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モテない女が、ハイスぺ男子とマッチングできた理由。

  • 2021.4.17
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コロナ禍で人との出会いが減り、『マッチングアプリ』が気になっている方も多いのではないでしょうか? ひと昔前は『出会い系』などと呼ばれ、ともすればマイナスのイメージを漂わせていましたが、コロナ禍ですっかり市民権を得た様子。現代の恋愛模様は、マッチングアプリの普及でどう変わったのでしょう。マッチングアプリを通じて見えた悲喜劇を、ライターの馬越ありさが綴ります。

写真はイメージ。photo:kokouu_istock

千恵さん(29歳)出版社勤務の場合

「お金持ちと結婚したい、そう願うのって、美人だけの特権なのでしょうか?」

そう遠慮がちに問いかけてきた千恵さんは、イヤーカフにチャンキーヒールと洗練された装いながらも、正直な所、男好きするタイプとは言い難いルックスだった。しかし、いきなり自分の意見をぶつけてこない、配慮のある物言いからは、出版社でのキャリアを着実に積み重ねてきたさまがうかがえる。床に置かれた、上質な一枚革でできたトートバッグからは、ノートパソコンと書類が覗いていた。

「一生懸命、努力してつかんだキャリア。男性にも、同じくらいの収入を求めたって、分不相応じゃないと思っていました」

自分に言い聞かせる様に呟いた後、千恵さんはマッチングアプリを始めた経緯を話してくれた。

「出身は名古屋です。慶應義塾大学への進学を期に、上京しました。大学では体育会のラクロス部に入り、毎日、充実していましたね。同じ体育会の男の子と、グループ交際みたいな事もして。だから、彼氏を探すために合コンする、という経験も無くて……」

一瞬、言いよどみ、悔しそうな表情を浮かべた後、堰を切ったように続ける。

「私、自分がモテないっていう事に気付いたのは、社会人になってからなんです。第一志望だった出版業界に入れて、交友関係も格段に広くなって。入社1年目の時に、体育会で一緒だった男友達に、読者モデルの子を誘っての合コンを頼まれたんです。その時の、彼らの豹変っぷりを見て、愕然としましたね。私には見せた事もない笑顔でデレデレして。この時、初めて、自分は女として見られてなかったんだなぁ…と気付き、とてもショックを受けたのを覚えています」

男性に守られたい、それって甘えでしょうか?

「けれど、私には私の良さがある。だから高倍率の出版社へも入社できたんです。本当にデキる男はトロフィーワイフなんか選ばないって自分を鼓舞して、忙しい仕事の合間をぬって、積極的に出会いの場には顔を出していました。だけど、そういう会には、誰のつながりで来たのかも分からない、自称モデルみたいな子が必ずいるんです。『自分で稼げる女の人は婚活する必要ないから羨ましいです~』とか言われると、私も虚勢を張ってしまって。そのせいか、男性からは空気の様に扱われてしまい、次第に合コンからは足が遠のいていきました」

「そういう男性への反発心から、仕事にのめり込もうとした時もあったんですよ。けど、毎年のように廃刊の雑誌が出たり、体調を崩して辞めていく女の先輩もいたりして…。仕事は好きだけど、一生独身で働き続ける覚悟や、共働きで家計を担いながら子育てする覚悟をしろと言われると、急に息苦しくなる。楽して贅沢したい訳じゃ無く、男性に守られたい。それって、甘えなのでしょうか?」

欲望を叶える為に義務を果たそうとする真っ当さが、千恵さんをモテから遠ざけているのだとしたら、皮肉な事だ。

「それに、都会の刺激で気付いていなかった寂しさを、ふと感じる様になって。電化製品の修理で業者さんに来てもらう時なんか、心細いですし。新卒から住み続けたマンションの3回目の更新手続きの時には、現状を変えたいと、強く思いました」

そんな時に、マッチングアプリについての記事を担当する事になり、取材を重ねるだけでなく、自らも登録してみたという。

身長175センチ以上、というフィルターを外したら。

「まずは、ハイスペックな男性が多いというアプリに登録しました。写真審査が通った事と、年収1,000万円以上で名門大学卒、かつ175㎝以上の男性が沢山いる事に、テンションが上がりましたね。……だけど、一向にマッチングしないんです。マッチングアプリ、というヴァーチャル空間がある訳では無く、そこにはリアルの世界と同じカーストが存在していました」

辛い現実を突きつけられ、なげやりな気持ちで退会してしまう人も多いだろう。しかし、千恵さんは取材の為という使命感と持ち前のバイタリティで、他のアプリも試したというのだ。

「もうひとつ、利用者数が多いというアプリに登録したのですが、そちらではポツポツと“いいね!”を頂けて。その方たちの共通点を見つけた時に、一気に道が開けた気がしました!」

そう言って千恵さんは、今日初めての笑顔を浮かべる。

「イケメンだけど収入が低かったり、収入はあっても不安定な職業だったり…。つまり、何か1つの項目が、婚活女子の及第点に達していない方だったんです。そこで、自分の中で譲れない部分を考え直し、身長175㎝以上というフィルターを外してみました。そうして、こちらから“いいね”!をした方とは、高確率でマッチングできて」

「その後のメッセージ交換がスムーズにいかない方が多いのには閉口しましたけどね。私は、仕事柄、撮影の日は1日メッセージを返せない日もあるのですが、その間に何通も送ってくる方がいたり。初めての顔合わせで、立食い寿司に誘われたり。良くも悪くも遊び慣れていない方が多くて。そんな中、テンポ良くメッセージが続いた方と、今度3回目のデートに行くんです」

お相手は福利厚生が手厚い事で有名なインフラ系の企業に勤める30代の男性だそう。身長は172㎝で、テレビに出てくる経済評論家の様な知的さ漂う顔立ち。イケメンではないが、女性から生理的にムリ、と言われる事のないタイプだ。

「きっと、彼が175㎝以上だったら、相手にされなかったと思います」

謙遜したセリフを口にしながらも、千恵さんの微笑みからは、満たされた女特有の色気が漂っていた。

次回は4月24日公開予定

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