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躍進を続ける「ブラムハウス」作品の“フレッシュ”10選!アカデミー賞候補作から傑作ホラーまでズラリ

  • 2021.4.10
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2000年に設立され、最初にその名前がクレジットされた作品は『ダーウィン・アワード』(06)という極めてシュールなインディペンデントコメディだった。しかしその翌年、わずか1万5000ドルで製作されたホラー映画『パラノーマル・アクティビティ』(07)が全世界で2億ドル近くを売り上げる記録的大ヒットとなり、一躍21世紀の映画界を担うスタジオとして注目を浴びることとなった「ブラムハウス・プロダクション」。

【写真を見る】ホラー映画を賞レースに送り込む手腕で映画界を席巻!ジェイソン・ブラムって何者?

【写真を見る】ホラー映画を賞レースに送り込む手腕で映画界を席巻!ジェイソン・ブラムって何者? 写真:SPLASH/アフロ
【写真を見る】ホラー映画を賞レースに送り込む手腕で映画界を席巻!ジェイソン・ブラムって何者? 写真:SPLASH/アフロ

敏腕プロデューサーのジェイソン・ブラムが率いる同スタジオが作りだす作品は、低予算ながら様々なアイデアを駆使したクオリティの高い作品であることももちろん、才能がありながらなかなかチャンスに恵まれなかった若手クリエイターの育成、現代社会が抱える様々な問題に躊躇なく切り込んでいく潔さなど、あらゆるファクターが高い評価を集めることとなり、いつのまにか“低予算ホラー”のスタジオというイメージを払拭。アカデミー賞などの賞レースにジャンルの垣根を超えて参戦するなど、その勢いは年々増すばかりだ。

そこで本稿では、「ブラムハウス・プロダクション」が製作を務めた作品のなかから映画批評を集積・集計するサイト「ロッテン・トマト」で批評家の評価が高い10作品を紹介していきたい。

“低予算ホラーのスタジオ”というイメージを払拭し、アカデミー賞で大旋風を起こした『セッション』 写真:SPLASH/アフロ
“低予算ホラーのスタジオ”というイメージを払拭し、アカデミー賞で大旋風を起こした『セッション』 写真:SPLASH/アフロ

「ロッテン・トマト」とは、全米をはじめとした批評家のレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積したサイト。批評家の作品レビューに込められた賛否を独自の方法で集計し、それを数値化(%)したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”で表される。

好意的な批評が多い作品は「フレッシュ(新鮮)」なトマトに、逆に否定的な批評が多い作品は「ロッテン(腐った)」トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されている。

それでは、「ブラムハウス・プロダクション」製作のフレッシュ作品10傑を挙げてみよう。

100%フレッシュ『シークレット・ラブ:65年後のカミングアウト』(20)

98%フレッシュ『ゲット・アウト』(17)

96%フレッシュ『ブラッククランズマン』(18)

94%フレッシュ『セッション』(14)

93%フレッシュ『サイレンス』(16)

93%フレッシュ『アス』(19)

91%フレッシュ『ザ・ギフト』(15)

91%フレッシュ『透明人間』(20)

88%フレッシュ『アップグレード』(18)

83%フレッシュ『ザ・スイッチ』(20)

意外にも「ブラムハウス」映画だった!世界中から絶賛されたドキュメンタリー映画が100%フレッシュを獲得 Courtesy of Netflix『シークレット・ラブ:65年後のカミングアウト』はNetflixにて独占配信中
意外にも「ブラムハウス」映画だった!世界中から絶賛されたドキュメンタリー映画が100%フレッシュを獲得 Courtesy of Netflix『シークレット・ラブ:65年後のカミングアウト』はNetflixにて独占配信中

最も高い評価となる100%フレッシュを獲得したのは、Netflixで配信中のドキュメンタリー映画『シークレット・ラブ:65年後のカミングアウト』。トム・ハンクスが主演を務めた『プリティ・リーグ』(92)の題材となった全米女子プロ野球リーグの選手だったテリー・ドナヒューと、彼女のパートナーであるパット・ヘンシェルの姿を通して、同性愛者に向けられてきた偏見と差別の歴史、そして高齢者が抱える様々な課題を描写していく。「ブラムハウス」では近年積極的にドキュメンタリー作品を手掛けており、劇映画だけでなく様々なかたちで現代社会に鋭く切り込んでいくスタジオの姿勢がはっきりと窺える。

「ブラムハウス・プロダクション」の高評価作品を一気にチェック! [c]2018 Universal Studios. All Rights Reserved.
「ブラムハウス・プロダクション」の高評価作品を一気にチェック! [c]2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

98%フレッシュの『ゲット・アウト』は、全米公開時に想定外の大ヒットを記録。本来であれば賞レースとは無縁といわれる2月公開でありながらも、年末まで高評価を持続しつづけ、第90回アカデミー賞では作品賞と監督賞、主演男優賞、脚本賞の主要4部門にノミネート。脚本賞では受賞を果たす大旋風を巻き起こした。コメディアンとして活躍していたジョーダン・ピール監督がメガホンをとり、よくある低予算ホラーと思いきや、シニカルな社会派映画としての側面も備えた脅威的な作り込み。まさに「ブラムハウス」らしさが前面に押し出された作品といえよう。

スパイク・リー監督がメガホンをとった『ブラッククランズマン』もアカデミー賞候補に [c] 2018 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
スパイク・リー監督がメガホンをとった『ブラッククランズマン』もアカデミー賞候補に [c] 2018 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

上位にはやはり、アカデミー賞で話題を集めた作品がずらりと並ぶ。スパイク・リー監督のメガホンのもと、白人至上主義団体への潜入捜査を試みる刑事を描いた『ブラック・クランズマン』が96%フレッシュ。後に『ラ・ラ・ランド』(16)でアカデミー賞を受賞するデイミアン・チャゼル監督の出世作となった『セッション』が94%フレッシュ。どちらも「ブラムハウス」がホラーだけのスタジオじゃないということを証明した快作だ。

また、『ゲット・アウト』と同じピール監督がメガホンをとった『アス』も93%フレッシュの高評価。こちらは主演のルピタ・ニョンゴの演技が高く評価され、アカデミー賞には届かなかったものの前哨戦での活躍ぶりはその年のアカデミー賞主演女優賞に輝いたレネー・ゼルウィガーを上回るほどであった。

2020年のコロナ禍に話題を集めた『透明人間』。クラシックホラーを現代風にアレンジ! [c]2020 Universal Studios. All Rights Reserved.
2020年のコロナ禍に話題を集めた『透明人間』。クラシックホラーを現代風にアレンジ! [c]2020 Universal Studios. All Rights Reserved.

それでも目立つのはホラーやスリラー映画の数々。なんといっても注目は、ユニバーサルのクラシック・ホラー作品をリブートした『透明人間』。元々は「ダーク・ユニバース」の一環として製作される予定だったが、同ユニバースの1作目が不発に終わったことから計画が見直され単発作品としてブラムハウスが手掛けることに。そして公開されるやコロナ禍の影響が直撃し、映画館が軒並み休業となった北米では急遽デジタル配信に移行し、大きな話題を集めた。オールドファッションなホラーの要素に、現代的なエッセンスを加えるアイデア性は脱帽ものだ。

最新作『ザ・スイッチ』では殺人鬼と女子高生が入れ替わるユニークなストーリーが展開 [c] 2020 UNIVERSAL STUDIOS
最新作『ザ・スイッチ』では殺人鬼と女子高生が入れ替わるユニークなストーリーが展開 [c] 2020 UNIVERSAL STUDIOS

ほかにも『ドクター・スリープ』(19)のマイク・フラナガン監督が手掛けたスリラー『サイレンス』(Netflixで配信中)や、殺人鬼と女子高生が入れ替わってしまうという奇想天外なストーリーでコロナ禍の全米公開でもヒットを記録した『ザ・スイッチ』(公開中)と、あまり批評家から評価されないジャンルでありながら高評価を連発。既成概念に囚われないユニークなアイデアで、映画の新たな可能性を切り開いていく「ブラムハウス」。今後どんな作品を世に送り出してくれるのか、注目は尽きない。

文/久保田 和馬

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