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2022年、フランス人は「ビズ」しなくなる?

  • 2021.4.14
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フランス人の典型的な挨拶である「ビズ(チークキス)」を全くしないか、ほとんどしなくなって1年経過したが、IFOP(フランス世論研究所)の最新の調査結果が示すように、ビズは姿を消しつつあり、もしかしたらコロナ終息後はゆっくりと消滅するかもしれない。

IFOPの最新の世論調査によると、新型コロナウイルスの蔓延以来、同僚だけでなく近親者とも挨拶のキスをしない傾向にあるという。Image : Getty Images

「『ようやく終息しました。これからはビズをしても問題ありません』と宣言できる日が来たら、首相としてうれしく思うことでしょう」とジャン・カステックス首相は3月16日のツイートでつぶやいた。しかし、1年以上前に公衆衛生上の制限を理由に社会的慣習のビズが禁止されてきたフランスで、人々は口や頬へのキスの再開を歓迎しているようには見えない。3月17日公表されたIFOPが人材サービス会社Aladomのサイトのために実施した最新の調査(1)で、そのような結果が明らかになった。

今後は見知らぬ人にも、近しい人にもキスをしない

調査結果が示すように、コロナ禍以前は40%のフランス人が挨拶として初対面の人とビズを交わしていたが、終息後は回答者の78%がこの習慣を断つとしている(その内49%は必ずやめると回答)。このアンチ・ビズ運動は、調査協力者の50%が今後は近しい人、友人、同僚とキスをしないと答えていることから、家族や親戚、友人の間で拡大傾向にあるように思われる。

感染症拡大のせいで、私たちはあらゆる形の接触を排除したいと思うほどになり、ビズという温かい習慣を断ち切ることになってしまったのだろうか?調査対象者の28%がこの3ヵ月の間、ただ単におしゃべりをする、軽く1杯飲む、食事をする、楽しむという理由でも友人、家族、親戚、同僚をまったく自宅に招き入れていないと答えている。

この接触を避ける内向きの傾向を裏付ける手がかりのひとつは、すっかり意気消沈しているフランス人の姿である。47%が精神面で耐えがたい人生の苦難を抱えていると答え、74%はこの状況下で満たされないという感情を抱き、無力感に打ちのめされ、くたびれたと回答している。

アフターコロナの展望も大いに喜べない状況のように思える。「外出禁止令が解かれたあと、我々は真新しい世界で目覚めるのではない。同様、もしくはもう少し生きにくい世界となるだろう」と、ミッシェル・ウェルベックが昨年5月、ラジオ局「フランス・アンテール」で放送された番組で、未来を予言していたのだ。

前述の調査では76%のフランス人がこの気持ちに賛同できると回答。71%が、「以前のごく普通の生活に二度と戻れないだろう」という意見に賛成している。

そんな果てしない憂鬱感が漂う中、いくつかの楽観的な見方が出てきた。新たな衛生習慣(38%が、病気になったら公共交通機関利用時は必ずマスクをすると回答)以外にも、34%のフランス人はテレワークや引っ越しなどを通じて生活様式をかなり変えたいと回答している。

(1) Aladomの依頼を受け、2021年3月3日と4日にネット上で自動管理のアンケート調査票を用いて、18歳以上のフランス本国在住の代表的な1048人の標本についてIFOPが行った調査研究。

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