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モワナの新デザイナー、ニコラスによる初コレクション。

  • 2021.4.2
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昨夏、モワナのレザー製品のクリエイティブデザイナーに就任したニコラス・ナイトリー。彼による待望のファーストコレクションが発表された。1849年にポーリーヌ・モワナが創立したメゾンのフェミニンなタッチ、そして職人のサヴォアフェールの伝統を尊重して彼がクリエイトしたのは6点のバッグである。

1849年に創立されたトランク製造のメゾンであるMoynat(モワナ)。左は別売りのバイカラーのショルダーストラップをつけた新作。この1849の数字のように、パーソナライズされた手描きによるペイントも可能だ。右はトランクのディテールが生かされたバッグ。photos:Mariko OMura

創業者ポーリーヌ・モワナは19世紀中頃の男性社会、しかも、旅行用バッグというマニッシュな世界に参入した気骨ある女性である。彼女の時代からいまに継承されるトランク作りの職人技は、ニコラスを魅了せずにはいられない。

「この素晴らしい職人技のクオリティ!彼らとコラボレーションすることに、すごくインスパイアされました」と語る。クライアントを満足させるパーソナライゼーションのためのペイントの色数の多さも、彼を喜ばせたことのひとつだ。彼の色への興味は新しいコレクションにも発揮されたようで、これまでレザーでは見かけなかった巧妙で繊細な色のバッグがブティックを彩ることになる。

パーソナライズもモワナの大切なサービスのひとつである。

メゾンのヘリテージを現代風に解釈したニコラスによる6点のクリエイション。彼はアーカイブで発見した1930年代のアールデコ調デザインのロゴのメダル、そしてトランクの留め具をバッグに蘇らせた。さらに、バッグ “ル・リムジン” ではトランクのコーナーに施された革の補強が、当時のサヴォアフェールによってバッグの四角に生かされている。これは1902年、車(リムジン)のカーブに沿うフォルムのトランクを製作したことで、ポーリーヌ・モワナの名声がより広く知られることになったというメゾンの歴史を彩る出来事へのオマージュだという。

バッグはショルダーストラップにも注目したい。女性の手が自由であるようにと、1900年代に早くもショルダーバッグを発表したメゾンの女性への敬意を継続し、ニコラスはバッグに取り外し可能な幅広のショルダーベルトをセットし、さらに彼は別売りのバイカラーでの遊びも提案。

左:「Le Flori(ル・フロリ)」。このブルーはシジュウカラと命名されている。1900年代の女性のためのトランクからインスパイアされたパラジウム製の留め具と持ち手がポイントの小型バッグ。丸身を帯びたフォルムが愛らしい。右:「Le Limusine(ル・リムジン)」。このキジバト色では留め具はパラジウムだが、ブルー系のオーシャンではゴールドのメタル。

左:「Le voyage(ル・ヴォヤージュ)」。30年代のメダルが生かされた留め具は指一本で軽くバッグを開閉できるシステムだ。右:「Le Baluchon(ル・バリュション)」。フラミンゴと呼ばれるピンク色が愛らしい。こちらのロゴ留め具はパラジウム。

トワル1920を用いた、ニコラスによる小さなバッグも登場した。これは1905年にメゾンに加わったアーティストのアンリ・ラパンが、モワナのイニシャルMをグラフィックにパターン化したトワル。ニコラスは21世紀らしく、モチーフを3D化。これにより、より手描きの風合いがプラスされた。

左:「La Wheel(ラ・ホイール)」は17×7.5×21.5cm(ハンドル含む)のミニサイズ。モワナのアーカイブにある替えタイヤ・トランクのまるでミニチュアだ。中には同じトワルのカードケースがセットされている。右:「La Little Suitcase(ラ・リトル・スーツケース)」。ハードトランクの製造はお手のものである。精巧な職人技を超ミニサイズ(19×6×12.5cm) に生かして。

ルイ・ヴィトンで長年レザーグッズのデザインディレクターを務め、経験豊かなニコラス。このコレクションを皮切りに、職人たちの素晴らしいサヴォアフェールとリッチなアーカイブを持つ、伝統あるモワナに新しい歴史を築いてゆくのを楽しみにしよう。

Moynat348, rue Saint-Honoré75001 Pariswww.moynat.com

 

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