1. トップ
  2. 恋愛
  3. 金髪アフロの精神科医が教える「周囲から浮いても嫌われても平気」な自分になる方法

金髪アフロの精神科医が教える「周囲から浮いても嫌われても平気」な自分になる方法

  • 2021.4.10
  • 972 views

周囲の顔色が気になって意見がブレる、休みたいのに休めない……。「浮いてしまうのが怖い」「嫌われるのが怖い」という悩みに、医療界ではかなり浮いていると自認する精神科医で産業医の井上智介先生がアドバイスする――。

※本稿は、井上智介『どうしようもなく仕事が「しんどい」あなたへ ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

金髪アフロで活動する理由

本当はやってみたいことがあるのに、「自分のキャラじゃないかな」「変に思われるかな」「周りから浮くかな」などと考えて、心にブレーキをかけている人もいるかもしれません。

でも、やりたいことがあるなら、やってみればいいと思います。

精神科医で産業医の井上智介先生
精神科医で産業医の井上智介先生(写真提供=本人)

これは私の話になりますが、私は3年ほど前から金髪アフロのウィッグをかぶり、赤ブチ眼鏡をかけて、インスタライブをしたりメディアに登場したりしています。

理由は、精神科のイメージを変えたかったからです。

世間的に、精神科というのは怖いイメージが強いため、「牢屋みたいな病院でしょう?」「海外ドラマみたいに足に鎖がつけられているんですよね?」という風に言われることがよくあります。

でも、実際は内科と同じようなものです。むしろ、リラックスしていただけるようにお花やインテリアを飾っていることも多いので、きれいなところが多いです。ただ、錯乱している患者さんを扱う入院施設があるところは、危ないものを置かないことになっているので殺風景ではありますが、牢屋という表現は違います。

隙のある医者を目指して

もしも自分や自分の家族が精神的な病気になって通院することになったとき、「精神科⁉ 牢屋みたいなところに通っているんだ……」と周りに思われるのは、嫌だと思うんですね。

だからまずは、どうやったらそういう怖いイメージを変えられるのだろうかと考えました。やっぱりお医者さん=隙がない。お医者さんは完璧な人だ。そういうイメージが強いと感じたので、「逆に、隙しかないような状態で出たらどうなるのかな」と思って、このスタイルにたどり着いた次第です。

医療界からの風当たりはきつい

こういう活動を始めて3年になりますが、私は精神科界隈のドクターたちからは、ものすごく嫌われてます(笑)。

精神科もそうですけど、なんなら医学界そのものから嫌われているくらい。めちゃくちゃ嫌われています。

「医学界に対する冒涜だ」「いくらなんでもふざけ過ぎ」「品がなさ過ぎる」「何をやってもいいわけではないし、本当に何やってんだ」というご意見をたくさんいただいています。

たしかに、医学や医療というのは品があるものだし、尊いものだと思います。そういう独特の格式の高さというものは、医療の先駆者たちが築き上げてくださった賜物だと思います。

それなのに、私は格式をものすごく下げてしまっている。そこに対して、お怒りの声はたくさん寄せられていますし、声を発しないにしてもそれに同意している同業者が大半だと思います。

浮いても嫌われてもかまわない

けれども、私の目的は、まさにその格式を下げることにあるのです。

お医者さんのとっつきにくい感じを払拭したいという思いがあるので、逆に、お叱りの声が届くと、ありがたいと感じる面もあります。「少なからず影響を与えられているんだな」と。

だから私自身は、こういう活動を始めて医学界で浮いたり、嫌われたりしても、あまり気にしていません。そのおかげで、メディアの目に留まり、こうしてみなさんと記事を介してお話する機会もいただけたのですから、本当に始めて良かったと思っています。

だから、どうかみなさんも、チャレンジしたいことがなるなら、周りの目を気にして抑え込むのではなく、自分の気持ちを大切にしてあげてください。

「体調が悪くても休めない」人への問いかけ

絶対に休んだほうがいい状態なのに、休もうとしない方は多いです。「迷惑をかけると悪い」と考えているからです。

でも、そこは「お互い様」でいいと思うんですよ。

誰だって体調を崩すことはあるので、今、自分が休むことに罪悪感を覚える必要はありません。だから私は、「迷惑をかけると悪いから休めない」と、無理をしている方には、次のような問いかけをしています。

「今日から会社を休むと想像してみてください。それで、実際にあなたが会社を休んだ影響で、明日会社がつぶれる可能性はどれくらいありますか?」

すると、みなさん「ほぼないです」と言います。

もちろん、会社を休めない理由というのはいろいろあると思うんですね。自分にしかわからない仕事があるとか、必ず今日中に終わらせないといけない仕事があるとか。でも、会社の全体像からみたら、ほんの一部分なわけです。

だから、自分の健康を犠牲にしてまで働かなくていいのではないでしょうか。

自分の代わりはいくらでもいる

この話をしたとき、

「たしかに、自分が休んでも会社はつぶれないですよね。でも、それを認めると、自分の存在価値なんて微々たるものだと思えてきて、逆に落ち込みます」と、言われたことがあります。

たしかに、そうかもしれません。でも、体調が悪いときというのは、パフォーマンスも落ちていることでしょう。だから、まずは体を治して、いつも通りの状態になってから、会社を助けていただければと思います。

私自身は、昔読んだ本に載っていた言葉に常に支えられています。

「自分の代わりはいくらでもいるので、どんどん逃げましょう」

産業医なんていくらでもいるし、精神科医もたくさんいるし、私よりも優秀な医師は山ほどいるわけだから、何かあれば、いくらでもパスしようと考えています。

それは決して、無責任に患者さんを投げ出すという意味ではなく、他のドクターを頼るということ。自分のパフォーマンスが落ちているときに、安易な正義感で患者さんを抱え込むのではなく、双方にとってより適切な形を選ぶということです。

だから、「周りに迷惑をかけると悪いから休めない」とは考えずに、「お互い様」の気持ちで、自分の心と体を大切にしてください。

「周囲の変化」にどこまで適応すべきか

今は先行きが不透明な時代で、「この先どうなるんだろう」と不安に駆られている人がたくさんいます。

先日、こんな相談をされました。

「この前、社外の方2名と打ち合わせをしたら、二人ともノート代わりにiPad Proを使っていて、スマートウォッチを身に着けていたんです。私はノートとペンだし、アナログ時計だし。自分だけ新しい時代から取り残されそうで不安です……」

これに対して私は、「全然大丈夫ですよ」と答えました。要は、目的を達成すればいいので、ちゃんとメモをとれるならノートで十分ですし、時間を知るために時計をつけているなら、アナログで事足ります。

先のことより足元を見る

そもそも、自分から変化に適応していこうとしなくても、そちらが主流になれば人間は勝手に適応していきます。

高齢者の方がスマホを持つようになったのも、ガラケーが販売されなくなったからですよね。もし、ガラケーが今も流通していたら、わざわざ換えようとは思わないでしょう。変化するのはエネルギーがいるし、しんどいからです。

デジタルもそれと同じで、そちらが主流になればやらざるをえなくなるので、自然と適応していきます。だから、まだ選択肢があるのだったら、無理してエネルギーをつぎ込まなくていいのではないでしょうか。デジタルを使うことが目的ではないのですから。

自分のエネルギーは、自分の目的を最大化させるために使うのが一番です。

このようなことを相談者の方に伝えたら、「そうですね。そんなに先のことで不安にならなくても、足元だけ見ていればいいですよね」と、おっしゃっていました。

まさにその通りです。先を見すぎると、本当に見えないことだらけなので、どんどん不安になってしまいます。

※井上智介『ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)より
※井上智介『どうしようもなく仕事が「しんどい」あなたへ ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)より

だから、こういう風に状況が毎日変わっていくような時代においては、その場しのぎで毎日をつないでいく。そういう感覚でいいのです。

不安を消すためには、今を見るのが一番ラクですが、今だけを見ているわけにもいかないと思うので、とりあえず今日一日くらいで全然OKです。

今日一日を乗り越えれば、勝手に明日が来ます。

その明日を乗り切れば、また新しい明日が来ます。

「先が見えなくて不安」とは考えずに、一日一日、その場しのぎでいきましょう。

周りの意見に流されがちな自分を変えたい

みんなの意見はAだけど、自分はBだと思っている場合、「自分の意見を主張すると輪を乱してしまう」「これを言うと相手を傷付けるかもしれない」などと考えたり、結局何も言えずじまいで「自分は本当に引っ込み思案だな」と、落ち込んだりすることがあるかもしれません。

一般的に、自分の意見を主張できない人というのは、主張することによって嫌われたり、わがままだと思われたりすることを恐れている傾向にあります。

そして、その根底には、「相手の意見を否定することは、相手そのものを否定することだ」という考えが潜んでいます。

けれども、相手と異なる意見を主張することは、相手そのものを否定することではありません。

本当の気持ちを抑え込んでいると、自分でも自分がわからなくなってしまいます。ですから、日ごろから、YESに流されそうなシチュエーションにおいても、自分的にNOならば、それをちゃんと伝える練習をしておきましょう。

私が、そうやって流されることで悩んでいる方に言っているのは、「TwitterなどのSNSでブロックする練習をしたほうがいいですよ」ということです。

Twitterのブロックは、NOを言う練習

精神的に病んでしまう人というのは、真面目で優しい人が多いです。

そのため、周りに気を使って自分の意見を主張できなかったり、嫌なことがあっても嫌だと言えずに苦笑いで済ませたり、NOという意思表示をできないことがよくあります。そういう方は、SNSで嫌いな見知らぬ相手をブロックするのも「失礼かな」「逃げたと思われるかな」などと考えてしまい、抵抗があるようです。

でも、近年はSNSの誹謗中傷が原因で亡くなる方もいるほどです。投げつけられる意見を底なしに受け止めていると、自分がどんどん傷付いてしまいます。だから、「嫌だな」と思ったら、即座にブロックをしましょう。

井上智介『ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)
井上智介『どうしようもなく仕事が「しんどい」あなたへ ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)

「ブロック=NOという意思表示」なので、ブロックするという経験を積み重ねていくと、実生活でも相手にNOを突き付けることに抵抗がなくなっていきます。ブロックボタンを押すことで、NOを言う抵抗感を麻痺させていく感じです。

ちなみに私も、すぐにブロックをします。

先述の通り、私は医療界でものすごく嫌われているので、Twitterにたくさん批判的な意見が届きます。コメントをしてくる方のツイートをのぞくと、医学的な話をされているので、やっぱり同業者なんだなと思う次第です。

だから、その手のアカウントは、息をするようにブロックします(笑)。

数をこなすと、本当に何とも思わないです。おすすめですよ!

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務

元記事で読む
の記事をもっとみる