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【篠原ともえ連載Vol.10】自分に似合うワンピースをつくる

  • 2021.4.2
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近年、ご依頼いただいた番組や取材には自作の衣装で出演しているのですが、今回のお仕事もパターンから作り出した衣装で臨みました。

透明感のある柔らかなシルク綿の生地で、風に揺れるようなゆったりとしたシルエットのシンプルなワンピース。

前回のコラムでもご紹介させていただいたのですが、今回ご依頼があったのは、創業135年の歴史を誇る桃谷順天館グループの明色化粧品『モイストラボ』のイメージキャラクターでした。同シリーズの人気商品であるBBクリームのリニューアルにともない起用いただき、既存の「BBエッセンスクリーム」と、この度新発売となった「透明BBクリーム」の限定パッケージのデザインもお引き受けすることに。デザイナーとして迎え入れてくださったことに感謝し、自身のクリエイションを広告においてもお届けできないかということで、自作の衣装で出演させていただくことになりました。

商品イメージや広告ビジュアルの世界観を元に考えたのが先ほどのシルクのワンピース。そして、仕事や家事、育児、頑張るすべての女性の味方でありたいというブランドイメージから、きちんとした印象がありながら、どこか日常感も漂わせる襟高のシャツを作りました。

シャツは柔らかい印象を出すため、ブロードやタイプライターといった堅めの生地ではなく、生成りのような優しい肌触りの綿素材を選びました。商品はデイリーに気負わず使えるBBクリームなので、その使用感がどこか衣装からも届いたらいいなとイメージしながらデザインしました。

そのシャツとコーティネートしたのは、こちらも自作パターンで作った春らしい淡いピンクのパンツです。今回もまた、ワンピース、シャツ、パンツ、すべてなるべく余り生地が出ないよう、四角いパターンにこだわってトワル(型だし)してゆきました。

衣装を作るときにはシーチングという布地で仮製作をしてシルエットを作ってゆきます。ワンピースは襟元にこだわりました。タックを入れて布を折りたたみながらも、ギャザーを入れることでふんわりと柔らかな印象になるのです。撮影の絵コンテを見せていただき、トップスに印象が残るように心がけました。

広告の衣装を作るのは初めてだったので、より完璧に仕上げたいという想いから、まずは自分で仮組みし、その後、デザイナーズブランドの縫製も手掛けている栃木県の衣服製造会社・都ドレスの松本聖子さんを訪ね、作品をブラッシュアップ。以前からお付き合いのある聖子さんは、パタンナーとしても活動されており、毎回的確なアドバイスをくださいます。私が縫ったトワルをチェックしていただき、またすべてほどいて、さらに平面のパターンで細かく直していく地道な作業を経て、理想の形へと近づけていきました。「せっかく縫ったのに……」と思いますが、大事なプロセスなんです。

かつて出演した広告では、衣装のデザインを提案させていただいたことはあったのですが、今回のように出演と共にコンセプトに合わせ実際に製作までさせてもらうことは初めてでした。とても貴重で特別なクリエイションに参加させていただいたことが嬉しく、新しい挑戦に創作意欲もさらに湧きました。特設サイトでは衣装製作風景やデザインしている様子なんかもドキュメントタッチで撮影いただいたので、是非チェックしてみてくださいね!

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