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イヴ・サンローランの服にも! 巨匠モンドリアンのカッコよすぎな作品、一挙来日!

  • 2021.4.17
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2022年に生誕150年を迎える抽象画の巨匠、モンドリアンの23年ぶりとなる待望の個展が東京・新宿のSOMPO美術館ではじまりました。美術だけでなく、デザインやファッションの分野にまで影響を与えたモンドリアンの作品は、今の時代に見てもとってもおしゃれ。彼の作品がどうやって生み出されていったのか、詳しくご紹介します!

オランダから多数来日!

【女子的アートナビ】vol. 201

『生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて』では、オランダ出身の画家ピート・モンドリアン(1872-1944)の初期から晩年の作品、さらには関連作家の作品をあわせて約70点を展示。そのうち50点が、モンドリアン作品を多数収蔵するオランダのデン・ハーグ美術館から来日しています。

水平垂直線と原色平面による彼の抽象画はとても有名ですが、本展ではあまり知られていない初期の風景画や静物画なども紹介。モンドリアンの画風がどのように変化していったのか、作品をとおして見て知ることができる大変貴重な機会です。

小学校の先生だった!

モンドリアンはオランダ中部のアメルスフォルト生まれ。父親はプロテスタント系の小学校校長で、厳格なカルヴァン主義の家庭で育ちました。

この父親がアマチュア画家で、さらに叔父フリッツも画家。叔父はゴッホを指導した画家に絵を習っていたこともあるそうです。そんな身近な人たちから絵の手ほどきを受けたモンドリアンは、芸術家を目指すようになります。

ただ、図画教師としても生活できるよう、教員免許の取得を父親から命じられ、まずは勉強をして資格を取得。17歳で、父の小学校で教え始めます。その後、20歳のときにアムステルダムの美術アカデミーに入学。正規コースを修了後、肖像画で生活費を稼ぎながら風景画を描いていきます。

会場では、まず初期のころに描いた風景画がたくさん展示されています。オランダ・ハーグ派様式で描かれた風景画は、やや暗めでくすんだ色彩。工場や農家など、素朴な景色を写実的に描いています。

色や形が変わってきた…!

モンドリアンは1909年に神智学協会に入会。ドイツの哲学者、ルドルフ・シュタイナーの思想などからも影響を受け、作品の雰囲気も変わってきます。

しだいに色彩が明るく豊かになり、点描を使うなど描き方も変化。ムンクや印象派のような作品もあります。

1911年、ピカソやブラックなどのキュビスム作品と出会ったことが転機となり、モンドリアンはパリに転居。大都市のカフェや劇場に通って刺激を受け、作品もキュビスムとは異なる彼独自の画面構成に変化していきます。

線や原色が登場!

父親の病気によりパリから帰省したモンドリアンは、第一次世界大戦がはじまったため、そのままオランダに残ります。そこで同胞の画家バート・ファン・デル・レックに出会い、彼の画法に啓発されて「線と原色」による抽象的な作品の制作をはじめます。

さらに、1917年には芸術家のテオ・ファン・ドゥースブルフらと一緒に、新しい芸術について論じる雑誌『デ・ステイル』を創刊。モンドリアンの造形に対する考え方は、絵画や彫刻だけでなく建築やデザイン分野の人たちにも共有されていきました。

代表作が登場!

戦後再びパリに移りアトリエを構えた彼は、水平垂直線と原色で構成された絵画を制作。いよいよ、モンドリアンの代名詞ともいえる「コンポジション」シリーズが登場します!

1938年、66歳になっていたモンドリアンは、第二次世界大戦の戦火を避けるためロンドンに移住。しかしナチス・ドイツによるロンドン爆撃が激しくなったため、1940年、船でニューヨークに脱出します。

アメリカではすでに彼の作品は評価されていたため、1942年に開かれた初個展でも成功をおさめますが、1944年に肺炎をわずらい、72歳で亡くなります。

高級ブランドにも影響!

モンドリアン亡き後も、彼の作品はさまざまなジャンルに影響を与え続けます。

もっとも有名なのは、1965年にフランスのファッションデザイナー、イヴ・サンローランが発表した「モンドリアン・ルック」。水平垂直線と原色の組み合わせを取り入れたワンピースは、当時大変注目されました。

ちなみに、モンドリアンの展示が終わり常設展示のコーナーに行くと、SOMPO美術館の至宝、ゴッホの《ひまわり》も見ることができます。モンドリアンの叔父が、ゴッホの指導者に絵を習っていたことを考えると、オランダ出身の巨匠たちのつながりが見えて興味深いです。

グッズも充実!

最後のミュージアムショップでは、モンドリアンのグッズが勢ぞろい。トートバッグや靴下など、どれもおしゃれです! グッズは売り切れるかもしれませんので、欲しい方は早めに行かれたほうがいいかもしれません。

本展は6月6日(日)まで開催。日時指定入場制ですので、詳しくは公式サイトをご確認ください。

参考文献:展覧会公式図録『モンドリアン 純粋な絵画を求めて』
※本記事の写真は、プレス内見会で主催者の許可を得て撮影しています。

Information

会期 : ~6月6日(日)
会場 : SOMPO美術館
開館時間 : 10:00-18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日 : 月曜日(5月3日は開館)
観覧料 : 日時指定入場制
※オンラインチケット:一般¥1,500、大学生¥1,100、 高校生以下無料
※当日窓口チケット:一般¥1,700、大学生¥1,300、 高校生以下無料

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