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【SHOCK EYEの神社習慣】なくなってしまった後に再会し、その最期に感銘を受けた話

  • 2021.4.15
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倒れた御神木から教わったこと

見どころがたくさんある鶴岡八幡宮の中でも特に思い入れが深いのは、かつて大階段の脇にあった「大銀杏」だ。高さおよそ25m、幹の直径が7〜8mもあった大木で、鎌倉といえば鶴岡八幡宮、鶴岡八幡宮といえば大銀杏と言ってもいいくらいの街のシンボル的存在だった。僕は今でも鶴岡八幡宮と聞けば、大銀杏があった頃の景色を思い出す。

それが、2010年の暴風雨で倒れてしまった。ニュースで知った時は本当にショックで、まるで古い友人を亡くしたような気持ちというか……。同じく鎌倉が地元のHAN−KUNと二人、ずいぶん悲しんだのを覚えている。

あれはきっと、昔から当たり前にあって、これからもずっとあると思っていたものが突然失われてしまったことへの喪失感だったんだと思う。例えば、地元の街に久しぶりに帰ったら街の景色がすっかり変わっていて、便利になったはずなのに何ともいえない寂しさに襲われる、あの感じに近い。大銀杏が倒れたニュースはショックだった。でも同時に、「それくらい、自分はちゃんと鎌倉を好きなんだ。誇れているんだな」という確認にもなったんだ。

街が変わっていくのは仕方のないことだし、鎌倉の街も行くたびに変わっていっている。その中で、鶴岡八幡宮のようにいつでも自分の原点に立ち戻れる場所があることは、すごくありがたいと思った。

みんなも、こういう場所を一つは持っていた方がいいと思う。

急な変化の中では、絶対に変わらないものも必要

僕たちは今、いろんなものが変わり続ける世界に生きている。僕が今住んでいる街もどんどん変わっていて、お店が潰れたと思ったらすぐ新しいお店になっているし、スマホだって、1年もすればすぐ新しい機種が発売されるよね。そうやって周りのものが目まぐるしく変わる中で、ずっと変わらないものが自分の中にあるのはけっこう大きい気がする。

神社はいつも変わらないし、変わらないようにしている場所。別に神社でなくても、例えば海とかでもいいんだ。海もずっと変わらないからね。

大銀杏は倒れてしまったけど、すぐ横にはまた新しい木が成長してきている。この木は人の手で植えたのではなく、残った根元から自然と生えてきたものだそうだ。この若木も、いつかあの大銀杏くらい大きく成長して何百年とここに立ち続けるんだろうか……。そんなことを考えていたら、今回、案内をしてくれた神職の方がこんなことを教えてくれた。

実は大銀杏が倒れたその瞬間は、神社の方も誰も見ていないそうだ。タイミングを見計ったかのように境内に誰もいない時間、何もない場所に倒れてくれたおかげで、あれほどの巨木が倒れたというのに一人のけが人も出なかったらしい。

この話を聞いて、すごく感銘を受けた。倒れるその瞬間まで、誰にも迷惑をかけない、誰も傷つけない生き方。自分の命がもう残り少ないと判った時、僕はきっとこの話を思い出すだろうし、自分もこういう終わり方を選びたいと思う。

<column>「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」で、あの大銀杏と再会

境内にあった「神奈川県立近代美術館 鎌倉」が閉館し、2019年、鶴岡八幡宮の歴史を中心に鎌倉の魅力を紹介する「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」として生まれ変わった。ここに併設されているカフェに、大銀杏の樹幹の一部が展示されている。毎年参拝しているのに、大銀杏がここにいるのは知らなかった。遠くから見上げている時は分からなかったけど、いざ間近で見るとすごい迫力! かつての姿を知らない人でも、その存在感に圧倒されるはずだ。大銀杏のそばでのんびりお茶を楽しんで。

<Data>
今回、参拝したのは……

【鶴岡八幡宮】
神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-31
HP:https://www.hachimangu.or.jp/
御祭神:応神天皇(おうじんてんのう)比売神(ひめがみ)神功皇后(じんぐうこうごう)

【SHOCK EYEプロフィール】
1976年神奈川県生まれ。RED RICE、若旦那、HAN-KUNとともに「湘南乃風」を結成、2003年デビュー。2011年にはポルノグラフィティの新藤晴一らとTHE 野党を結成。著書に『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている運気アップの習慣』(ともに講談社)がある。インスタグラム上で、Shrinegramという、オンラインでの会員限定コンテンツも人気。新刊『SHOCK EYEの強運思考』が絶賛発売中!
Instagram:@shockeye_official
Twitter:@SHOCK_EYE_

撮影/大坪尚人(弊社写真部) スタイリング/渕上カン ヘアメイク/大島千穂 取材・文/山崎恵 企画/黒田剛

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