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魔女が欠かせないスウェーデン北部の春の訪れ。

  • 2021.4.17
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写真・文/神咲子(在ストックホルムコーディネーター)

ご存知の通りスウェーデンの国の形は細長い。北から南まで約1,572kmと離れていて、日本と同じように春の訪れも北と南では様変わる。とはいえ、サマータイムに変わる日と(2021年は3月27日から28日)、イースターの休日(4月1日から5日)を経て日に日に明るくなり、花も咲き始める。人々はイースターの飾り付けで春を迎えるのである。

南部のエステルイェートランド地方では、友人の飼い猫のマトリョシカも春の訪れに思わず跳躍。photo:Frederic Piccoli

スウェーデンには、魔女がホウキに乗ってイースターの聖木曜日にやってきて、イースターの当日にまた帰っていくという言い伝えがある。理由ははっきりわからないが、スウェーデンのイースターに魔女が登場してきたのは1800年頃から。

魔女のホウキを模したのか、イースターには木の枝に赤い募金の羽のような色とりどりの羽をつけて家の外に飾り、子どもたちは魔女の仮装をして近所にお菓子をもらいに行く。地方色があり、南部のゴットランド島では大人が魔女に扮装し、Påskägg (ポスクエッグ)と呼ばれるお菓子を詰めた卵型の箱を子どもたちに配る。いっぽう中西部のヴェルムランド州では、イースター前夜に子どもも大人も近所や知り合いの家々を訪ね「Glad påsk!(グラード ポスク!)」(ハッピーイースター!)と叫びドアを開け、手書きのメッセージ(イースターのご挨拶)とお菓子を玄関に放り込むのだそうだ。

また、北部各地では藁人形の魔女を飾り、イースターの夜に焼き払うという風習がある。日本のお焚き上げではないが、焼いてお祓いをするのは世界共通なのか。ヴェステルボッテン州をドライブしていたら、春とはいえまだ雪景色の中、さまざまな魔女に遭遇した。

個人的にはこういうドジな魔女を考えたスウェーデン人のユーモアのセンスに拍手を送りたい。

スウェーデンの春は北部では雪の中魔女が奮闘しているが、南部では猫さえ室内から暖かい太陽の陽を求めて外へと飛び出しているように、北と南でずいぶん異なる。だが、長く暗い冬を経て、その春の到来を喜び、祝うことは共通なのだ。

飾りもやはり南の方が明るさを感じる。photo:Frederic Piccoli

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