プラスのえこひいき」をするのです。

チームの目標に貢献した人を、大いに称えるのです。その前提として「チームの目標」を達成するために、メンバー同士が支え合うことを大事にします。

例えば、すでに個人目標を達成しているAさんに、「今回は、BさんとCさんの目標達成が厳しいのでショート分をカバーしてくれないか?」と個人目標以上の要望をするのです。もちろん、Bさん、Cさんにも伝えます。

「ショート分はAさんがカバーするので、目標の95%までは頑張ってほしい」と。

こうすることで、一人ひとりのチームに対するコミットを高めることができます。

さて、ここで、個人目標以上の要望をすることになるAさんのような人に対する、おすすめの「えこひいき」の方法を紹介しましょう。

方法① 目標達成者だけを集めた「お祝いランチ会」をする(達成への意識付け)
方法② 達成者の名前を掲示する(職場で誰が達成したのかが明確になる)

でも、これだけだと、個人目標の達成者・未達成者の区別でしかありません。ここに、チーム目標の達成に尽力してくれた人を大いに称える方法を加えます。

方法③ 全員が集まる場で、未達成でもチーム目標に向け奮闘してくれた人を、リーダーが「言葉」でねぎらう。

「えこひいき」の注意点

なお、未達成者を「言葉」でねぎらう理由は、達成者以上に称えるとバランスが崩れるからです。「えこひいき」をするときの注意点は、未達成者に罰を与えたり、ネガティブな雰囲気にしないことです。「報酬」と「罰則」では、確実に「報酬」のほうが効果はあると、心理学でも証明されています。

ある会社で、未達成者に「罰ゲーム」で青汁を飲ませた事例もありましたが、遊び感覚でも許されることではありません。

ぜひ、「プラスのえこひいき」をして、戦えるチームをつくりましょう。

NG 「未達成者」を放置する
未達成であっても、チームの目標に貢献したのであれば、ネガティブな雰囲気にならないように、言葉でねぎらいましょう。
OK 「達成者」をえこひいきする
達成者にはプラスのえこひいきをすることで、本人にも意欲がわき、チーム全体の目標達成へのモチベーションもプラスに向かいます。

チーム全体の「熱量」を高めるには

経営の名著『ビジョナリーカンパニー』(日経BP社)には、次のような主旨の記述があります。「強い会社には、カルトのような独特の空気がある」と。

受験勉強を思い出してください。予備校や塾のあのムードです。今、振り返ると、熱病に侵されているように、必死になっていませんでしたか。私も模試の順位に一喜一憂したものです。

でも、あの独特な空気があるから、頑張れた人も多かったはず。

目標達成に強い組織には、予備校のような「頑張れる空気」があります。あなたの職場にも、そんな「頑張れる空気」を充満させておくことで、各メンバーの生産性が大幅に上がります。

とはいっても、ハチマキを絞めて「達成あるのみ」と軍隊のように妄信的になることではありません。むしろ目標達成をゲームととらえ、創意工夫によって、自分たちの限界を超える挑戦を後押しする状況を指します。その意味では、スポーツに近いともいえるでしょう。

メンバーが主体的に、達成に向けて努力したくなる空気をつくる――これこそが、メンバーを「達成モード」に導くのです。

「達成モード」のスイッチをオンにし続ける

どんな組織も、時間とともに熱量は下がってくるものです。常に熱量の高い「達成モード」を維持し続けるために、次の3つのことを試してみてください。

① 進捗を“矢継ぎ早”に共有する

もし、達成モードでないなら、進捗の共有を1日に2~3回は行いましょう。

実は、今、注目されている考え方に、「進捗の法則」があります。これは、「前進を矢継ぎ早」に見せることが「やる気」に影響を与える、というものです。例えば営業職で契約を取ってきたら、すぐにそれを実績として反映させるのです。事務所の壁やモニター、またはメールやチャットなどで、「チーム」「個人」の目標と、実績数字の進捗を、リアルタイムで共有してみてください。

② 対策をチームで話し合う

チームの目標が厳しいときには、スポーツの試合でタイムをとるように、一度、メンバー全員を集めて、対策を出し合ってみてください。逆境のときこそ、結束を強めるチャンス。そこから対策のための知恵を引き出すのがリーダーの役割です。

③ 小目標の達成を称え合う

週、日ごとなどの単位で小さな目標を決め、達成したら、「おめでとう」「お疲れさま」とお互いの目に見えるように称え合います。心理学では「画像優位効果(Picture Superiority Effect)」と呼ばれますが、言葉そのものより、お互いが称え合うというシーンの「画像(絵)」のほうが、人の心を動かします。

このように、強い組織には、独特の雰囲気があるものです。常に「達成モード」になっているかどうか、気を配っておきましょう。

NG 「自分の頑張り」で乗り切ろうとする
リーダーだけの力で現状を打開しようと思っても、チーム全体が動かない限り、決して好転しません。
OK 「チームの結果」を促して全体の熱量を高める
逆境の時こそ、チームの結束を深めるチャンスです。メンバーを集めて、目標達成のための知恵を引き出す工夫をしてみましょう。

伊庭 正康(いば・まさやす)
らしさラボ代表取締役
1991年リクルートグループ入社。リクルートフロムエー、リクルートにて法人営業職として従事。プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社らしさラボを設立。リーディングカンパニーを中心に年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行っている。実践的なプログラムが好評で、リピート率は9割を超え、その活動は日本経済新聞「日経ビジネス」「The21」など多数のメディアで紹介されている。YouTube、Voicyでもスキルアップのメソッドを紹介。

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