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【ミレニアル世代のマネー学】資産運用の結果に影響を及ぼす「金融機関選び」

  • 2021.3.30
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銀行にお金を預けても、お金はほとんど増えません。ミレニアル世代・Z世代と呼ばれるみなさんがこれからお金を増やしたいならば、投資をすることが欠かせません。

前回の記事で、資産運用の成果に金融商品のコストや税金が大きく関わることを紹介しました。それと同様に、資産運用の結果に影響を及ぼすのが金融機関選びです。
今回は、資産運用を行う金融機関選びについて解説していきます。

金融機関選びは超重要

資産運用ができる金融機関には、銀行や証券会社があります。どんな投資ができるのかは、金融機関ごとに異なります。

口座を開設できるところは複数ある
口座開設の種類

表:筆者作成

資産運用は、普段使っている銀行・街なかにある銀行でもできます。店舗で担当者に投資信託の説明を聞くことができるのはメリットかもしれません。しかし、銀行では株を買うことができませんし、扱いのある投資信託も多くありません。また、取り扱いのある投資信託のコストも比較的高めです。

投資信託だけでなく、株式投資もしたい場合は、証券会社を利用する必要があります。証券会社では、投資信託・株式投資だけでなく、さまざまな金融商品を扱っています。
証券会社には、大きく分けて店舗証券・ネット証券・スマホ証券の3種類があります。

店舗証券は文字通り、店舗を構えている証券会社です。野村證券や大和証券などの証券会社は、銀行と同様に街なかに店舗を構え、営業しています。店舗証券では、銀行よりも多くの商品を扱っていますし、店舗で担当者に説明を受けられるのが強みです。
ただ、売買にかかる手数料が高いのが難点。
投資にかかるコストが高いと、その分利益を減らしてしまうことになります。それに、投資をするのにそれほど難しい知識は必要ありません。何にどうやって投資するかという投資のリテラシーが高まれば、自分で投資して利益を出せますので、説明が受けられるのもさほどメリットではなくなってしまいます。

ネット証券は、実店舗を持たず、ネット上でのみ営業をしている証券会社です。スマホやパソコンを利用して、いつでもどこでも注文が簡単にできるのはもちろんのこと、店舗証券よりも手数料がずっと安くなっています。特に前回(資産運用の結果に影響を及ぼす「金融商品のコスト・税金」)紹介した楽天証券やSBI証券などでは、1日100万円までであれば株の売買手数料が無料(定額プランの場合)ですし、数千本扱っている投資信託がすべて購入時手数料無料(ノーロード)ですので、コストを抑えた投資ができます。
店舗がないので投資の助言は受けられませんが、投資の参考になる情報はたくさん提供されているので、それらを見て投資の判断を下すことができます。

そしてスマホ証券は、スマホで投資をすることを前提にしている証券会社です。口座開設から売買まで、すべてスマホ1台で完結する手軽さが魅力。専用のアプリのインターフェイスはスマホ向けにできており、とてもわかりやすくなっています。初めて投資をする方でも迷うことなく取引ができるはずです。
スマホ証券の株式投資では商品は絞られている場合があるものの、1株から購入できるサービスを用意しているところも多くあります。株は通常100株単位で売買するため、数万円〜数十万円の資金が必要です。しかし、1株から購入できれば、必要な資金は100分の1で済むことになります。ですから、投資初心者でもスタートしやすいのがメリットです。

金融機関によって手数料が違うことも

株式や投資信託を買うときにかかる手数料(売買手数料・購入時手数料)は、金融機関によって異なる場合があります。前回(資産運用の結果に影響を及ぼす「金融商品のコスト・税金」)、主なネット証券の株式の売買手数料は紹介しましたので、ここでは、投資信託の購入時手数料を例として紹介します。

投資信託の3つの手数料、購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額のうち、買うときにかかるのが購入時手数料です。購入時手数料は、投資信託を販売する会社(販売会社)に支払う手数料となっていて、その手数料の率は販売会社が自由に決めます(上限はあります)。ですから、どこで買うかによって差が出る場合があるのです。

たとえば、ネット証券では購入時手数料がかからない(ノーロード)のに、店舗型証券だと2%という場合も。この投資信託を100万円分買った場合、ネット証券では100万円で丸ごと運用がスタートできるのに対し、店舗型証券では98万円と引かれた状態で運用がスタートすることになります。

同じ投資信託でも「買う場所」で差が出る!
金融機関の手数料による差

図:筆者作成

この差を埋めるには、店舗型証券のほうが2万円分多く稼がないといけないことになります。投資信託の商品そのものは、どこで買っても同じものですので、コストの安いネット証券のほうがいい、というわけです。

では、資産運用を始めるにあたって、どんな金融機関を選べばいいのでしょうか。

金融機関を選ぶためにチェックすべき4つのポイント

金融機関を選ぶには、大きく4つのポイントがあります。

自分にあった金融機関選びの4つのポイント
自分にあった金融機関選びの4つのポイント

図:筆者作成

①株式・投資信託の手数料は安いか

株式の売買手数料や投資信託の購入時手数料は、金融機関によって異なります。
基本的にはネット証券やスマホ証券のほうが安く、顧客獲得のために引き下げ合戦を繰り広げているところもあります。ここまでご紹介してきたように、これらは少しでも安いほうが有利です。なお、投資信託の信託報酬や信託財産留保額は、同じ商品であればどこでも同じですので、売買手数料や購入時手数料にこだわりましょう。

②商品のラインナップは幅広いか

投資信託の場合、金融機関ごとに扱っている商品のラインナップが異なります。ネット証券では、数千本もの商品を扱っているところもあります。逆に銀行などでは、数本〜数十本に絞っているところもあります。
どちらがいいかは投資の考え方にもよりますが、「少し投信を買えればいい」というなら絞っているところ、逆に「本格的に投資を進めたい」というならたくさん扱っているところがおすすめです。

③便利なツールを提供しているか

各証券会社、とくにネット証券やスマホ証券では、自社のサービスをより便利に使ってもらうためのツールやアプリを提供しています。
「それらを使って投資ができる」という点では、どれでもそれほど変わらないのですが、証券会社や銀行によって、見た目や使いやすさが異なります。個人差もあるので、できれば複数の口座を開設し、実際に使ってみるのがいちばんです。なお、証券会社への口座開設は無料でできます。

④サービスがいいか

その他、便利・お得なサービスを展開している金融機関もあります。
わからないことがあったときに、店頭で相談できれば確かに心強いのですが、それができなくても、ホームページの説明やFAQ(よくある質問)などが充実していれば、自分で解決できる可能性が高まります。また、コールセンターの体制もチェック。土日祝日や夜などでも電話で質問ができれば、平日日中は仕事という人でも便利です。

投資によってポイントが貯まる仕組みがあれば、お金だけでなくポイントも増えていきます。スイープサービス(銀行口座と証券口座の連携サービス)があれば、証券口座にお金を入金する手間も省けます。
さらに、投資の情報を発信するセミナー・動画・ニュースサイトなどが充実していれば、投資の理解が深まり、お金を増やすのにも役立つことでしょう。

これらも③同様、個人の好みが分かれる要素ですので、実際に試してみるのがもっともいいでしょう。楽天証券・SBI証券・マネックス証券といった大手ネット証券であれば、これらはどれも揃っていますので、見比べてみるのもいいでしょう。

口座の種類、どっちがいい?

金融機関に口座開設する方が迷うポイントに、特定口座と一般口座があります。

特定口座と一般口座
特定口座と一般口座

図:筆者作成

投資をするにあたって、証券会社では「証券口座」、銀行の場合は「投資信託口座」を開設する必要があります。これらには、大きくわけて特定口座と一般口座があります。

特定口座は、毎年納める税金の計算を金融機関がしてくれる口座です。さらに「源泉徴収あり」を選ぶと、金融機関が税金を納めてくれます。「源泉徴収なし」を選ぶと、自分で確定申告をして、税金を納める必要があります。

それに対して、一般口座は、毎年納める税金の計算も自分でする必要がある口座です。

現状で、一般口座を選ぶメリットはとくにありません。手間を省きたい方は「特定口座」の「源泉徴収あり」を選んでおけばいいでしょう。ただ、源泉徴収ありを選ぶと、1年間の利益が20万円以下の場合にも税金を納めてしまいます。これを防ぎたいのであれば、「源泉徴収なし」を選ぶのもひとつの手です。

また、投資で得られた配当金や分配金の受け取りには

①配当金領収証方式(ゆうちょ銀行などで受け取る)
②株式数比例配分方式(証券口座で受け取る)
③登録配当金受領口座方式・④個別銘柄指定方式(どちらも、銀行口座で受け取る)

の4つの方式があります。
このうち、NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)で得られる配当金を非課税にするには「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があるので、忘れずに選んでおきましょう。

ミレニアル世代・Z世代には欠かせないスマホ証券を徹底比較

ミレニアル世代・Z世代と呼ばれるみなさんがこれからお金を増やすのに是非利用して欲しいのが、スマホ証券のサービスです。スマホ証券のサービスは、投資初心者でもわかりやすいこと・少額からスタートできることがメリットです。

主なスマホ証券サービス5選
主なスマホ証券サービス5選

表:筆者作成

①STREAM(ストリーム)

STREAMは現物株を何度取引しても手数料が完全に無料となっているサービスです。それどころか、有利な価格で取引が成立する「SMART取引」もあります。SMART取引が成立した場合、有利になった差額の半分が手数料として徴収されるしくみなので、私たちは手数料を支払うことなく売買ができるのです。
また、SNS機能があり、ユーザー同士が交流しやすいのも特徴です。ただし、STREAMでは100株単位でしか売買ができない点には注意が必要です。

②LINE証券

メッセージアプリのLINEから投資ができるのがLINE証券です。単元株を買うことができるだけでなく、「いちかぶ(単元未満株)」のサービスで1000銘柄以上を1株から購入できます。さらに、不定期ながら株式が最大7%安く注文できる「株のタイムセール」もユニークなサービス。もし7%安く買えたら、翌日にすぐ売るだけで7%分の利益が得られる(値動きがなかったと想定)のですから、ありがたいですね。
2021年にはiDeCo(個人型確定拠出年金)にも対応予定です。

③SBIネオモバイル証券

SBIネオモバイル証券でも、株を1株から購入可能。今回紹介しているサービスの中で唯一手数料(月額220円)がかかりますが、SBIネオモバイル証券を利用することで、Tポイントが毎月200ポイント(期間固定ポイント)もらえます。このTポイントは投資に使えますので、実質的に利用料はほぼ無料といえるしょう。
買いたい銘柄・指定日・金額を設定すれば毎月100円から個別株の積立投資ができるうえ、1株からIPO(新規公開株)への投資にチャレンジできるのも魅力です。

④PayPay証券

PayPay証券で投資できる銘柄は、日本と米国企業の優良銘柄。日本株なら「トヨタ自動車」「任天堂」「JR東日本」など、米国株なら「アップル」「アマゾン」「アルファベット(Google)」など、誰もが知る会社が多くあります。
「PayPay証券日米株」というアプリを利用することで、これらの会社に1000円から1000円単位で投資ができます。毎月定額で株を買う積み立て機能もあるので、コツコツと日本株・米国株に投資を続けることができます。

⑤CONNECT(コネクト)

CONNECTでは、日本株を100株単位で取引する現物取引はもちろん、信用取引、IPO、積立投資など、さまざまな投資をすることができます。さらに、1株から購入できる『ひな株(単元未満株)』もあります。取引手数料の無料クーポンが毎月10枚もらえるので、月に10回までは無料で取引ができ、あまったクーポンは翌月に持ち越せます。
また、「StockPoint for CONNECT」でポイント投資をして、1株分のポイントが貯まると、ポイントを個別株に交換してCONNECTに移管・保有することができます

お金が減るのが怖かったら…ポイント投資から始めよう

主なスマホ証券のサービスを紹介してきました。しかし、「お金が減るのがどうしても怖い」という方もいるかもしれません。そんなときは、ポイント投資をはじめてみましょう。

ポイント投資サービスは、貯まったポイントで株や投資信託といった金融商品に投資できるサービスです。通常の投資と同じく、買った商品が値上がりすれば利益が出ますが、逆に値下がりすれば損失が生まれます。

ポイント投資には、持っているポイントを証券会社で現金化して、株や投資信託などの金融商品を購入する「現金購入型」と、選んだ株や投資信託などの値動きに合わせてポイントが連動して増えたり減ったりする「ポイント連動型」の2種類があります。ポイントだけで投資できるサービスもあれば、現金と組み合わせて投資できるサービスもあります。

上のスマホ証券のなかにも、ポイント投資ができるサービスがあります。
たとえば、

・LINEポイント…LINE証券
・Tポイント…SBIネオモバイル証券
・Pontaポイント…CONNECT(「StockPoint for CONNECT」でポイント投資)
・PayPayボーナス…PayPay証券(「PayPayボーナス運用」でポイント投資。PayPayから投資可能)

などのポイントが使えます。
また楽天証券では現金購入型の「楽天ポイント投資」とポイント連動型の「楽天Pointclub:ポイント運用」で、楽天ポイントを生かして投資ができます。

さて、どのポイント投資サービスが良いかですが、普段からサービスを利用して貯めているポイントや、使わずに余っているポイントがあるのならば、まずはそのポイントが活用できるサービスを利用しましょう。
また、ポイント投資サービスごとに、投資対象が異なるので気になる投資商品や銘柄にポイントで投資したいというニーズがあるならば、そのポイントを意識して貯めるようにしても良いかもしれません。

ポイント投資であれば、元手はもらったポイントなのですから、より気軽に投資できるでしょう。仮に減ってしまったとしても、実際のお金が減ることはありません。実際の投資をする前に、ぜひ体験してみましょう。

資産運用の結果は、どの金融機関を選ぶか、そこでどんな投資をするかによって変わってきます。ミレニアル世代・Z世代のみなさんなら、まずはスマホ証券やポイント投資を活用して、投資をスタートするのがおすすめ。将来お金を増やすためにも、ぜひ取り組んでみてくださいね。

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