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『ジョジョの奇妙な冒険』第6部アニメ化は期待しかない! 第1部から受け継がれていく魂

  • 2021.4.8
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『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』(c)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険SO製作委員会

『ジョジョの奇妙な冒険』第6部『ストーンオーシャン』のアニメ化が決定。発表から数日が経った今もなお、日本のみならず世界中のジョジョファンがその興奮を抑えられずにいる。

実はこの『ストーンオーシャン』アニメ化、コアなジョジョファンには「覚悟」できていたことでもある。これまで断続的に製作されてきたアニメシリーズは第4部『ダイヤモンドは砕けない』が終了した2016年12月から、第5部『黄金の風』がスタートした2018年10月までの1年10カ月が今のところ最も間が空いた期間。『黄金の風』のアニメが終了したのが2019年7月であり、この2021年4月で1年9か月が経過。

幾度にもわたる「第6部アニメ化ッ!」のフェイクニュースに懲り懲りとさせられている中、ジョジョファンに無言のサインが送られたのが配信イベント『ジョジョの奇妙な冒険 The Animation Special Event ~ジョースター 受け継がれる魂~』の開催だった(プロジェクトに関わる集英社の末吉孝充氏のツイートによれば、イベントの開催は『黄金の風』終了直後から動き出していたのだとか)。

筆者もその予感に導かれるまま、当日は画面の前でイベントを楽しんだ一人。予感が確信に変わったのは、空条承太郎を演じる小野大輔が「やれやれ……もう一人受け継ぐ者がいたな」と口にした瞬間だった。『ストーンオーシャン』の主人公・空条徐倫はジョースター家の血統の一人であり、空条承太郎の娘にあたる。イベントにてVTRでサプライズ登場した荒木飛呂彦の言葉を借りれば「ついに血統が揃った」が適切であろう。

『ストーンオーシャン』の最大の特徴は、主人公が女性であるということ。荒木は『ストーンオーシャン』第1巻のカバー折り返しにて、このように物語をスタートさせている。

JOJOの主人公なのだから顔面にパンチをくらってもヘコたれないタフさが必要だ。時にはドブの中をはいずり回る可能性もあるし、大股開きでビルの上から落っこちるかもしれない。女性にはキツイ設定だ。でも、そのギャップが逆に考えてみるとおもしろいかもと思った。しかも聖母マリア様のような大きな人間愛を持つ人。主人公は女性しかないと思った。『ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン 1』

まさに「逆に考えるんだ」発想である。そのプロットの通りに、徐倫は「死ぬより恐ろしい事」を乗り越えて、シリーズ切ってのタフな精神力を身につける。舞台となるのはグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所。「ストーンオーシャン(石の海)」の語源であり、徐倫は刑務所暮らしから自由になるという思いを込めて自身のスタンドに「ストーン・フリー」と名付ける。厳正懲罰隔離房(ウルトラ・セキュリティ・ハウスユニット)にブチ込まれ、クソをひっかけられようと、虫だらけのパンを与えられようと逆に強くなっていくのだ。

冒頭にて「世界中のファン」と先述したが、その理由はアニメシリーズが「200+」の地域で配信されていること(配信イベントの情報から)、2013年には『黄金の風』の舞台でもあるイタリアのフィレンツェにて原画展が開かれていることにある。そして、『ストーンオーシャン』の舞台はアメリカ・フロリダ州。物語後半では刑務所から飛び出し「ケープカナベラル・ケネディ・宇宙センター」を舞台にした壮大な戦いが繰り広げられることとなる。

『ストーンオーシャン』アニメ化発表の際には、アメリカのTwitterに「Stone Ocean」「Jolyne」がトレンド入りした。世界中のファンが待ち望んでいたアニメ化であることが「言葉」でなく「心」で理解できる。

それではなぜこれまでにして、アニメシリーズが絶大な人気を誇っているのか。それは、原作への敬意を持って、『ジョジョ』のアニメを創り上げようとする、スタッフ、キャスト陣の覚悟、魂であろう。具体的に説明しよう。

“ジョジョ立ち”に代表されるポージングや「じゃあないかッ!」と言った言い回し、擬音までをも完全に再現。アニメならではの「シーン特色」や物語の大胆な再構成、オリジナルシーンを加えることで、原作とはまた別ベクトルの魅力を持った『ジョジョ』へと昇華させていった。これは配信イベントを観ていて改めて感じたことでもあるが、キャラクターを演じている声優陣の演技もその「昇華」を後押ししている大きな要素だ。

ジョセフ・ジョースター役の杉田智和による「シーザーの死」の生アフレコには思わずエシディシのように大粒の涙をポロポロと流してしまった。また、小野賢章が演じるジョルノ・ジョバァーナのチョコラータに向けた30秒にもわたる無駄無駄ラッシュは、頭の中で緻密にページ構成、カウントをしながらアフレコに挑んだというエピソードには驚愕するばかりであった。

そんな声優としてのジョースターの意志を新たに受け継ぐのは、空条徐倫役のファイルーズあい。『ジョジョの奇妙な冒険』が声優を目指したきっかけであり、人生でつらい時には『ジョジョ』に救われてきたという生粋のジョジョファン。イベントに登場したファイルーズからは、「時が止まったように」「ありのまま今起こった事を話すぜ」「スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃」「プレッシャアーッ」と誰もが知る名言から少々マニアックな擬音までが飛び出す始末。「人が人を選ぶにあたって最も大切なのは『信頼』」をそのジョジョ愛で勝ち得た瞬間だ。

「受け継がれる魂」とは『ジョジョ』における大きなテーマでもあるが、声優陣においてもその魂は継承されている。第3部『スターダストクルセイダース』にジョセフ・ジョースターを演じる杉田智和が、第4部『ダイヤモンドは砕けない』に空条承太郎を演じる小野大輔が、第5部『黄金の風』に広瀬康一を演じる梶裕貴がそれぞれ部跨ぎで出演しているからだ。そして、第6部『ストーンオーシャン』にも空条承太郎が、さらに回想シーンにはDIOが登場する。まだキャストが正式発表されていないので明言は出来ないものの、魂が受け継がれることは「『ジョー・モンタナ』の投げるタッチダウンパスのように確実」である。

ここからは個人的主観になるが、『ストーンオーシャン』アニメ化において少々心配な部分も有る。それはグロテスクかつエロティックな描写や表現、著作権的にギリギリなエピソードが多く存在しているからだ。けれど、第4部の吉良吉影が思春期に見たモナリザへのあの卑猥な言葉や「グロ注意ッ! グロ注意ッ!」な「輪切りのソルベ」など、本当にアニメ化できるのか……? と心配になるシーンも、逆にオリジナルシーンを加えて、「おれたちにできない事を平然とやってのけ」てきた。ほかにも、DIOが「最も『弱い』」と認めるスタンド「サバイバー」による生々しい肉弾戦や「重力」に導かれるあの最終決戦をどのように描くのか。これまでのアニメシリーズを超越した表現が見られる予感がする。

小野大輔は第6部アニメ化の報せを受けて、『ストーンオーシャン』を読み返している際に、承太郎の何気ない会話の中にある「人の心に何かを伝えるということはすばらしい事だ」というセリフが心に留まったと話していた。『ストーンオーシャン』は第1部『ファントムブラッド』から続く、人間讃歌の物語。徐倫や承太郎だけでなく、エルメェス・コステロやフー・ファイターズ、ウェザー・リポート、アナスイ、エンポリオなど魅力的なキャラクターが多く登場する。『ストーンオーシャン』の放送開始時期はいまだ未定であるが、それまでは小野のように原作を読み返して(もちろんこのタイミングで初めて読むのもベネ)「天国」への時を待とうじゃあないかッ!(渡辺彰浩)

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