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ウェス・アンダーソン最新作やマッツ・ミケルセン主演のオスカー候補作も!「カンヌレーベル」注目作をピックアップ

  • 2021.4.24
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2020年のカンヌ国際映画祭は、コロナ禍のために通常開催を断念。しかし映画祭が選出した作品は、「カンヌレーベル2020」という“お墨付き”を与えられ、ほかの映画祭や各国の上映で映画ファンを喜ばせている。その数、56本。2021年は、そんなカンヌレーベル2020の作品が、続々と日本で公開されている。カンヌに選ばれ、さらにその中から厳選されての公開なので、どれも傑作ばかり。見逃がすわけにいかない注目作や、今後日本での公開が期待される作品を紹介しよう。

『旅立つ息子へ』など「カンヌレーベル2020」選出作品から注目作を紹介!

ウェス・アンダーソンらしいこだわりの美術に魅せられる『The French Dispatch』

まず、『グランド・ブダペスト・ホテル』(13)などで日本でもファンの多いウェス・アンダーソン監督の新作『The French Dispatch』(2021年公開予定)。フランスの架空の出版社が発行する、アメリカの雑誌の最終号。そこに掲載された「刑務所の芸術家」、「政治」、「警視総監のダイニングルーム」という3つの物語が展開する、またしても野心的な作りだ。

ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディー、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントンといった超実力派のオスカー俳優に、ティモシー・シャラメ、アンダーソン作品常連のビル・マーレイと、ここには書ききれないほどの豪華キャストが集結。カラーとモノクロが美しく融合し、アンダーソンらしいこだわりの美術に魅せられる一作になっている。

ウェス・アンダーソン監督の最新作『The French Dispatch』 写真:SPLASH/アフロ
ウェス・アンダーソン監督の最新作『The French Dispatch』 写真:SPLASH/アフロ

1985年を舞台にしたひと夏の物語『Summer of 85』

同じく固定ファンが多い監督と言えば、フランソワ・オゾン監督。『Summer of 85』(8月20日公開)は、オゾン作品ならではの「ボーイ・ミーツ・ボーイ」の、ひと夏の物語。16歳の主人公が、フランスの海辺のリゾートで年上の青年と親しくなった思い出を回想する。

タイトルにある通り、舞台は1985年。当時のカルチャーがそこかしこに顔を出し、ノスタルジックな気分に浸らせつつ、誰もが経験したはずのせつない「恋」や「憧れ」が等身大に描かれていく。シビアな展開と軽やかなエピソードのバランスも絶妙。ロッド・スチュワートの名曲「セイリング」がポイントとなるクライマックスは号泣必至だ。

1985年のカルチャーに彩られたフランソワ・オゾン監督の『Summer of 85』 [c] 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
1985年のカルチャーに彩られたフランソワ・オゾン監督の『Summer of 85』 [c] 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES

マッツ・ミケルセンが常に酒を飲み続ける男を演じる『アナザーラウンド』

今年の米アカデミー賞における国際長編映画賞の最有力で、監督賞にもノミネートされたのが、デンマークのトマス・ヴィンターベア監督による『アナザーラウンド』(9月3日公開)。職場の学校では授業がパッとせず、家庭内でもぎくしゃくする教師が「血中アルコール濃度0.05%を維持したら、すべてうまくいく」という論説を信じ、同僚とともに実践するストーリー。つまり、常に酒を飲み続ける日常を送ったところ、授業でも生徒に大受けし、妻との関係も修復!もちろんドラマは二転三転するものの、突飛なシチュエーションで人生の喜怒哀楽に共感させる一作だ。

主演はマッツ・ミケルセンで、ヴィンターベア監督とは『偽りなき者』(12)以来の再タッグ。同作はマッツにカンヌ国際映画祭の男優賞をもたらした。日本でも根強い人気を誇っているマッツが、劇中で得意のダンスを披露するシーンもあるので、ファンには必見だ。

【写真を見る】“北欧の至宝”ことマッツ・ミケルセンの最新作で、日常生活で「血中アルコール濃度0.05%」を維持しようとする男を演じる『アナザーラウンド』 [c]2020 Zentropa Entertainments3 ApS, Zentropa Sweden AB, Topkapi Films B.V. & Zentropa Netherlands B.V.
【写真を見る】“北欧の至宝”ことマッツ・ミケルセンの最新作で、日常生活で「血中アルコール濃度0.05%」を維持しようとする男を演じる『アナザーラウンド』 [c]2020 Zentropa Entertainments3 ApS, Zentropa Sweden AB, Topkapi Films B.V. & Zentropa Netherlands B.V.

名優ヴィゴ・モーテンセンが初監督&主演を務める『Falling』

マッツ・ミケルセンと同様に、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ以来、日本でも熱いファンが多いヴィゴ・モーテンセン。満を持して監督デビューを果たしたのが『Falling』(公開未定)だ。主演も自身が務める。

ヴィゴが演じるジョンは、パートナー、そして養女と生活するゲイの男性。認知症となった父親を引き取ると決めた彼だが、父は保守的で頭が固く、同性愛嫌悪を露わにし、親子の激しい衝突へと発展してしまう。ジョンの少年時代も描かれ、LGBTQと家族という繊細なテーマをヴィゴがどのように演出したかに期待したい。『イースタン・プロミス』(07)などヴィゴの代表作を監督したデヴィッド・クローネンバーグが、俳優として参加しているのも気になるところ。

名優ヴィゴ・モーテンセンの初監督作品で、LGBTQと家族という繊細なテーマを描く『Falling』 写真:SPLASH/アフロ
名優ヴィゴ・モーテンセンの初監督作品で、LGBTQと家族という繊細なテーマを描く『Falling』 写真:SPLASH/アフロ

イスラエルの名匠が描く父子の逃避行『旅立つ息子へ』

そして珠玉の一本ということでは、『旅立つ息子へ』(公開中)を挙げたい。東京国際映画祭で2回のグランプリを受賞している、イスラエルのニル・ベルグマンの監督作品。自閉症スペクトラムの息子を世話するため、仕事のキャリアも捨てた父親。全寮制の特別支援施設への入所が決まった息子は、父親と別れるのを嫌がり、2人の逃避行が始まる。息子の成長、なかなか“子離れ”できない父親の葛藤。ドッキリさせるエピソードを盛り込みながらも、基本的に軽やかなロードムービーのように綴られ、観る者の心を温かく包む。

チャップリンの『キッド』(1921)など名作へのオマージュがあったりして、映画ファンの心をときめかせるところも、「カンヌレーベル」らしいと言えるだろう。

息子を全寮制の施設に入居させることになり、葛藤する父(『旅立つ息子へ』) [c]︎ 2020 Spiro Films LTD.
息子を全寮制の施設に入居させることになり、葛藤する父(『旅立つ息子へ』) [c]︎ 2020 Spiro Films LTD.

文/斉藤博昭

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