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フランスで、クラファンから起業する美容ブランドに熱い視線。

  • 2021.4.6
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ソーシャルネットワークがビューティへの関わり方を変えるいま、コミュニティの考え方はますます重要になっている。また、クラウドファンディングの存在が、消費者によって消費者のために考案され、支持される新ブランドの誕生に繋がっている。

ワンクリックと数ユーロで、若いブランドの誕生を支援することができる。photo:Getty Images

2018年、トイレタリーブランド「Respire」がセンセーションを巻き起こした。創設者のジュスティーヌ・ユトーは、ナチュラルなデオドラントを考案し、インターネットのプラットフォームを通じて出資を呼びかけることを決意。ランニングをテーマにしたインスタグラムアカウントでコミュニティを作り上げ、このフォロワーを動員してプロジェクトを実現した。クラウドファンディングのプラットフォーム「Ulule(ウルル)」での目標は、プレオーダー2000個。結果はそれを大きく超えて、なんと20000個以上のプレオーダーを獲得。Ululeでは、この大成功を受けて、ビューティとウェルビーイングに特化したカテゴリーを設けることになった。

クラウドファンディングは、新生ブランドがコスメ市場に進出するための新たな足掛かりなのだろうか?「2020年、このテーマのプロジェクトの立ち上げは400件、つまり、10件に1件ありました」と語るのは、2010設立のUluleで“サクセス・マネージャー”を務めるフィオナ・ヴァンドレ。集めた資金の額で最高記録を打ち立てたばかりのリチャージ式バスプロダクトブランド「900.care」も、ベビー用ケアの「Poupon」も、すでに大にぎわいのビューティ市場の中で、それぞれの立ち位置を見つけている。そして、ニッチなテーマで注目を集めるための成功のカギは、何よりもまず、コミュニティを作る力なのだ。

「私たちは“3つのサークル”という規則を作りました。まずは身近な人たちへのキャンペーン、次にSNSを通じてコミュニティに広げる。最後に、メディアと広告を使って一般に訴える」とヴァンドレはいう。「第1のサークルで目標の30%を、第2のサークルで50%の達成を狙う。プロジェクトの発信源が知らない人である場合、一般を納得させるには、これがとても大事です」

メイド・イン・フランスは確かな論拠「クラウドファンディングにおいて、コミュニティには善意があふれています。フランスの起業を支援したいという本当の意志が感じられます」というのは、後述する「MiYe」の創始者カロリーヌ・ドゥ・ブリニエール。Ululeが扱うプロジェクトにも、「メイド・イン・フランス」がますます増えている、とヴァンドレも認めている。「私たちのコミュニティにとって、それは環境への配慮と同じくらい大事な要素です」。たとえば、出身地グルノーブルで最初の支持を得た、メーガン・ロカのブランド「Novën」で、初期のプレオーダーが伸びを示した背景にも、メイド・イン・フランスという切り札があった。

優れた戦略

未来の顧客を集め、商品ができる前に出資させること。それは賭けであり、本物のマーケット研究でもあり、ブランドの発展を加速させることにも繋がる。「プロジェクトの発案者にとって、資金面での利点ばかりではなく、やってみる価値 、頑張ってみる価値があるかを知るいいテストにもなります」とメーガン・ロカは分析する。仕事でロンドンに駐在していた時、彼女は故郷グルノーブルの名産、クルミを利用したビューティラインを思いついた。オート=サヴォワ県のラボとともにこのプロジェクトを形にし、クラウドファンディングで実現したブランドが「Novëm」だ。

「このタイプのキャンペーンは信用できるプロジェクトであることの保証になり、また未来の潜在的な資金提供者に対して、企画がきちんとしたものだと証明してくれます」というのは、ケアブランド「Coeurveillé」を立ち上げたマリ・ドゥ・モールガール。「同時に、このシステムのおかげで企画に納得してくれる最初の顧客を得ることができる。彼らこそが、ブランドの本当のアンバサダーになってくれるのです」

Ululeのヴァンドレによれば、成功するか否かは、発起者たちの献身と尽力にかかっている。発起者が真にプロジェクトを体現していなくてはならない。そしてまた、透明性も大事な要素だ。「目的が明確でなくてはいけません。融資は何に使われるのか?製造のスケジュールは?消費者との対話を築きながら、信頼関係を守っていくことも必要です。プランニングが遅れたりしても、大きな問題ではありません。きちんと説明すればいいのです」

プロダクトを吟味していくうえで、いくつかのポイントについては後退を余儀なくされたというマリ・ドゥ・モールガールは、信頼こそ、譲れないキーエレメンツだったと語る。「オーガニックケアのプロダクト作りではよくあることなのですが、テスト中に、いくつかのケースで肌に望ましくない反応が出ました。そこでコミュニティに、保湿ケアの処方を見直さなくてはならない、製品を手元に届ける時期に遅れが出ることになる、と説明。みんな理解してくれました」。彼女は、植物学者であった曽祖母から伝えられたノウハウをベースにブランドを築き、未来の顧客をブランドの決定に参加させている。「コミュニティのメンバーとは毎日のように意見交換し、たとえば将来のプロダクトについての決定にも参加してもらいます」

未来はみんながクリエイターに?

顧客を決定に参加させ、成功に貢献してもらう。「Nidé.co」は、これをブランドの機能モデルとして取り入れている。そのモットーは「みんなで一緒に作った、一生モノのプロダクト」。システムはシンプルだ。誰もがプロダクトを提案でき、コミュニティが投票する。得票数によって(2000票以上を獲得しなくてはいけない)プロジェクトの実現が決まり、発案者は製品売上げのパーセンテージを手にする。こうすることで、最終的にはそれほど数多くないが、ニッチなプロダクトが誕生するのだ。たとえば、衣類との摩擦で生じる炎症などの臀部のトラブルに特化したヒット商品「Fesse Time」。月経前のホルモン変化による肌トラブルに対処する「Oh my Periods」といったプロダクトはここから生まれた。

自分の声を届けて、大手ブランドが「あまり魅力的でない」という理由で扱わない問題に取り組ませることも、コミュニティの強みだ。たとえば女性ホルモン系のトラブルもそのひとつ。

カロリーヌ・ブリニエールとアナ・ウアリッドは、「セクシーでないどころかタブー視されているテーマ」である、女性特有の悩みを取り上げたブランド「MiYe」を立ち上げた。ふたりは、女性の身体のサイクルを考えた脱毛対策セラム、デリケートゾーン用バランシングジェル、サプリなどのプロダクトを提案。身体のサイクルは、月経前症候群や産褥期、更年期など、女性の人生のさまざまなタイミングに関わってくる。あとはターゲットを見つけるだけ。

「デリケートゾーン用ジェルなどの、医薬品でないが、きちんとしたコスメアイテムを提案するにはコストがかかります。たとえば50歳以上の女性の2人に1人はデリケートゾーンの乾燥に悩んでいます。6人に1人は、50歳になる前からこの問題を抱えている。投資家は、この製品の潜在クライアントがここにお金をかけるかが読めなかったのですが、それは、このマーケットを女性の視線で見ていなかったから」とドゥ・ブリニエールは説明する。ふたりはプレオーダー100点を目標に出資を募り、1カ月のキャンペーンで1900点のプレオーダーを獲得。「コメントの中には、商品への関心のほかに、女性によって、女性のために考えられたブランドということへの称賛の声もありました。これこそ、大企業に対して、スタートアップが持ちうる力。自分たちのコミュニティに寄り添ってクリエイトすることです」

それは今日、コンシューマー(消費者)が、本物のコンシューム・アクター(消費するアクター)であるということのさらなる証だ。そして、ビューティ市場が消費者のために考えているだけでなく、消費者とともに考えているということの証でもある。

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