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「私だけ、子どもがかわいいと感じない…」ママを縛っている呪縛の正体【ママのイライラは当たり前 Vol.2】

  • 2021.4.2
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■前回のあらすじ
「コロナ禍、イライラするのは当たり前。でも煮詰まってしまうママには特徴がある」と話す高濱先生。子どもにも悪気なく「親が、価値があるものだと思っているもの」を押し付けてしまうママたちはどうすればいいのか?
消しゴムのカスを集めている子どもに対して、「そんなの集めていて、何になるの? そんな意味のないことをしていないで、勉強をしなさい」と、親が無自覚に自分の価値観を押し付けていることが、子どもの自己肯定感の低さに繋がっていると、高濱先生に指摘を受けました。そう言われても…。

■誰にでも心が疲れてしまう時はある

――おっしゃっていること、頭では理解できます。でも、消しゴムのカスを集める子どもを見守る境地にたどり着くには、まだ遠いです

私は東京大学に入るまでに三浪していて、大学に入ってからは四年留年しています。三浪四留、まだ誰にも負けたことはないです。

二浪した奴からは、「自分が、『人生、回り道した』などと言っていて、お恥ずかしい限りです。すいませんでした」と、謝られます。

――三浪四留! 四留って、大学に在学できる、ギリギリラインなのでは?

そうです(即答)。三留までは、自分の中で、「そこまでは自由にやろう」と計算して、映画や恋愛、落語など、思いっきり楽しんでいました。四留目は1単位のためだけに留年したんです。

――なんか、すごいんですね…(絶句)

私だって、「褒められる側」に回ろうとしたこともあります。25、26歳の頃でしょうか、「遊ぶだけ遊んだので、そろそろ人がやれないくらい勉強しよう」と思って、いきなり十ヶ国語を勉強し始めたんです。そうしたら、2ヶ月くらいで調子が悪くなりました。

いまでいうところの、パニック障害のような症状が出たんです。ドキドキするからトイレに行って鏡を見てみたら、自分の顔が土気色になっていました。高校の同級生だった西郡(※)に「俺、本気でヤバイかも」と下宿先に来てもらって、二人で精神科医になりたての友だちに電話しました。そうしたら、そいつから「それは、心身症の一種だと思う」みたいなことを言われたんです。

そこから2年半~3年ぐらいは電車に乗れず、「すべてが怖い」という状態です。精神的に病んでしまった時は、人からの声かけや元気づけでどうにかなるほど甘くないんだ、ということを学びました。

精神的な病のことは、書きづらいこともあるかと思います。私のこの話、もしかしたらメディアに載るのは初めてなんじゃないかな? ただ、今の時期だからこそ、私は書いてもらった方が良いと思っているんです。元気なイメージが強い私でも、精神を病んでしまった経験はあるんです。だから、すごく毎日を頑張っていても、ある日いきなり心が疲れ切ってしまうことは誰にでも起こりうることなんですよね。

■「良いお母さんをやろう」と思うから、不幸せになる



――ママが精神的に、一杯一杯になってしまった時、どうしたら良いのでしょうか?

そういう状態になってしまっている時は、自分しか見えていないんです。「私だけが、ダメなお母さんになっている」「私だけが、子どもが可愛くなくなってしまっている」みたいな…。

まず、強く言いたいことは、「それ、全然違います」ということです。そんなことは誰も思ってなくて、自分が思っているだけなんです。「良いお母さん像から離れてしまっいてる」「子どもを邪険に思ってしまっている」「自分がいけない」みたいなね。

それは、「良いお母さん像」に引きづられてるだけなんです。「一人になりたいから、子どもにあっちに行っててもらいたい」と思う自分がいても、全然、構わないと思うんです。

「良いお母さんをやろう」と思うから、不幸せになってしまうんです。自分は、自分でいればいいんです。良いお母さんである前に、「あなたは人として、自分を大切にできていますか?」と、まずは自分に聞いてあげて欲しいんです。
「まずは自分に聞いてあげて欲しい」という高濱先生の言葉に、緊張で張りつめていた心が、ふっと緩みます。そうか、そういうことをしても良いんですね。

次回に続く!

※西郡文啓(にしごおり ふみひろ)さん
花まるグループ「西郡学習道場」代表を務める西郡さんは、高濱さんの高校の同級生。創成期から二人三脚でやってきた二人は、大学時代に一緒に牛乳配達をしながらひたすら哲学をした時期もあったそう。

(楢戸ひかる)

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