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【ミレニアル世代のマネー学】一般NISAとつみたてNISA、徹底攻略

  • 2021.4.20
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銀行にお金を預けても、お金はほとんど増えません。ミレニアル世代・Z世代と呼ばれるみなさんがこれからお金を増やしたいならば、投資をすることが欠かせません。

投資をする際に大切なのは、少しでも有利な方法を利用すること。
今回は、みなさんにもぜひ使っていただきたい「NISA」(ニーサ・少額投資非課税制度)について紹介します。

NISAってどんな制度?

NISAは、投資の利益を非課税にできる制度です。
投資で得られた利益(運用益)には、通常約20%(正確には、20.315%)の税金がかかります。

たとえば、投資で100万円の利益が出た場合、そこから約20%の税金が取られてしまうため、手元に残る利益は80万円に満たない金額になってしまいます。
ルールとはいえ、20万円も引かれてしまうのは、もったいないですよね。

この投資を、NISAを利用して行なっていたら、非課税になりますので税金はゼロ。100万円を丸ごと受け取ることができるのです。
約20万円の差は大きいですよね。しかも、この差は利益が大きくなればなるほど広がっていきます。

20歳以上が使えるのは一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)

NISAは2014年にスタートした制度です。今では一般NISA・つみたてNISA(積立NISA)・ジュニアNISAの3種類の制度があります。
制度ごとに毎年投資できる金額の上限や投資できる商品、非課税になる期間などが異なっています。

現状、日本に住む20歳以上の方が利用できるNISAの制度には、一般NISAとつみたてNISAがあります。
なお、成人年齢の引き下げによって、2023年からは18歳以上の方が一般NISA・つみたてNISAを利用できるようになる予定です。

一般NISA

一般NISAは、毎年120万円(非課税投資枠)までの投資で得られた利益に対する税金を非課税にできる制度です。
正確には「NISA」という制度なのですが、他のNISAの制度と紛らわしいため、一般NISAと呼んでいます。

一般NISAでは、国内・国外の上場株式・投資信託・ETFなどに投資ができます。
買うタイミングも自由ですので、タイミングを見計らって、ここぞというときに一度に購入することもできますし、毎月一定金額分を買い付ける積立投資もできます。

一般NISAで非課税となる期間は原則として5年間です。5年を過ぎても保有し続けることは可能ですが、その後の値上がり益には税金がかかります。
ロールオーバーという制度を利用すると、5年間保有し続けた商品をさらに5年間、非課税で保有できます(ただし、ロールオーバーは新規投資と見なされるためロールオーバーした分の非課税投資枠は当然なくなります)。

つみたてNISA

つみたてNISAの非課税投資枠は毎年40万円まで。投資で得られた利益を最長20年間非課税にできる制度です。
年間で非課税になる投資金額は一般NISAの3分の1ですが、非課税にできる期間は4倍となります。

つみたてNISAで投資できるのは、金融庁の一定の基準を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)。長期間積み立てと分散投資ができる商品のみです。
もちろん、金融庁の基準を満たすから、将来的に必ず値上がりする、というものではありません。しかし、手数料が安くてシンプルな商品が多く、長期資産形成に向いています。

つみたてNISAでは名前のとおり、積立投資を行います。自分で指定した金額が指定した日に自動的に引き落としになり、継続して積立投資が行われます。
一度設定すれば、あとは自動でコツコツ積み立てていきます。逆に、タイミングを見計った投資はできません。

一般NISAとつみたてNISAの主な違い
一般NISAとつみたてNISAの主な違い

表:筆者作成

注意していただきたいのは、どちらの制度も、毎年の非課税投資枠は使い切りだということ。
一般NISAやつみたてNISAで買ったものを売っても、非課税投資枠は復活しません。また、使わなかった非課税投資枠を翌年に持ち越すこともできません。
ですから、非課税の恩恵を大きく受けたいのであれば、なるべく早くはじめて、上限額いっぱいで投資を行い長く続けたほうがいいというわけです。

それから、一般NISAとつみたてNISAは、併用することができません。投資をする際には、金融機関に一般NISA口座かつみたてNISA口座かを選んで開設します。
なお、年に1回、すでに開設している一般NISA口座をつみたてNISA口座に変更する(つみたてNISA口座を一般NISA口座に変更する)ことはできます。

2024年からはNISA制度が変わる

NISAの制度は、2024年から一部変更になります。
変更の主なポイントは以下のとおりです。

一般NISAとつみたてNISAが5年延長に

NISAで新規に投資できる期間は当初、一般NISAが2023年まで、つみたてNISAが2037年まででした。これが5年ずつ延長されて、一般NISAが2028年まで、つみたてNISAが2042年まで新規に投資できるようになります。
なお、未成年者向けのNISA「ジュニアNISA」は、2023年をもって制度が終了します。

一般NISAが「新NISA」に変わる

一般NISAの制度は、2024年から「新NISA」(仮)に変わります。
2024年以降の新NISAで投資できる金額は年122万円まで。一般NISAよりも年2万円、5年で10万円多く投資できるようになります。

新NISAでの投資は2階建てになります。1階部分は年20万円、2階部分は年102万円までの投資ができ、それぞれの利益が非課税になります。
1階部分でできる投資はつみたてNISAと同じく、投資信託・ETFの積み立て投資のみ。2階部分では、一般NISAと同様、上場株式などに投資ができます。

原則として、1階部分で積み立て投資を行わないと、2階部分は利用できません。
とはいえ、1階部分で20万円分を使い切る必要はなく、たとえば毎月1000円など、少しでも積立投資をしていれば2階部分も利用できるようになる見込み。

ただし、すでにNISA口座を持っている方、株式投資の経験者は2階のみ利用することができます。
今までNISAで株を買っていた人にとっては、年間の非課税投資金額が120万円から102万円になり、減額になりますので痛い改正と言えそうです。

また、新NISAの1階で投資した分は、非課税投資期間が終わったあとにつみたてNISAに資産を移して運用(ロールオーバー)できます。こ
れを利用すると、新NISAで5年+つみたてNISAで20年の計25年にわたって、非課税で運用できます。

一般NISAは2024年から新NISAへ

図:筆者作成

ミレニアル世代・Z世代におすすめはつみたてNISA

一般NISA(新NISA)とつみたてNISA。2つのNISAは、同時に利用することができません。

ミレニアル世代・Z世代のみなさんにおすすめなのは、つみたてNISAです。
その理由は、大きくわけて次の3つです。

理由①:長期・積立・分散投資が生かせる

もっとも大きな理由は、長期・積立・分散投資が生かせることです。
すでに本連載の「日本人の資産は20年でいくら増えた? お金の置き場所を考える」でも紹介したとおり、長期・積立・分散投資は「投資の王道」と呼ばれる手法です。

「長期」は、長い時間をかけて投資を行うこと。
「積立」は、感情に左右されず淡々と、毎月一定の金額を投資に回すこと。
そして「分散」は、投資先や購入タイミングを分けること。

この投資を実践することで、複利の効果を生かしつつ、お金を堅実に増やす期待ができます。

理由②:若いことが有利になる

長期・積立・分散投資は、長く続けるほど有利になります。そのうえ、つみたてNISAを利用して非課税で投資できる期間は2042年まで。2021年の今から投資をスタートすれば、最大で880万円まで非課税で投資できます。

ミレニアル世代・Z世代のみなさんならば、2042年になってもまだまだ元気に活動しているはず。
今からつみたてNISAにじっくり取り組んでおけば、将来に向けてまとまったお金を準備することができる、というわけです。

もちろん、NISAは途中で引き出しもできる制度なので、ライフイベントなどで必要な場合は引き出すことも可能です。

それもこれも早くはじめておけば、様々な資金に活用できるオプションになります。

理由③:商品が選びやすく、はじめやすい

私たちが購入できる投資信託は6000本以上あります。その中には、残念ながらお金を増やすのに適さない商品がたくさんあります。
しかしつみたてNISAではその中から、金融庁の基準を満たした193本(2021年4月7日時点)の商品のみ購入できるようになっています。いずれも、手数料が安く、長期の資産形成に適した商品となっています。

193本でも多いと思う方もいるかもしれませんが、各金融機関はこの中からさらに絞って厳選しています。金融機関によっては3本〜5本に絞っているところもあります。数が多くて選びにくいという方でも選べることでしょう。

そのうえ、つみたてNISAは金融機関によりますが、100円と少額からスタートできます。「今まとまったお金はないけど、投資をしてみたい」「いきなり大金を投資するのは怖い」という方でもはじめやすいでしょう。

つみたてNISAの金融機関選びのポイント

つみたてNISAをスタートするには、金融機関につみたてNISAの口座を開設する必要があります。銀行・証券会社・保険会社など、つみたてNISAを取り扱う金融機関はたくさんあります。
しかし、つみたてNISAの口座は1人1口座しか作れません。しかも、つみたてNISAのサービスは、金融機関によって異なります。ですから、どの金融機関を選ぶのかが大切です。

つみたてNISAの金融機関を選ぶときには、主に次の3つのポイントに注目しましょう。

ポイント①:取扱商品の違いをチェック

一番注意したいのは、金融機関によって取り扱いのある商品が異なること。

ネット証券では、対象の商品の大部分を扱っています。
一方、店舗型の銀行や証券会社では、商品を絞りこんでいます。買いたい商品のある金融機関を選ぶことが何より大切です。

またつみたてNISAで投資する投資信託を選ぶときに注目したいのが、投資信託の保有中にかかる「信託報酬」という手数料。つみたてNISAの投資は長期間に及ぶので、ほんの少しの差がやがて大きな差となります。
つみたてNISAの場合、もともと信託報酬が比較的安い商品が揃ってはいますが、それでも、同じような投資先に投資する商品が複数あるなら、できるだけ信託報酬が安い商品を選びましょう。

ポイント②:最低投資金額はいくらか

つみたてNISAは少額でスタート可能。
一般NISAで株を買うという場合は、数万円〜数十万円は必要ですが、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券のつみたてNISAは月100円からでもできます。今お金が少ないという方でもはじめやすいですね。

もっとも、100円ではさすがに大きく増えないので、慣れてきて余裕が出てきたら投資額を増やしましょう。

また近年、ネット証券ではつみたてNISAの買付頻度を「毎月」だけでなく、「毎週」「毎日」など、より細かい間隔で設定できるようになってきています。
毎日コツコツ購入することで、時間を分散して投資できるといわれていますが、結論から申し上げると、大した差はありません。もしお使いの金融機関が毎日積立にも対応しているのであれば毎日積立を選ぶ程度でOK。毎月積立でも問題ありません。
毎月積立と毎日積立の差がどれくらいなのか気になった方は、筆者のYouTube「毎月積立vs毎日積立、どっちが儲かっているのか」をチェックしてみてください。

ポイント③:問い合わせのサポート体制

何かわからないことがあった場合、電話や窓口で相談できると安心です。ネット証券の場合、コールセンターを開設しているほか、AIチャットで質問できるところもあります。
また、店舗のある金融機関ならば、窓口で直接質問することも可能です。
日中は忙しいという方でも、平日の夜や休日に問い合わせできれば安心です。

つみたてNISAのおすすめ金融機関5社

上の金融機関選びのポイントを踏まえて、筆者が選んだおすすめ金融機関を紹介します。ぜひ、つみたてNISAスタートの参考にしてみてくださいね。

つみたてNISAのおすすめ金融機関5社
つみたてNISAのおすすめ金融機関5社

表:2021年4月7日時点、筆者作成

楽天証券・SBI証券・マネックス証券の3社はいずれもネット証券。ネット証券では、つみたてNISAの対象商品の大部分を扱っていますので、自分がいいと思う商品を選ぶことができます。そのうえ、最低投資金額がいずれも100円からと、少ない資金で投資が可能です。
楽天証券では土日もコールセンターで投資信託やNISAの問い合わせができるのも心強いですね。また、3社とも投資信託の保有特典としてポイントが得られます。

イオン銀行とろうきん(労働金庫)は店舗を構える銀行です。どちらも全国に店舗があるので、窓口で相談できる安心感があります。イオン銀行は年中無休、21時まで相談可能ですから、忙しい方でも相談しやすいのがメリット。またろうきんは、取扱商品数こそ多くないものの、信託報酬の安い商品が揃っています。

お金を増やしていくために、ぜひ金融機関につみたてNISA口座を開設し、投資をスタートさせてくださいね。

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