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「職場の攻撃的な人」をその場ですぐに黙らせることができる"あるフレーズ"

  • 2021.4.5
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ハラスメントにあたるような攻撃的な言葉を受けたら、頭が真っ白になってしまうかもしれません。どう切り返せばよいでしょうか。産業医の井上智介先生は、「今、○○といいましたか?」という質問が効果的と話します――。

※本稿は、井上智介『どうしようもなく仕事が「しんどい」あなたへ ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

休憩中に自席にてムドラのポーズで心の平穏を取り戻す女性
※写真はイメージです
攻撃的な人は、無関心で受け流すのが一番

産業医である私の元には、攻撃的な人が嫌で会社を辞めたいという方がたくさん相談に訪れます。とにかくその場から逃げたい。辛い。会社を辞めたい。そういう思いを抱いている方が多いです。

当然ですよね。心が壊れてしまいそうなら、会社を辞める選択は、大いにアリです。

それなのに、私が「会社を辞めようとは考えなくていい」と言っているのは、すぐに会社を辞める前に、できることがあるからです。

まず、心の持ち方としておすすめしているのは、「お好きにどうぞ」の精神でいるということ。嫌なことをされているのに、そんな風に思えないと感じるかもしれませんが、とにかく無関心で受け流していくことが一番有効です。

「打っても響かない人」になる

例えば、職場で隣の席の人がトイレへ行っても、まったく気にならないですよね。

そんな風に、どうぞご自由にという感じで、関心を持たない。何をされても本当に最低限のリアクションしかしない。冷めた反応を決め込む。打っても響かない人になるのです。

攻撃的な人というのは、相手が反応するから攻撃を強めてくるんですよね。反応があれば揚げ足をとりやすいし、突っ込みどころも生まれます。

だから、「お好きにどうぞ」の精神で放っておくことが、結局相手の攻撃を和らげることにつながるんです。

ハラスメント発言をされたら「冷静に復唱」する

次に、行動面としておすすめしているのは、「相手が言ったことを復唱する」ということです。

あまりにもひどいことを言われて、ハラスメントになっているようだったら、そこを切り取って復唱します。言われたことをその場で復唱して、「今、○○と言いましたか?」と相手に事実確認をしてください。

これをする目的は、相手に気付かせることにあります。こちらが指摘しなくても、事実確認をすることで、言い過ぎだということを相手に悟らせることができるからです。

イライラした上司が腕時計を指す
※写真はイメージです

なお、復唱する際は、相手をヒートアップさせても仕方がないので、冷静に行いましょう。

「録音キャラ」になって攻撃を未然に防ぐ

それでも状況が好転しない場合は、「録音キャラ」になるのがおすすめです。スマホやレコーダーで相手の発言を記録するんです。

本当に録音しなくてもかまいません。わざと机の上にスマホやレコーダーを置いておいて、ちらちら見る。つまり、録音できているのか確認しているふりをするだけでも十分です。

記録されるかもしれない、証拠を握られるかもしれないとなると、やっぱり攻撃的なことは言えなくなるので、「あいつは記録をとっている」という録音キャラに徹すると、攻撃の抑止力になります。だから、録音キャラはけっこうおいしいです。

でも、相談者の方に録音キャラをすすめると、「録音キャラはたしかに有効だと思いますけど、それはそれでヤバいヤツというか、浮きませんか?」と言われることがあります。

それは、もう気にしてはいけません! 自分を守ることが第一です。心を傷付けられるくらいなら浮いているほうがマシです。

産業医の力を利用して会社の背中を押す

もし、今お伝えしたいろいろな手段を駆使しても、状況が変わらない、どうしても辛いという場合は、最後にもうワンアクション起こしてみましょう。ぜひ、産業医を一回挟んで会社に相談してみてください。

井上智介『ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)
井上智介『どうしようもなく仕事が「しんどい」あなたへ ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)

部署の異動や休職をしたくても、会社側と交渉するのって、けっこうハードルが高いですよね。そういう場合は、産業医を活用しましょう。

従業員の方が自分で、「あの人のせいで体調が悪いから部署を替えてほしい」と言っても、メンタルケアの知識が乏しい人からは「みんなそんなもんだよ」と、流されてしまうことがあります。

だから、間に産業医を挟むんです。

「今、この人は精神面で不調を抱えているので、医療面からすると、、○○や△△などの対処をされると良いですよ」という風に、第三者であり、なおかつ医療のプロである産業医に、会社の背中を押してもらうんです。

ただ、産業医の意見を会社は絶対に聞かないといけないわけではないです。あくまでもアドバイスなので、希望が100%通る保証はありません。

けれども、産業医目線で背中を押されたら、会社も動きやすくなると思います。

産業医がいない場合は精神科か心療内科で診断書を

「そもそも、うちの会社に産業医なんていたっけ?」という方もいらっしゃるかもしれません。

基本的に、従業員が50人以上の会社には産業医がいて、1カ月に1回くらいの頻度で訪問していることが多いです。私自身は現在、40社ほどを担当していて、それぞれの会社に月に一度の頻度で伺っています。

従業員が1000人以上の会社には、専属の産業医がいます。席も決まっていて、毎日その会社にいます。

いずれにしても、産業医とアポイントをとる場合は、総務や人事の方が産業医の日程を管理していることが多いので、その方を通して行うことになります。

産業医がいない場合は、精神科や心療内科で診断書をもらって、会社に体調が悪いことがわかるようにすればいいでしょう。

精神科と心療内科の違いは、ほとんどありませんが、学問的には若干異なります。精神科は、心を扱う科です。症状としては、不安、イライラ、気分が落ち込む、不眠、幻聴が聞こえるなど。

心療内科は、ストレスが原因で現れる体の症状を診る科です。症状としては、ストレスで動悸がする、吐き気がする、下痢が続くなど。

ただ、クリニックの名前だけでは、精神科なのか心療内科なのか、なかなか判断できません。患者さんが来院しやすいようにマイルドな表現にしているところが多いので、「井上精神科」ではなく「井上心療内科」という風に掲げていることがよくあります。どちらを受診してもほとんど同じなので、ご自身が行きやすいクリニックを選んでいただければと思います。

余計なひと言を言う人にうんざり

世の中には、ひと言多い人というのが存在します。

余計なひと言を浴びせられると、「わざわざそれを言う必要はあるのかな?」「なんでそんなことを言って相手を不快にさせるんだろう」と、気持ちがどっと落ち込むことがあるのではないでしょうか。

余計なひと言というのは、ふいに発せられることがほとんどです。もともと知っている人で、相手が自分に攻撃してくる恐れがあるとわかっていれば、身構えることができるでしょう。

しかし、そうでない場合は、まともにパンチをくらってしまいます。その分、攻撃力が強いです。私も、たまにそういう方に遭遇します。

例えば、先日こんなことがありました。

担当している企業で、健診結果の悪かった方をお呼びしたときのこと。血圧が非常に高かったため、生活面でいくつかアドバイスをさせていただいた後に、ひと言。

「先生も、これでお金をもらってますもんね」

少し「ん?」と思いましたが、たしかにその通りなので否定はしません。それに、こういう発言をする方にも、いろいろ理由はあると思うんですよね。

健診結果が悪いのはもう数字として出ているので、自分で見ればわかります。それなのに、わざわざ呼び出されて、ああしろこうしろと言われるのは気分が悪いというのは、なんとなくわかります。自分がわかっていることを人から指摘されるというのは腹が立つことでしょう。だから、何かひと言を言うことで、立場を同等にしたいという心理が働いているのかもしれません。

「医者なのに、ユニクロなんて安物の服を着るんですね」

あとは、こんなこともありました。

私はそれほど洋服に興味がないので、白衣も着ずに、ほぼ私服でみなさんの前に出ているんですけれど、それを見た会社員の方から、

「医者なのに、ユニクロなんて安物の服を着るんですね」

と。いや、「安物」はいらないでしょう、と思います(笑)

私は精神科医なので、精神的に不安定な方と接することには慣れていますし、いろいろな言葉をいただくことで、相手の状態をみることもできます。

だから、余計なひと言を言う人に出会っても、それほど気にはしませんが、読者の方の身近にこういう方がいて、それがしんどい場合は距離をとるのが一番です。

余計なひと言を発する人は、今後もずっとそういう人です。未来永劫、ふいに攻撃をしかけてきます。

だから、「なんでそんなこと言うの……」と真正面から受け止めて、イライラしたり、自分を顧みたりするのはエネルギーの無駄遣いに他なりません。なるべく関わらないようにして、放っておくのが一番ですよ。

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務

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